この年にしてあの文学座の「女の一生」を初めて見る。杉村春子の名演技で有名な演劇だが、見てみると随分思っていたのとは違う劇であったことに気づく。
というのも、この劇の主人公はモーパッサンの「女の一生」のジャンヌのような苦労する一生涯かなと思ったら、むしろ苦労するのは旦那の方であり、義理の妹たちも、ましてや初恋の男である義弟にさえ密告をしてまで家を守る鉄壁のワンマン女性であった。
結婚するまでのけ . . . 本文を読む
サルトルの演劇って初めてで、ちょっと気にしてはいたが、全然想像とは違い(サルトルと言えば実存主義・不条理というイメージ)、まともな翻訳劇といった感じが濃厚でした。ちゃんとストーリーがあり、題名通り娼婦とは言いながら、人間を深く見つめる女性の脳裏と彼女をとりまく現象が交差する秀逸な演劇です。
サルトルとアメリカ南部というイメージがなかなか僕の頭の中では醸成しなかったのだが、テネシー・ウイリアムズも . . . 本文を読む