メランコリア

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心の中のベストフィルム~『バックトラック』

2010-07-26 22:19:34 | 映画
『バックトラック』BACKTRACK(1989)
監督:デニス・ホッパー
出演:ジョディ・フォスター、デニス・ホッパー、ジョン・タトゥーロ、チャーリー・シーン ほか

ほんとに忘れた頃によみがえる『心の中のベストフィルム』コーナー。
ホッパーの出演作の中で一番好きなのを挙げるとしたらこれだと書いて、もう一度観たくなったから探したんだけど、
近所で借りた時は映像が乱れてて、別の店では『ハートに火をつけて』のほうしかなかったからヤメた。
やっと新宿で見つけて観直すことができた。何年ぶりかに観てもやはりドキドキするマスターピースだった。

俳優やミュージシャンでメガホンをとるのが夢って人はよくいるけど、実際撮った映画が成功するのは稀な中で、
今作には最高の緊張感と、最高の刺激、最高に熱いロマンスが詰まってて、どのシーンにも一切のムダがない。
上手いとは言えないsaxを吹いて、チャーリー・パーカーを崇拝してるマフィアの殺し屋なんて設定がもう最高だ。

story
短くて印象に残る言葉をLEDの電光板に流すアートを創っている新進気鋭の女性アーティスト・アンは、
ある夜パンクしたクルマから出て、歩いている時に、マフィアの殺人現場を目撃してしまい、命を狙われるハメに。
警察に届け出ると、名前も住所も変えることを強く勧められるが、それはキャリアを捨てることを意味していた。
マフィアに雇われている殺し屋・マイロは、アンを消すよう依頼されるが、彼女のアートを見て、自分との共通点を見出し、
写真と本人を見て、すっかり惚れこんでしまい、「このまま死ぬか、生きてオレに従うか選べ」と迫る。。


ステージママのもと、天才子役でハリウッドデビューしてから、着実にキャリアを重ねてきたジョディでも、
一時期ちょいふっくらしていまいちイケてない時もあったけど、今作ではスリムでほんとにセクシー
それ以上に色気のあるホッパーがズルいが、この2人の、この時期の競演は、奇跡としか言いようがない。

チャーリー・シーンが恋人役なんだ、しかも若いっ!!!お父さんのほうが好きだけどねw
ボブ・ディランもカメオ出演してる!ホッパーの広いつながりが見えてくるようなキャスティングの妙。
ジョージア・オキーフ、ボッシュなんて絵まで出てきて、何年か越しにこうして観直すのも面白いなあ!

アンが逃亡先の教会?と、とんでもなく離れたマイロの隠れ家の庭で同じ陶器のかけらを見つけるシーンがイイ。
直接的に言えば野暮になるところを、こんなアーティスティックな方法で「運命」みたいなものを感じさせる。
ああ、こんなロマンティックで刺激的な映画を創る人がもうこっちにいないなんて。
悲しいというより、すごく寂しい。また、いつかどこかで巡り逢えるだろうか?


追。
マイロの「人に言えない秘密」って何だったんだろう?聞きたいような、聞きたくないようなw
アンの「ピンクのパン」て答えも、あんましよく分かんなかったけど。


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