大学を一年留年して卒業し、バブル最後の売り手市場に乗り遅れて52社受けて全て不採用となってバイトとパチンコで食いつないでいる24歳のフリーター横道世之介と、同期生で証券会社に就職したコモロン、コモロンの部屋から双眼鏡で覗きをやってて見つけた「目が離せなくなるほどの美人」のシングルマザーで世之介らがストーカーまがいの訪問中に子どもがビー玉を飲み込んだところを助けたことがきっかけで世之介とつきあうことになった日吉桜子、パチンコ屋で新台を取り合った縁で知り合った鮨職人になりたい居酒屋の女性店員浜本らの1993年4月からの1年と、東京オリンピックのマラソンレースに沸く2020年の東京を交差させて描いた青春小説。
前作では大学1年生の1年と、友人たちが駅で線路に転落した客を助けようとして死んだ世之介を振り返る現在を交差させていましたが、その6年後の写真に目覚めつつある世之介を描いているところを見ると、作者が世之介の死を実在の新大久保駅での事件とダブらせるならそこまでも6年。もう1作くらい続編を書くつもりでしょうか。
書かれた頃には東京オリンピックが1年延期になるとか、マラソンは東京では行われないとか、到底想像もできなかったでしょうから、作者には罪はありませんが、銀座や国立競技場でのマラソンシーンを感動的に描かれてもなぁ…

吉田修一 中央公論新社 2019年2月25日発行
「小説BOC」連載
前作では大学1年生の1年と、友人たちが駅で線路に転落した客を助けようとして死んだ世之介を振り返る現在を交差させていましたが、その6年後の写真に目覚めつつある世之介を描いているところを見ると、作者が世之介の死を実在の新大久保駅での事件とダブらせるならそこまでも6年。もう1作くらい続編を書くつもりでしょうか。
書かれた頃には東京オリンピックが1年延期になるとか、マラソンは東京では行われないとか、到底想像もできなかったでしょうから、作者には罪はありませんが、銀座や国立競技場でのマラソンシーンを感動的に描かれてもなぁ…

吉田修一 中央公論新社 2019年2月25日発行
「小説BOC」連載