伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

0円で始める副業ネット販売

2020-10-16 21:33:05 | 実用書・ビジネス書
 元手なしでネット販売を始めるノウハウを説明する本。
 起業をするのに元手をかけないということにこだわっているところがいちばんの特色です。元手をかけなければ失敗してもやり直せばいい、何度失敗しても赤字は出ないからうまくいくまでやり直し続ければいい。理屈はそのとおりなのですが、ふつうに起業すれば初期投資、固定経費がかかるところを、とにかくネット販売で初期投資は基本的に0というやり方を追求することでその理屈に近づこうとしています。
 商材探しは質問サイトと検索キーワードでニーズを探り、サービス面でプラスアルファをめざし、目にとまりスクロールされるサイト構成を心がける。その点に関するアドバイスに集中し、ノウハウ本としても効率よく締まりのある読み物になっています。
 この本を読んで現実にネット販売を始める読者がどれくらいいるかはわかりませんが、なんとなくやってみたくなるような、その気にさせる本です。


上田祐輝 合同フォレスト 2020年7月10日発行
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隣人X

2020-10-15 22:38:11 | 小説
 大企業に派遣されて1年半になり昇進を打診されていた派遣社員の土留紗央がパーティーのただ酒で飲み過ぎて社員証を落とし、かつてキャバクラの常連客からレイプされて学生証を落としたことがあるコンビニの店員柏木良子がそれを拾い、柏木が勤めるコンビニでのバイトと居酒屋のバイトを掛け持ちするベトナム人留学生グエン・チー・リエンが居酒屋のバイト仲間拓真に惹かれ、柏木はもう1つのバイト先の宝くじ売り場で出会った笹に惹かれ…というような群像劇的なエピソードに、地球人のデータを取り込んで地球人と見分けが付かぬ外見となれる「惑星難民X」をめぐる時事問題を絡めた小説。
 惑星難民Xを絡めることで一種のSFとなる小説なのですが、隣人は実は宇宙人という、ある種手垢の付いたネタを中途半端に展開しているのが、特に前半はいかにも浮いた感じで、むしろ宇宙人話を抜きでふつうに小説として展開した方がいいんじゃないかと思いました。
 後半、惑星難民Xに比重を置いて話を進め、SF的に落としていますが、結果的に、惑星難民で話を付けるならそこに行くだろうねという感じで、読者の期待に応えているのかも知れませんが、なんだかなぁと思いました。


パリュスあや子 講談社 200年8月24日発行
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海洋プラスチックごみ問題の真実 マイクロプラスチックの実態と未来予測

2020-10-14 22:01:57 | 自然科学・工学系
 海洋を漂い漂着するプラスチックごみの実態、毒性、生態系への影響等を説明し、プラスチックごみ削減のための取り組み等を論じる本。
 プラスチックごみが海洋から浜辺に漂着して集積し、浜辺で紫外線や温度差、摩擦等により微細化し、それがまた波にさらわれて海洋を漂うというお話にまず目を惹かれます。浜辺を埋め尽くすプラスチックごみがただ溜まり続けるのではなく、破砕されて微細化しながら入れ替わり海洋にさらに拡散していくというのは、なかなかに悩ましい事実です。環境庁の調査で海岸の漂着ごみで最も多かったのがボトルのキャップだった(僅差の2位がロープ)というのも驚きです(28ページ)。漁業廃棄物や産業廃棄物ではなく、まさに生活ごみが海洋ごみのいちばんの起源になっているというのです(もっとも、調査対象が2.5cm以上のごみに限定されていることがその結果を導く要因となっているところもあるでしょうけれども)。
 管理されずに捨てられたプラスチックごみの国別重量では中国を始めとするアジア諸国が圧倒的に上位を占め(146ページ)、その結果、日本近海はマイクロプラスチックのホットスポットとなっているそうです(89~102ページ)。他の海域よりも1桁2桁違うというのです。
 さらに、破砕されて径が小さくなったマイクロプラスチックは径が小さくなるにつれて個数が多くなるはずなのに、1ミリを下回るあたりから海面付近での調査で見つかる個数が不相当に減少していて、それがどこに行っているのか(生物に誤食されるのか、砂浜に滞留するのか、海底に沈むのか)研究者にもわからない(102~105ページ)というのが不気味です。
 マイクロプラスチックの誤食による生態系への影響については、著者の、査読論文に掲載されたこと以外は語らないという方針(70~71ページ)もあって、影響があるかどうかはまだどちらとも言えないという姿勢を取っています。近年は、サンマとか鰯を焼いて食べるとき、腹部にプラスチック粒を見つけることも少なくなく、丸干しだったら気づかずに食べてるよなぁと思い、少し気味が悪いところではあるのですが。
 マイクロプラスチック問題について、様々な点を丁寧に解説していて、かつ語り口も読みやすく一般向けにもいい本だと思います。


磯辺篤彦 DOJIN選書 2020年7月30日発行 
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サラリーマンかフリーランスか 「どちらが得だった?」

2020-10-08 22:10:30 | 実用書・ビジネス書
 サラリーマンで給料が上がらず副業でもしたいと思っている野口くんが、大学の先輩でコンサルティング会社社長の渋沢さんに聞く形で、サラリーマンとフリーランスの違い等について説明する本。
 収入が安定せず経費(従業員の給料や事務所の家賃等)負担の重圧に苦しみ、税制上の優遇はほとんどなくて個人事業税とかもとられ社会保険(特に年金)の保障はとても薄くて老後の安心も得られない零細個人自営業者(フリーランス)の立場からは、給与所得控除なんていう払ってもいない経費控除を認めてくれたり保険料半額会社負担で厚生年金の保障を受けられる給与所得者が羨ましい限りですが、給与所得者には、自営業者は大儲けした上に私用分も必要経費と称して賄い脱税のし放題と思われているらしい。この個人自営業者と給与所得者の溝は永遠に乗り越えられないのかなと常々感じていますが、こういうテーマで民民で対立感情を持ち続けること自体、国民を分断統治したい税務署・国の思うつぼかとも思います。
 儲けを出さずに商品を安くしろという客に対して、お客さんに商品やサービスを売るときに、「値段はいくらで、原価はいくらで、儲けはいくらです。儲けといっても悪く思わないでくださいよ。家賃や人件費、それに私の生活費、収入の不安定さや将来の危機に備えるためにもらっているものですので、ご理解ください」といっても、理解できるお客さんは少ないだろうねという渋沢さんの諦め(156ページ)は、よく理解できます。商品やサービスの提供を続けるために儲けていいんだという渋沢さんの言葉(153~157ページ)も、絶対に理解してくれない給与所得者やお客さんに説明しようとして疲弊するよりも開き直れというアドバイスと受け止めたいです。


山田寛英 中央経済社 2020年9月15日発行
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