ブライアン・デ・パルマの映画は久々だ。演出に難のある監督だと言う認識が僕の中にあったが、今回も見事にその予感が的中してしまう。
印象に残ったのは、くどいほどの残像を残した映像表現とジョシュ・ハートネットの好演ぐらいか。
観客に同僚の悪事を匂わせていて、ジョシュ・ハートネットがそれに気づかず真相に辿り着くといった展開は古いぞ。退屈だし、面白くも何ともない。
恐らく重層的な展開が原作にあったと思うが、 . . . 本文を読む
スピルバーグを素直に褒めていい作品。
黒人世界の中でも、男が女を奴隷扱いすることが存在する。
その上、白人から完全に社会的にも生活的にも屈辱的な差別を強いられる。この描写はさすが鋭い。映像もゆったりで落ち着いている。まさに映画だ。
しかし、このスピルバーグの視点は今から考えても、アメリカ社会から冷たい目を浴びたんだろうなあ。なぜ彼がこの映画を作らなければならなかったのか、この一点が不可解だ。
白人 . . . 本文を読む
死んだ人間と交信ができるというSFめいたサイコ風ドラマだ。その内訳のわからない展開になってしまうが、少々アクション風だったのが欠点かな。死者の思いというものをもっと違った形で表現できればかなりで気のいいドラマになったと思うが、謎というのも少しだけだし、何が言いたかったのか分からんドラマにしちゃったのは、脚本に問題があるのかもしれない。B級といってももっと丁寧に作ってほしいです。
相手役のデボラ・カ . . . 本文を読む
ホラーだと思って見に行ったら単なるへなちょこアクション映画だった。
これがなぜ30年前のルーマニアでの出来事なのか、意味づけもはっきりしないままただ数人の生き残りの感想で終わるなんて、あまりにあまり。あ、そうか、30年技術的に遅れているということであるならば、理解はできるが、、。
現代の映画として成り立つにはあまりに幼稚すぎるのです。低予算だからといって済まされないものがありすぎる。
観客を甘く見 . . . 本文を読む
最初軽い青春ものかなと思って見ていたら、どんどん急速度で現代の家族のあり方についてメスを入れる展開に、かなり戸惑いつつも、画面からの求引力に見入ってしまうエネルギーに驚く。
この映画はある意味現代のホラーなんでしょうね。新宿の集団自殺のシーンは悪夢だと済まされないっ衝撃が残る。
レンタル家族というシチュエーションは新しくもないが、この映画のそれへの深刻さは人間の存在の深遠に達するほど色濃く僕たちの . . . 本文を読む
周りから見れば卑劣で汚らわしい不倫も当人同士は美しいまともな恋愛の火で埋め尽くされている。実りのない不毛な愛であっても、だからこそ二人の愛は強い。
けれども、少しきれいすぎるかな。少し離れたところから見てみると、この二人も薄汚いものにしか見えないのだろう。
愛を成就させようとした二人のゆく末はやはりこういう形でしかあり得なかった。
うーん、いかにも古いね。美しいけれど、弱い。だからウソっぽい。
で . . . 本文を読む
もう何を言ってもフィリップ・シーモア・ホフマンは素晴らしい。良くここまで、ホモで、高慢ちきで、作家という一番いやなところを持っているカポーティーを見事に演技しました。4人を殺害した殺人犯は自分の姿でもあったのですね。その人間考察がすごいです。アメリカ映画でもかなり特異な秀作。
人間の光と影。栄光と闇。心の底にへばりついている病理、ほころび、欲望、、、。ある殺人犯と彼をモデルに小説を書こうとしている . . . 本文を読む
ウディ・アレンが監督に専念すると飛びっきりの1級品が飛び出すといういい見本。
映像の持つ息というかタッチが素晴らしく、じっくりドラマなるものを見せてくれる。この安心感がたまらない。無駄がないのである。計算し尽くしてあるから、後は俳優の演技に負うことになる。スカーレット・ヨハンソン のはっとするほどの美しさ、素晴らしさ。現代の女優ではもうN・キッドマンを抜いていると思う。その抜き差しならない恋愛の前 . . . 本文を読む