メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『まったき動物園』エドワード・ゴーリー

2010-07-12 17:41:23 | 
『雑多なアルファベット』The Eclectic Abecedarium
エドワード・ゴーリー/著 柴田元幸/訳 河出書房新社
アルファベット集が好きなんだな。手のひらサイズの可愛い豆本で、中に描かれているイラストも豆サイズ。
その限られたスペースに書かれた果てしなく奥深い世界は、いつまで見ていても飽きが来ない完成されたアートそのものだ。
短い韻文も味わい深くて、それに対応した柴田さんの和訳もまた簡潔で素晴らしい。

気に入ったものを抜粋。
「Beyond the Glass We see life pass.」(硝子の向こうで 過ぎゆく人生。)

「See down the Sun When day is dane.」(一日が済み 陽を拝む。)

「On any road May sit a Toad.」(人も歩けば 蝦蟇に当たる。)


『敬虔な幼子』The Pious Infant
エドワード・ゴーリー/著 柴田元幸/訳 河出書房新社
3歳にしてもう相当な信心深さを持ち、4歳半であっけなく土へと還ったヘンリー・クランプ坊やのお話。
柴田さんがあとがきに書いている通り、これまでのゴーリーのブラックなひねりの妙技を見るにつけ、
そのままありきたりの教訓本として読むには、なんだか信じ難い部分が残りつつも、
絵と物語はいたってノーマルに書かれているのは間違いない。
サラっと書いてるからこそ、奔放な子どもらしさが一切感じられないヘンリー君の行動が異常に歪んで見えてくるのが狙いか?


『まったき動物園』The Utter Zoo
エドワード・ゴーリー/著 柴田元幸/訳 河出書房新社
これまでもゴーリーの絵には無意味に異形な生き物が蠢いていたけれども、これはそんな幻獣ばかりを集めたアルファベット集。
ゆるキャラ&動物好きにはたまらないワケのわからない生物ばかり
じぃっと見ていると、どこかに本当にこんな生物がいるんじゃないかって生臭い存在感すら感じさせる。
天井上をゆらゆら漂う「フィドノップ」や、無表情の「モーク」なんて好きだなぁ・・・w

ちなみに「まったき(全き)=完全で欠けたところのないこと」
原題のutter
1 〈言葉を〉口[声]に出す, 言う, 〈叫び声・うめき・ため息などを〉発する, 出す;《声》〈音声などを〉発(音)する;〈物が〉〈音を〉出す。
2 〈人が〉〈考えなどを〉言葉で表現する, 述べる。
訳者の語彙の幅広さと、世の中にはまだまだ知らない魅力的な言葉が無尽蔵に溢れているんだなと感動する。


エドワード・ゴーリーの絵本はこれで大体読んだことになる。上の3冊は4月に予約して、ようやく手元にやって来た/驚
あまりに時間がかかるので、図書館のスタッフに聞いたら、「返却が遅れている方には、電話やハガキで連絡しますが、
それでも返ってこない場合があるのはもう仕方がないんですねぇ・・・/謝」

いろんな人がいるなぁ・・・

この間、図書館巡りで『弦のないハープ』を見つけて、近所の図書館でも検索したが置いてなかったから、あとその1冊を残すのみか?
町歩きで千駄ヶ谷を歩いていた時、河出書房さんを見つけて、しげしげと見てしまった。
1階は喫茶のようだったから、入ってみたかったが、ランチ時で混んでいたし。

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『セーヌの釣りびとヨナス』 ライナー・チムニク

2010-07-12 17:32:51 | 
『セーヌの釣りびとヨナス』 ライナー・チムニク/文・画、矢川澄子/訳 童話屋

P.118抜粋
「そうだ、いくら釣りの王さまとたてまつられたって、人間には限度があるのだ、と。
 よし人間が一生をかけたって、明るみにひきだすことのできない秘密というものが、底の底には存在するのだった」

これまでの中でいちばんイラストがいい!
シンプルな線画のどの線にも一切のムダがなく、ユーモラスで、ずっと部屋に飾っておきたいくらい完成されている。
それにしても体中を魚で飾って生臭くないのかな
神さまが夜毎に3つのアイデアを授けてくれて、ヨナスも巨大な魚の釣り方を教えてもらい、
世界中を移動しながら教えたけど、彼にとっては、セーヌ河でちっちゃい魚を日がな一日釣ってるのが何より幸せだったんだ。

p.41のヨナスの後姿が釣竿といっしょに描かれている絵、p.45のたくさんの魚たち、
ニューヨークの自由の女神ですらチムニクの腕にかかるとさらに可愛くなり、氷河に住む3頭のシロクマなんて最高!



『近所の景色/無能の人』つげ義春
魚石 / 近所の景色 / 散歩の日々 / ある無名作家 / 石を売る / 無能の人 / 鳥師 / 探石行 / カメラを売る / 蒸発
解題・高野慎三 解説・食べさせてあげたい人 一条さゆり

筑摩書房が出しているつげ義春の特集はこれで完読。一番気になっていたものが予約に手間取って一番後になってしまった。
「玉のように磨きこむと魚影が映し出される」という「魚石」。ペンキでそう石に書かれてるあたりがもう相当うそ臭いんだけどw
「魚石の中の魚は千年は生きるという。その姿を見た者も長生きをする」という、騙されてもなんだか浪漫のある話だ。

あとがきにあるように、つげのマンガをそのまま私生活と同様と考えるのは、どうやら違うようだ。
それぞれアイデアの元となった出来事はあるだろうが、「私小説の形を借りたフィクション」であるが故に誤解も生んだことに
著者自身も戸惑うことが多かったようだし。でも、本当にこんな暮らしをしていそうなんだよねw

つげのマンガを読んでいると、世の中にはいろんな隙間産業?があるんだなあって驚く。
河川敷の石を売るって考えだけでも突飛なのに、実際、探石を趣味とする人たちもいるみたいだし、
中古カメラで一時は一儲けした話とか、古物商にも仲買人がいたり、珍しい和鳥を捕まえる「鳥師」や、
それを鑑賞用に育てて売る人も、オシャレなペットショップとは一線を画したある種職人芸に達している。
一見、社会から外れた落伍者のように見えても、その想像(創造)性には新鮮な感動を覚えたりする。

つげ自身も、ただぐうたらな貧しい人なわけじゃなく、ここかしこに深い教養、芸術に対する深い造詣もあって、
絵や話の特異性だけが取り沙汰されるけれど、構想に時間をかけて、絵コンテも相当作りこんでいる様子が書かれていて、
やっぱり世に認められる人は、生きてる次元が全然違うんだなって分かる。


「ある無名作家」を通して著者が語った創作姿勢についての言葉にドキっとさせられたので抜粋をメモ。

「創作をすることの究極は、自分を虚構化することではないですかね。それは自分のためだから自分を描いて人に見せる必要はない。だからそれでも描き続けようとすると、私小説作家の生活演技の問題が出てくる。小説のネタのために私生活を作る、演技せざるを得なくなる。ネタのために生活を変化させようとして、生活を壊してしまう。だけど人に見せなければ生活を壊さなくても済むから、描かない方がいいんです。---だからぼくは古本屋とかカメラ屋、石屋などに転業してもかまわないんです」

古本の知識があれば、わたしもやってみたいなあ古本屋とか・・・


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『Lの世界』the L word シーズン2

2010-07-12 17:21:20 | ドラマ
『Lの世界』the L word シーズン2
ティナが二度目の妊娠。これは本物の妊婦のお腹では???マリーナが自殺未遂って設定も驚きだが、
ヨーロッパの伯爵夫人てのもビックリ?!てか、第2シーズンには出てこないのかな?残念。
その代わり?にDJのカルメンを巡って、シェーンとジェニーが三角関係?一緒に暮らし始めたし。
ルームメイトのマークがやってるのはもろ盗撮。これをアートと呼べるだろうか・・・法に触れてるよね?

第1シーズンではなかったオープニング映像が追加。ラストに流れる曲も毎回違ってイイ曲ばかりで気になる。
ついにティナが出産して第2シーズンは終わる。ジェニーはストリップしたり、カッティングまでやってボロボロだ
髪を短くした彼女はどこか危うげでイーディ・セジウィックを思い出させる。
幼い頃に複数にレイプされたトラウマのことも描かれているし、これからの展開も気になるところ。
くっついたり離れたりばかりじゃ飽きちゃうから、もうちょっと突っ込んだリアルな部分も掘り下げて欲しいな。

シーズン2の最後には『プリズン・ブレイク』の第3シーズン第1話が入っている。
こうして、どんどん商業的な思うツボにハマっていくんだな
ぶくろのTSUTAYAは、旧作DVDが1本100円!なんだ今までのもこっちで借りていればよかった


『プリズン・ブレイク』シーズン3 第1話「ようこそジャングルへ」
2005年8月29日-2009年5月15日で完結している人気シリーズ。脱獄の話なのかな?
1、2を見てないのに、いきなりシーズン3から見始めても、なんのことやらさっぱり分からず
しかも、粗悪で無法地帯の刑務所内でのむさ苦しい暴力の様子をリアルに見せられても気持ちいいものじゃないな



この間、親友から誕プレにもらった入浴剤もしっとり系でなかなかよかったが、
夏の暑い時期はこんな爽やか系は、半身欲もスッキリした気分で楽しめるのでgood

『白元 いい湯旅立ち 夏の爽快入浴』
ミント、ライムなどの涼しげな香りと色がイイ。


浪漫石焼き
川越を歩いていた時に見つけたお店。食事処らしいが、「不思議な犬」って看板が気になった。
サイトを見たら、こんな可愛くて有名なワンコがいたんだ!
あの日や店頭にはいなかったみたいだったけど。
「多くの雑誌やテレビで紹介されるほど「抱っこすると幸福を招くワンちゃん」として知られています」だってw


哲学堂公園で見つけたいい言葉。
鬼燈=唯物園の狸燈に対した燈籠で、人の心中に宿る鬼にも良心の光明は存することを寓している。
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