労働問題について、シンプルなQ&Aと若干の解説、マンガ・イラスト等で解説した本。
わかりやすさを旨としているため、具体的にどういう場合が闘えるのか、どうやって闘うのかが今ひとつわからないといううらみはあります。労働者に闘えるよ、諦めるなと励ますのが目的なので、最高裁判決の読み方や紹介する下級審裁判例もちょっと楽観的に思えるところもあります。この本を読んで、自分の場合も当然に勝てるはずと思い込み言い張る相談者の姿が目に浮かびますが、まぁ、闘えば勝てる労働者にまずは諦めずに弁護士に相談してもらう方が優先ですから、それは、この本の性格上、いいかなと思います。
他方で、有期契約の雇止めで、不更新条項が入った更新契約書に署名してしまった場合(170~171ページ)については、逆に悲観的な書きぶりに思えます。もちろん、気をつけようはいいんですが、不更新条項を見て拒否したらその時点で雇止めされるリスクがあるから仕方なく署名する労働者は少なくないわけで、そうなったときにも、自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的理由が客観的に存在するか(28~30ページ)で闘う余地があることは、今どきは、指摘しておくべきだろうと思うんです。
なお、わかりやすさ・読みやすさの観点では、労働基準法や育児介護休業法の長々しい条文をそのまま載せているところは、どうかなぁと思います。
明石順平編著、ブラック企業被害対策弁護団監修 集英社インターナショナル 2021年10月31日発行
わかりやすさを旨としているため、具体的にどういう場合が闘えるのか、どうやって闘うのかが今ひとつわからないといううらみはあります。労働者に闘えるよ、諦めるなと励ますのが目的なので、最高裁判決の読み方や紹介する下級審裁判例もちょっと楽観的に思えるところもあります。この本を読んで、自分の場合も当然に勝てるはずと思い込み言い張る相談者の姿が目に浮かびますが、まぁ、闘えば勝てる労働者にまずは諦めずに弁護士に相談してもらう方が優先ですから、それは、この本の性格上、いいかなと思います。
他方で、有期契約の雇止めで、不更新条項が入った更新契約書に署名してしまった場合(170~171ページ)については、逆に悲観的な書きぶりに思えます。もちろん、気をつけようはいいんですが、不更新条項を見て拒否したらその時点で雇止めされるリスクがあるから仕方なく署名する労働者は少なくないわけで、そうなったときにも、自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的理由が客観的に存在するか(28~30ページ)で闘う余地があることは、今どきは、指摘しておくべきだろうと思うんです。
なお、わかりやすさ・読みやすさの観点では、労働基準法や育児介護休業法の長々しい条文をそのまま載せているところは、どうかなぁと思います。
明石順平編著、ブラック企業被害対策弁護団監修 集英社インターナショナル 2021年10月31日発行