幼い頃に実験として人間からキーボードとご褒美のヨーグルトレーズンを用いて言語を教育された雌のボノボのシネノが、育児放棄した息子のユウエツの面倒を見てくれる年長者のシヅヱとともに、スマトラトラやホッキョクグマの檻のある動物園で飼育されているところに、シネノに想い出があるらしいひきこもり中の女しふみが度々訪れ交歓していくという設定の小説。
冒頭のエピソード中の老チンパンジー、しふみの母と姉の位置づけが読んでいてわからないままで、シネノ視点の叙述中のわたしとわたしたち、しふみ視点の叙述のわたしとわたしたちが、誰を意味するのかその異同もあいまいにあるいはそもそもわからない様相を呈し、なかなか読み進めませんでした。時間も空間も、伸び縮みしているのか、跳び越えているのか、わからなくなりました。
自分がジュンブンガクからあまりにも遠ざかっていたということなのか、それならもう戻れないかもと思う読後感です。
小砂川チト 講談社 2024年1月17日発行
「群像」掲載
第170回芥川賞(2024年1月17日発表)候補作(受賞は逃す)
冒頭のエピソード中の老チンパンジー、しふみの母と姉の位置づけが読んでいてわからないままで、シネノ視点の叙述中のわたしとわたしたち、しふみ視点の叙述のわたしとわたしたちが、誰を意味するのかその異同もあいまいにあるいはそもそもわからない様相を呈し、なかなか読み進めませんでした。時間も空間も、伸び縮みしているのか、跳び越えているのか、わからなくなりました。
自分がジュンブンガクからあまりにも遠ざかっていたということなのか、それならもう戻れないかもと思う読後感です。
小砂川チト 講談社 2024年1月17日発行
「群像」掲載
第170回芥川賞(2024年1月17日発表)候補作(受賞は逃す)
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