美術の世界に入っていく「扉」として、関心を開く、好きを見つける、(画家や批評家が書いたものを)読む、比べる、(美術館や画廊の)敷居をまたぐ、(講演会・ラーニング、イベントに)参加する、判る判らないの7つの章立てをして説明し、美術に親しむことを勧める本。
「絵を一から十まで判るなどできはしない。判らなくともいいのである。少なくとも、絵から何かを感じ取ることが大切だ。」(はじめに:ⅴページ)、「急がなくてもいいから、たくさん見ること、それが美術を愉しむ最良の第一歩となる」(14ページ)という序盤は、とにかく気軽にまず見よう、なんといっても「愉しみ方」なのだしという雰囲気です。しかし、著者は必ずしも、他人(専門家)の意見に従う必要はない、見方・愉しみ方は自由だと言っているのではないように思えます。そして、「読む」の第3章になると、画家や批評家らの観念的で難解な言辞を衒学趣味的に並べ立てています。気楽にどんどん見ようよで始まったはずなのに、小難しい御託をありがたがれと言われているようで、大きく気を削がれました。
山梨俊夫 中公新書 2023年9月25日発行
「絵を一から十まで判るなどできはしない。判らなくともいいのである。少なくとも、絵から何かを感じ取ることが大切だ。」(はじめに:ⅴページ)、「急がなくてもいいから、たくさん見ること、それが美術を愉しむ最良の第一歩となる」(14ページ)という序盤は、とにかく気軽にまず見よう、なんといっても「愉しみ方」なのだしという雰囲気です。しかし、著者は必ずしも、他人(専門家)の意見に従う必要はない、見方・愉しみ方は自由だと言っているのではないように思えます。そして、「読む」の第3章になると、画家や批評家らの観念的で難解な言辞を衒学趣味的に並べ立てています。気楽にどんどん見ようよで始まったはずなのに、小難しい御託をありがたがれと言われているようで、大きく気を削がれました。
山梨俊夫 中公新書 2023年9月25日発行
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