「地球の歴史(中)-生命の誕生」(鎌田浩毅、中公新書)を読み終わった。
地球の内部のテクトニクスと地球の表層の変化や気象変化、生物の発生と進化を統一的に説明しようとする試みで、私にはとても魅力的な論考である。
約半世紀前の学生時代にはその萌芽的な教科書はあったが、とてもではないが、ここまで網羅的に、体系的に説明がなされたものはなかった。当時の私の興味の根幹を今になって説明してもらったようなものである。それだけ地球物理学の進歩があったということなのであろう。
ただ気になった点がひとつ。古生代の生物の大量絶滅の説明でこの中巻は終わっている。この説明の中で、地磁気の逆転をブルームテクトニクスにて説明をしている。地磁気の逆転にともなう地球磁気圏の変化とそれにともなううち「銀河宇宙放射線」の地球への大量流入による大気の影響、寒暖への効果、生物への影響も指摘している。このこと自体は了解できるのだが、果たしてここに太陽の活動の変化についても何らかの影響があったのではないかと思う。太陽活動の変化と地球地磁気の変化の変化、あるいは地磁気の逆転の相互関係についても何らかの考慮がされてしかるべきなのかな、と感じた。この私の思いが本質的なことなのかどうかは、わからないが‥。
私には大変刺激的な論考である。引き続き下巻を読む意欲が湧いた。