読みやすく一気読みでした。スタイルは冒頭に出てくるように映画「グランド・ホテル」形式。だからか、一つ一つの話に人生の芳香が感じられる。
最後まで読み切った感想としては、ミステリーではないということとと、実によくできた小説だが、ちょっと良すぎ。いい人たちが出過ぎ。でもこの世知辛い世の中、たまにはこんな現代の桃源郷もいいよね。いい時間をくれました。 . . . 本文を読む
深沢氏痛快な若者に対してのサジェスション。とにかく、明瞭簡単、ただぼ~~と生きてりゃいいのさ、というお強い言葉に救われる。そもそも動物なんて悩まずただただ生きているのに、人間だけが何で悩む必要があるのか、、、。そこなんだよな。
「自分とは何か」から始まる哲学志向もこの深沢につかまると、いかに人類は無駄なことに時間を費やしてきたことか、となる。この深沢の人間滅病教、大好きです。
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ホ・ジノ監督の最新作。最近は力不足の映画が多いと思っていたが、取り戻した感あり。
内容的に、誰もが自分に降りかかったら、どうしますか?というテーマを緊密に掘り下げていて、ラストまで一気でした。夫婦2組の俳優演技がうまく、とても印象に残る。でも最後の思いがけないシーンは成瀬巳喜男の「女の中にいる他人」で既に使っている。でもこうなるしかないよな、、。
面白い作品でした。
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今年は映画、96本だから、まあ良く見たと言える年でした。相変わらず自分の心に触れる映画しか評価しない僕は通常の映画評からはずいぶんブレていると思う。
洋画
1位 哀れなるものたち (ヨルゴス・ランティモス) 2位 ヴェルクマイスター・ハーモニー (タル・ベーラ) 3位 熊は、いない (ジャファール・パナヒ) 4位 青いカフタンの仕立て屋 (マリヤム・トゥザニ) 5位 憐れみの3章 . . . 本文を読む
好きな作家だが、でもここまでワクワクしながらページを繰る作品も最近では珍しい。ミステリーだが、本格ものではないし、犯人探しでもないのだが、文字の間から五十嵐の躍動感があふれているのがわかる。
ミステリーで一気感が強いのはそれほど秀作だとお言うことだろう。最初はシリーズが続くと思った妹刑事があっけなく亡くなってしまうのがちょっとした驚きだったが、でもその後登場人物の設定も面白く、五十嵐の才能を十分 . . . 本文を読む
私のような随分と無駄に歳月を過ごして来た人間には、主人公から見据えたまなざし、音、声、人の心の襞はずしんと容易にそのまま自分に入ってくる。見出して15分ほどで私はリリー・フランキーと同化してしまった、、。
夫婦愛、家族愛をテーマにした映画なんだろうけど、恐らくその底辺に流れているのは人間のささやかな営み。人は生まれては死ぬ。そのリフレインの中に、それぞれの人の想いを巡らせ、喜び、悲しみ、驚き、諦 . . . 本文を読む
確かにこういうタイムスリップものはそもそも面白い。映像も展開もよく考えられている。途中だれてくるところで、あれを使うんですね。分かる気もするが、、
でも、あれは勝新太郎が使用して倫理的にもご法度ではなかったのかなあ、、。アメリカでも銃使用事件があったし、映画界で、これを題材にするとはちょっと恐々。でもだからこそ最後の文字通り真剣勝負が燃えてくるんだろうが、ね。
映画の原点の面白さを現代において . . . 本文を読む
映画の流れとしては水準を行っていると思う。ある疑問から、謎が深まり、追求してゆく人間も警察の内部(警官ではない)というミステリーではすれすれのダメダメ環境だが、でもなかなか面白い。
だが、途中で、真犯人があぶり出され、え、しかしなあと思いつつ、やはりそうか、でもこれはちょっとやり過ぎ、といった感想が伴う。
面白い作品にしようとすれば、もはやこういった展開しかないのか、というところにミステリーの . . . 本文を読む
6年ぶり、大阪公演。東京にいたときは毎年この演劇を見て年を越すといったいわば年越しそばのような演劇でした。そしてこの演劇ももう36年経過しているという。僕は見始めてまだ15年ほど。でも結構館内は若人から実年まで様々な年齢構成。高泉淳子さんのキュートな年齢不明がそうさせているのだろう。
さて、今回もロニーが客演。前半がロニーとのレストランでの会話が主体。公判が二人のライブショーとなっている。
大 . . . 本文を読む
さすが年季の入った演劇集団。多数の出演者。十分言いなれたセリフの言い回し。何より、奈良時代、天武系一族の女帝時代の歴史絵巻が楽しく面白い。あの怪しげな鶴の張本人、与兵衛が道鏡になっていくのはとてもユニークで面白かった。
きらめきの奈良時代絵巻を堪能できたのは、脚本がかなり一を占めている。古代史を知っている人はなお楽しく、歴史がまったくの人はそれなりに楽しい秀逸演劇ドラマであります。
八嶋智人は . . . 本文を読む
今話題の三宅唱の処女作。モノクロ、北国の白い雪。札幌なのに、田舎感が色濃く出てる。青年期の3人の「18歳の今」をやさしく切り取っている。こんなに実際の人生が優しいとは思えないけど、でもいいのだ。何かを信じたい映画である。 . . . 本文を読む
まあとても面白い。とにかく設定がユニークで、魅入られてしまう。あっという間に読破だ。だいたいページ数も少ないし、しかもミステリー好きならではの展開で、そのまま一気です。
でも、何か物足りないというか、緻密ではないですね。この感じだったら、何でも書けそう。通常のミステリー作家がトリック等で日夜研究・努力されている部分がいかにも皆無、といった感じ。
でもこんなミステリーもたまにいいか、、? ラスト . . . 本文を読む
コトリ会議、久々の新作。若旦那家康さんの配慮で、かなりの時間前に劇場に到着するも、ロビーにはコーヒーが用意されていたり、過去の演劇がモニターに上映されていたりと、とてもアットホームなくつろぎの空間が用意されていて、いい気分のまま演劇に入る。
そして劇は、これがなんと100年後の地球の姿で、大戦に明け暮れる人類はもう8次大戦のさなかである。人間はつばめと混血し、人間部分の意識は30%に成り果てる。 . . . 本文を読む
学生演劇で3時間もの長丁場。しかも自ら書き上げたという労作。これがまた面白い。若いっていいなあと、舞台を見ていて思う。みんな溌溂。ダンスあり、アクション有り。精一杯飛んでいる。
他の演劇とは一線を画すように、セリフのしゃべりも明確。トチリもなし。すごい練習量だと思う。みんなよくやった。
前半後半と分かれるが、長くは官にないまま、余裕を残してジエンド。最後もどんでん返し風で面白かった。
28期 . . . 本文を読む