6つの短編集だが、それぞれ関連しており、しかも一人の死によって周囲の人の生き方も変わってくるという、パラレルワールド風で、斬新な小説であります。
1篇1篇の書きぶりが繊細で、この若さにして老巧さえ感じる筆の味わいは、人生、すでにたそがれようとしている吾輩には砂漠におけるオアシスのように思われた。生きてゆく上でどうしようもないこのこの哀しみは人間の本質的なものなのだ。すばらしい。
道尾はこの小説 . . . 本文を読む
意外と湊 かなえさんの作品にしては、素直で普通のミステリー風小説だ。というのは、大学時代の友人たちのちょっとした青春を見事、感動的に描写しているからだ。今までの作品からはかなり相違があり、またミステリーというより何か昔の推理小説風の香りもする。
最初の出だしと、最後まで真相を告げない取り組みはさすがミステリーの現代女王である。それだけでも読む価値がある。
でも途中は少々冗長で、ちょっと投げ出し . . . 本文を読む