メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『タイコたたきの夢』ライナー・チムニク/文・画

2010-07-01 18:40:48 | 
『タイコたたきの夢』ライナー・チムニク/文・画 矢川 澄子/訳 童話屋

「ゆこう どこかにあるはずだ もっとよいくに よいくらし!」

シンプルな線画と、読みやすい短い文章が魅力のチムニクシリーズ。
パロル舎は白い装丁になってるけど、童話屋のは土色をしているのがイイ(でも絶版?!
時々見開きで折り込まれたページもあって楽しい。噛めば噛むほど味の出る文章だな。

貧しい暮らしで食うや食わずの生活でも文句ひとつ言わずいた人々。
ある日、誰とも分からない男がタイコを叩きながら、上の文句を歌って歩いた。
「町を乱す奴はひっとらえるんだ!」けれども、捕らえてもあとからあとからタイコ叩きが現れて、
ついに大勢の大群となって町を出て、他の町の人々を巻き込みながら突き進んでゆく。
何も育たない土地、氷ばかりで夏の来ない土地、金がわんさか出る土地etc..
角材とタイコを持った人々はそれらの土地で麦を撒いてみるが、定住するには向いていない場所ばかり。。。

まさに昨日読んだ「マズローの欲求階層説」のリンクではないだろうか?驚
人は、安全、自由、富だけじゃ幸せじゃない、満足できないってこと。
1周して戻ってきてしまったということは、どこにも自由で楽しく暮らせる土地はないってことか?

どこも誰かの所有地で、どこにも支配者と貧困層の差があって、貧しい人々はより良い生活を夢見ている。
もしかしたら、夢の土地はどこか余所にあるのではなく、生まれ育った土地で生き方を変える方法を模索するべきだったのかもしれない。

タイコたたきらは決して怠け者じゃない。
それどころか、とても忍耐強く歩いて、自分のためのみならず、兄弟のために知恵を使って協力しあい、
飢えや寒さも耐えて、途中で息絶えても文句も言わず旅を続けた。
新たな土地を目指して困難に立ち向かった開拓民を想像させると同時に、
働いても働いても満足できない我々日本人にも通じる部分がありはしないだろうか。
日本人の勤勉さが、それぞれにうまく還元されずに、他の国、他の一部の富裕層に利用され、
ただ多大な利益だけが生まれてはどこへともなく消えているだけのような気がしてならない。


p.7抜粋
何よりりっぱなことはガマンすること、何よりいけないのは人をうらやむことでした。
いったい、世の中がこんな仕組みでもよいのかと、いちばん貧しいものをつかまえて聞いたところで、
答えはどうせ決まっていたのです。

「こうだからこうなんだ。なるようにしかならねえさ」

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『銃撃犯』(2000)

2010-07-01 18:36:35 | 映画
『銃撃犯』NEW BLOOD(2000)イギリス
監督・脚本:マイケル・ハースト
出演:ジョン・ハート、ニック・ラモン、キャリー=アン・モス、ショーン・ウェイアンズ、ジョー・パントリアーノ ほか

trailer

ジョン・ハート出演作でチェックした。ジョン・ハートは、大好きなイギリス人ベテラン俳優で、「永遠に現役でいて欲しい人」の1人。
最初に観たのは『1984』かな?近未来SFで、完全に管理された社会で逸脱した男女を演じていて、
その時すでに44歳だったけど、「なんて色っぽいおじさんなんだろう!!!」と夢中になってしまった。
代表作は数あれど、『スキャンダル』 (1989)なんか、その色っぽさ加減を堪能出来るかもv

story
数箇所で激しい銃撃戦による死体が多数発見された。身代金目当ての誘拐がらみの事件で、
被害者の富豪ウィリアムスを探し出すために、警察は唯一の生存者アランから事情を聞く。
アランは8年前、娘エマを連れて家出し、息子のダニーが8年ぶりに会いに来たが腹部を撃たれて重傷。
「オレが死んだら、妹の心臓移植のドナーになる。その代わり、誘拐の身代わりになって死んでくれ・・・」
ダニーは大金のために身代金誘拐の仲間に加わり、過ってウィリアムを殺してしまったために、
父親をウィリアムに仕立て、ボスを納得させようという計画を立てていたのだが・・・


全編にわたる銃撃戦に次ぐ銃撃戦。ウソが上手なチンピラのダニーのセリフに従って、物語の展開がコロコロと変わる。
登場人物が紹介されるたびにストップモーションがかかったり、演出に工夫もある。
ハートは今作では疲れた父親役。彼が出てくることで、単なるバイオレンスアクションじゃなく、
父と息子の人間ドラマとしてして深みが加わるのはさすが。

まだまだチェックしてない最近の作品をこれから観ていこう。

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町歩き@目黒&中目黒 その1

2010-07-01 17:42:35 | 町歩き
去年、友だちと歩いたコースとちょっと似通っちゃったけど、ほかにも2~3興味ある美術館があってまた目黒を歩いてきた。
目黒駅から雅叙園前の目黒川沿いを歩いて、かむろ坂下の信号から住宅地に入ったところのこちらへ。

安養院/北インド・チベット美術館
入り口は門らしき門もなく、お墓参りに来た感じ。美術館らしき建物も見当たらず、正面の家の戸を開けて聞いたら、
おじさんが鍵を持ってきて、右側の建物の狭い戸口を開けてくれた。
「人が来た時だけ開けているんですか?」「まあ、そんなにしょっちゅう見に来ることはないからねw」だって。

こないだの曼荼羅美術館の所蔵品も素晴らしかったが、ここはそれをさらに超越したキョーレツさ!!!
高原の断崖中腹に掘られた「窟院」をイメージしたらしく、隠密とした異次元空間に迷い込んだ感覚。
瞑想系の音楽が流れていて(入り口付近にカセットテープが売られてたのがそうかな?)、
薄暗い順路を屈みこみながら歩いて行くと、例のガネーシャさまから、あらゆるインド系の神さま・仏様の像、曼荼羅、タンカ、工芸品がこれでもかと展示してある。
その精巧で、荘厳な美しさは、ほの暗い照明に黒々と輝いて、思わず感嘆の声が漏れる。
どの仏像にもお賽銭が投げられてるのも納得。

「ここからは特別ROOMです」と手書きで書かれた看板の向こうは、「一生に一度目にかかれれば幸い」と言われるほど貴重な
「砂曼荼羅」が置かれている。わざわざチベットから呼び寄せた僧によって描かれたとか。カラフルで信じられないくらい細かな作業が想像できる。
そして一番奥には、大きなお釈迦様の像が、キラキラと輝く紫水晶の台座に乗っている。
ここだけ煌々と照明があたり、見事な彫刻の職人芸、完璧な美にしばし言葉を忘れて佇んだ。

インド神像には、男女両神が抱き合った「歓喜仏」と呼ばれるものも多くて、それぞれの特徴や性格を知るのも面白い。
シヴァの妻のカーリーという女神は、敵の腕を飾りにしてるは、生首持ち歩いてるはで物凄い迫力!
彼女が踊ると世界が激震してしまうので、シヴァが下敷きになり、やっと我に返ったカーリーは夫に向かって赤い舌を出したんだって

カーリー=ウィキ参照

最後通る通路には自然石の首飾りやTシャツ、仏頭などのお茶目なお土産ものもあり。
一体、このおびただしい数のコレクションをどう集めてきたのか、おじさんからいろいろ話を聞きたかったけれども、
入り口で声をかけても誰も来なくて、そのまま出てきてしまった


目黒不動尊
せっかくなので、以前も寄った不動尊様と、その裏の大日如来様にもご挨拶して、
甘藷先生のお墓の横を通って、山手通りをずんずん歩く。


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町歩き@目黒&中目黒 その2

2010-07-01 17:42:34 | 町歩き
現代彫刻美術館
田道の信号から左に入って、住宅街を抜け、ものすごい急勾配の坂を上る、上る
入り口が坂の行き止まりの「こんなところにっ?!」てところにあり/滝汗

「田中康二郎展」が6.27(日)までで終わってしまい、本館はただいま展示物入れ替えのためお休み中
それでも「野外展示場」は1~4まであって、それぞれ5~6体の彫刻が常時見れるので見応えはあったv
女性の裸像は生々しくてとてもリアルな美しさが迫るよう。群像はちょっと苦悩が見られた。
少女の頭の上にカラスが乗ってて笑ってしまうようなものもあるw


目黒区歴史資料館
山手通りに戻って、あとはもう帰ろうかと思っていたら、2008年に目黒区立第二中学校の校舎を利用して開館したという資料館を発見。
こんな予期せぬ寄り道も、町歩きの醍醐味v
大体どこも同じだけど、最初はその地域で発掘された縄文&弥生時代の壺や貝塚の展示からスタート。
ここいらは「武蔵野国・荏原郡」にあたり、江戸時代は将軍家の鷹狩地としても有名だったとか。
名所も多く、不動尊、大鳥神社などなど、広重の浮世絵などにも残るほど、人々の人気を集めた。

その広重の絵の1枚に描かれていた新富士に、「富士講」に関する遺跡の場所があり、最近発掘されて大きな発見があった。
仏像が地面に埋め込まれた状態で発見された謎の洞窟を復元してあり、ちょっとドキドキ。
てか、また富士講にリンクしたことがフシギ。
上目黒の氷川神社には「目黒富士」が残っていて、今でも登れるとのことで興味あり。これか?→サイト
調べてみたら、ウチの近所にやたらと富士塚があることが判明/驚 なにか縁でもあるのかな???

種子(しゅじ)
梵字自体が仏を表すとされ、信仰の対象とされていた。種子が刻まれた「板碑」も展示されていた。

「屋外展示コーナー」には狭いけど碑が多い。「特別閲覧室」には歴史に関する本が棚3コ分くらいあって、
テーブルとイスも用意されてたけど、すぐ側にスタッフの方が2人座っているから、よほどの調べものでもないかぎりちょっと居づらい


レストラン モン
黒い雨雲が垂れ込めて、とうとう降りだしたので、慌ててランチに入ったのがこちら。
いきなりボウイの♪Time が流れてます。食事処には濃すぎる選曲w
入り口の席に座るとカート・コバーンの本や、ボウイの『アラジン・セイン』のアナログ盤が飾られてる。
正面には牧歌的な絵画あり。「日替わりランチ」を注文すると、ふつーのフライ定食なんだけど、
盛り付けがフレンチ風味なのもフシギ。ゴボウのお味噌汁は完全におふくろの味。
でも、ウェイターをしている青年はハードロックのボーカルみたいだ(黒いマニキュアしてるし

常連ぽいおじさんが、お店のママと思われるおばさんと話してたのが聞こえてきて、
「ボウイ懐かしいねえ!昔、坂本龍一と忌野清志郎がボウイを真似て、過激な格好してたんだよ」(そーなの?!
「え?ボウイが2人を真似てたの?」(おばちゃん) いやいやいや、ボウイは知らないと思うよ、そんなことw
ずっとそんな感じだから、よっぽど会話に入ろうかと思ったけど、離れていたし、気軽に加われない性格です
あとから持ってきたアイスコーヒーはやっぱり薄かった。。

食べてる間、激しく降ってた雨も止んで、帰る頃にはまた蒸し暑い曇りに戻ってた。
今日も濃い1日でした~!

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