■離れて暮らす親の介護 ~呼び寄せたらどうなる?~@あさイチ
専門家ゲスト:高野龍昭さん(東洋大学准教授)
ゲスト:床嶋佳子さん、八嶋智人さん
リポーター:雨宮萌果アナウンサー
【内容抜粋メモ】
<事前のNHKネットクラブアンケートより>
35歳女性:時間と交通費をかけて遠距離介護をするのが今から心配
59歳女性:本当は私が実家に帰るのが一番いいのだろうけれども・・・
床嶋佳子さん:
その時は全く無理だったので、もうちょっと時間が経ってからと思ったら状況がばっと変わってきて
たまたま私は、田舎に兄がいてくれるので、今は兄がほとんど見てくれてるんですけれども
本当にいつも東京で申し訳ないなっていう気持ちになりますね
八嶋智人さん:
僕の友だちで呼び寄せをした人がいるんですね
何かあってから行動に移しやすいのかもしれないけれども
もしかしたらお元気なうちに来たほうが
なんとなく新天地での活動も活発だったらいいのかなと思ったりとか
●4人に1人が地方出身者@神奈川・横浜の施設
男性:長男が見つけてくれて、住んでちょうど7ヶ月くらい
女性:息子2人がこちらにいますので
名古屋の女性:皆さん良い方ばかりで毎日楽しくやっております
●徳島さんのケース
福岡の介護施設に両親別々にいる
16年くらい前、私が面倒を見たほうがいいのかなと思い
広い部屋を借りて、両親をいっぺん呼んで年末年始一緒に過ごした
でも、やっぱり自分たちが慣れないところで、ものすごい不安そうで
これはちょっと無理だなと思って そのままになって
母の容態が悪くなったっていうのがありました
大吉:
うちもそうなんですけど、呼んだほうがいいかなと 母が福岡にいるんで
東京に呼んで、ちょっと過ごさせたんですけど、やっぱり落ち着かないですよね
私たちだって違うところに行くと不安なのが、お父さん、お母さん世代だからなおさらですよね
費用も色々かかったりとか、事情がそれぞれ違うと思いますけれども
雨宮:
あさイチでは6月に「遠距離介護」についても紹介しましたが
今回はもう一つの選択肢「呼び寄せ」について考えていきたいと思います
「親の呼び寄せの経験者訪問ツアー」と題しまして3箇所巡っていきます
<呼び寄せを検討する4人>
●樋口さん(48)
高齢者の事故が心配 仕事でどうしても川崎を離れることはできません
父親が亡くなり、一人暮らしになった母親を元気なうちから呼び寄せたいと考えています
呼び寄せは、私も離れているのでやっぱり一度は考えることだと思います
ただ簡単に答えが出るものでもない
母が車の事故をたまに起こしてしまう
軽微な事故ではあるが、軽微とはいえ、やっぱりどんどん高齢になってきますし
高齢者の事故も増えてきているのですごい心配ではある
親にも親の生活がありますし、私は私の生活があります
親子だからといって、無理やり統合するのは無理だなと思う
呼び寄せた時に親のコミュニティ、友だちをどう作っていくか
●鎌田さん(35)
聞きたいこと:本人の意思との調整
状況が全く同じ 車がないと生活できないような地域に住んでいて
義理の両親にこっちに来たいという気持ちにさせたいと思っているけれども
生まれも育ちもずっと向こうなので、やっぱり生まれ育った土地を離れるのは難しいのかな
互いの生活パターンをどうするか 新たなコミュニティをどう構築するか
●大松さん(48)
聞きたいこと:
親の説得方法
残される実家の処分 お墓とかどうするのか
介護のきょうだいでの分担は?
実家にある自宅、田んぼ、墓をこの後は誰が面倒見るのかな
●永峯さん(59)
聞きたいこと:
どのタイミングで呼び寄せましたか?
本人の気持ちはどうでしたか?
実際、生活が始まってどうだったか?
数年前からちょっとだけ認知症の症状があるんです
もう一人暮らしはやめたほうがいいということで施設に入った
この先何かあった時にどういう風になっていくのかが一番不安
呼び寄せたいと私は思っていて
だから今でも、もう少し良いところが近くにあるかなとか
ちょっとタイミングを見計らっているところです
<親の呼び寄せの経験者訪問ツアー>
1.小岩さん(57) 認知症の母親を呼び寄せて本当に良かったのか
まず訪ねたのは、本当に呼び寄せて良かったのか、今も自問自答繰り返している経験者です
小岩さんは、4年前に母親を自宅近くの施設に呼び寄せました
新潟で一人暮らしの母親
小岩さんが仕事や子育てに追われて数年間会っていなかった間に認知症になっていました
小岩さんは、介護が必要になるとは想像もしていませんでした
慌てて半年間の介護休暇を取り、まずは実家に住み込むことにしました
小岩さん:
月1は最低電話していました
こっちは働いていたので、私の悩みを「うん、うん」て聞いてもらっていた
だから親は元気と思っていた
帰省した時、私の娘の事が分からなくて、いとこだと思ったんですね
全然世代が違うのに、いとこの名前を言うので、うちの娘が
「おばあちゃん何か変なこと言ってる」
<アルツハイマー型認知症と診断された>
<家族は東京に残して移り住んだ>
一人っ子なので、全部自分でやって
役所に行ったり、包括支援センターに行ったり、色々回って
最初にデイサービスに行って、ショートステイもやって来たんですけれども
やっぱり一人なので、すべて負担がかかってくる
<介護離職>
認知症の母親の介護は想像以上に重いものでした
半年間の介護休暇はあっという間に過ぎ、結局仕事を辞めざるを得ませんでした
通帳とハンコとキャッシュカードをちゃんとどこに置いてあるのか
もう分かんなくなっちゃうような状態なので、私が全部銀行に電話して
しっかりしていた親がこんなになっちゃって、ものすごくショックで
今でも泣きそうになるんですけど
永峯さん:
私も札幌に行った時に、母が「あれ、どうしたの今日?」て言われたんです
「行くって言ってたじゃない」
すっかり忘れてて、それからはもう「カレンダーにちゃんと書いてね」
でも紙に書いてテープで貼り、家に帰ってくるともう剥がされちゃうんです
またどうしたらいいんだろうって考えて
小岩さん:
一番最初は「よし私が最後まで見てやるぞ」っていう勢いで行ったのに
いざ自分一人で準備をやってると、だんだん身も心も疲れてきて
もう自分が抱えているものがあまりにも多すぎて、重圧がすごくて、ちょっと鬱状態になった
仕事を辞めてまで始めた「住み込み介護」は長くは続きませんでした
小岩さんは、母親を施設に入れることを考えます
しかし、運転免許の更新や、娘の成人式など、用事があるたびに
東京⇔新潟を行き来しなければならず、遠距離の移動は大きな負担になります
結局東京に戻り、母親を呼び寄せるしかないと考えた小岩さん
それは、親の気持ちに反する選択でした
小岩さん:
前から「東京は嫌だ 空気が合わない」って言うんですよ
田舎の人と遊びで東京に来ても、やっぱり合わないから
本当は嘘ついてはいけないとは思うけど、そこは嘘をついて
「冬の間だけ」て言ったら、親が「じゃあ何月まで行けばいいの?」
そういうのでやっとちょっと行ってくれる気になったので
十分なセットが出来ず、罪悪感を感じながらも、無理に近くの施設に入れてしまった小岩さん
その結果、母親はスタッフに心を開かず、入浴や診断を拒むようになりました
そのため小岩さんは、多い時には週に5回施設を訪れて母親に会っているそうです
小岩さん:
全て拒否です 自分が見学に行ったところの施設長から
「どうしてこんなところに連れて来たの」とすごく暴れるという話も聞いたから
何でも自分でしてきた 一人でなんでもできるみたいな
大丈夫と思っているし、人にはあんまり頼りたくない
結局、施設を決めるのもこっちが勝手に決めて
施設に入れることに後ろめたさがある
親の人生を私が決めちゃっていいのかなという そういう不安感が未だにある
来てもらったほうがお互いにいいのかなと思いながらも
親の気持ちを考えると難しいのかな
だからなるべく早い段階から話しておいたほうがいいのかな
樋口:
まずは遊びに帰る 親と一緒に重い話をしなくてもいいけど
親の行動範囲内で一緒に生活していくというのは大事
まず第一歩としてちょっとやろうかなと思いました
床嶋:
全部気持ちがわかる 親の気持ちを考える気持ちも
でも物理的にどうにもならない お嬢さんが自分を責めてらっしゃる
でも責めすぎると、結局共倒れしちゃって、気持ちも鬱っぽくなっちゃう
私は割とドライに、もうやれることしかやれないっていう風に
どっかちょっと抜いていかないと
ケアマネージャーとして20年現場経験 東洋大学准教授・高野さん:
親の呼び寄せとかで遠距離はそもそも難しい問題なんですね
ただ小岩さんすごく自分を責めてらっしゃったけれども
責任感があって、親に愛情があって、その裏返しで
非常に頑張ってきたんだけれども抱え込みすぎた
責める必要は全くないと思います
ご自分も気づいてらっしゃったように、今回のケースを拝見して
2つポイントがあると思ったんですけど
1つは、実際に認知症が始まって、大変になってからの対応ではなくて
もっと早めに相談をされると良かった
なかなか難しいんですけれども
ちょっとだけデータを紹介すると、例えば介護が必要になっている高齢者って
85歳~90歳で、厚生労働省のデータなんですけど、ちょうど半分なんですね
80歳くらい介護が入らないまでも、何らかの認知症の症状がある人
80代になるとやっぱり半分ぐらいになるんですね
ですから、今平均寿命、女性は90歳ぐらいですから
年を取るということは、介護が必要になる 認知症になる
その上でどう暮らしを立てていくのか
子どもも考えなくちゃいけないし、親も考えなくちゃいけない
その意味で、早いうちから、まだ介護は必要じゃないけれどもどうするのか
相談しておく必要がある
八嶋:
親の世代の方々は、ちゃんと自分で判断して
なんとなくそういう将来の話も冷静にジャッジできる間に
話しておくのが大事かもしれませんね
高野さん:
もう一つは、小岩さんがものすごく後悔されてたのは
親の人生を自分が決めちゃった
親がなかなか決められない状況になってからの相談だった
それは仕方がないんですけど、やはり年を召していらっしゃっても
自分の人生は自分で決める
子どもはそのサポートするんだけれども
親が自分で決めた人生だとか、いい場所でなければ
なかなかそこでうまく生活を続ける事っていうのは続けられなくなる
だから相談して決めていただく
こういうことがあるともっと上手に介護ができたのかなと思います
大吉:
意識のズレというか、僕が思っているのと、親世代が思ってることが違うみたいですね
華丸:
絶対、「子どもに頼るか!」っていうことになるでしょう
そこをこじ開けるかどうか 親のプライドもあるし
<70代以上の方にアンケート調査をした 老後に暮らしたい場所>
大吉:
ゆくゆくは子どもと住みたいんだろうなって勝手に思ってたんですけど、少なくないですか?
八嶋:
親の世代で順番としていなくなるとして
自分の家に子どもが戻ってきて
自分たちが次のステージに行く時に
この家を守ってくれるみたいな感覚があるから
高野:
年齢に限らず、誰しも、自分がずっと暮らしてきたところで住み続けたい
呼び寄せるにしても、親の意向、考え方を尊重すべきだと思います
そういう意味では、呼び寄せしかないという風に決めすぎないということも一つ重要
地元で介護サービスを上手に使いながら
地元で暮らしていただくという選択肢もあるって事を知ってほしいなと思います
小岩さんの場合は、むしろそれを自分一人でやろうとしたので
もっと仲間を増やす、専門職、地域の人も含めて
床嶋:
一人っ子だから相談する人もいなくて
私は兄がいるからいいけど、もし一人っ子だったらどうしてただろうと
高野:
自分でできることは限りがあるんだとドライに考えたほうが
いずれにしても上手くいくと思います
八嶋:
いろんな選択肢をするってことは
話し合いの要素にもなるから大事かもしれないですね
2.谷川さん(64) 熊本から両親を呼び寄せて良かった
次に訪ねたのは、親を呼び寄せて11年 ベテランの谷川さんです
谷川さんは、熊本に住んでいた両親を東京に呼び寄せました
この選択は間違えていなかったと考えています
<呼び寄せのタイミング>
谷川さんの場合:親が将来に不安を感じた時に話を切り出した
谷川さん:
親父が73歳ぐらいの時、中学生と接触事故を起こした
車がないと何もできない田舎ですから
(まず、ここが一番の改善点では???
樋口:
その時のタイミングで呼び寄せを提案すると
母親も「一人で暮らしていけるのか」と考えるんですかね?
谷川さん:
ものすごく考えると思いますね
騙し討ちなんて絶対できないから、ある程度納得をしてくれるまで話をするしかないし
「こういう形になるよ」ということを何度も話をして
夢と希望を持ってもらうしかない
<両親が健在なうちに、呼び寄せ後の暮らしを具体的に1年かけて話し合った>
谷川さん:
おふくろが一人だったら出てこなかったかもしれない 昔の人ですから
父親が「せがれのそばに行こうよ」と言ったんで、多分そうなったと思う
大松:
まだ夫婦二人でなんとかやっているということがあるので
そんなに急いではいないんですけど
やはり一人になった時はちょっと不安
谷川さん:
一番大事なことはよく対話をすること
今からその先のことを準備しながら、どうあるべきなのかという対話をどれだけ繰り返すか
正解はない
谷川さんと両親は同じマンションの近い部屋に別に住んでいる
谷川さん:
そばにいないと意味がない
東京へ呼んで一緒に生活をしていない妻と子どもと生活するのはハードルが高い
「スープの冷めない距離」にいるから大丈夫だよと
何かあったらすぐに駆けつけられるから大丈夫だよと
樋口:友だち関係がいたのに、そこはどう作っていけるのか?
谷川さん:
うちの母はすごく社交性があって、デイサービスが大好き 1週間に4日行ってたんです
父親はデイサービスが嫌で仕方がなかった 「幼稚園じゃあるめえし」なんつってね
大松:
こちらに実際に呼び寄せる前に、何回か東京にいらっしゃって
地域の環境とかをお父さん、お母さんもご覧になった?
谷川さん:それは結構ありましたよ
大松:ここに住むんだという覚悟をきちんと自覚してらっしゃる?
谷川さん:そうですね
<母親は有料老人ホームに入所>
Q:施設の決め手は?
谷川さん:
私はスタッフの人柄
もう一つは、当然お金がかかりますから
入るのに600万円 背伸びしたんですよ 月々約20万円くらい(国民年金 約2か月分
それは、実家を売ったお金を母にこれだけ使おうと
そこもやっぱり絵を描いて決めた
田舎の家ってなかなか売れない
それもかなり早く手を打って売れた 全部積み上げていった
ポイント:介護を背負い込まない 娘の家族が分担してサポートしている
母親:
こうやってちょこちょこ来てくれるし、これが一番楽しみです
今日は来ると言っていたから、もう朝から待っていて
運動会とかの時はなかなか行けないでしょう
そうすると写真を撮って持ってきてくれて
「こうだったのよ」「私これなのよ」ってとても楽しみです
谷川さん:
確実に一週間に一回くらい、ここに誰かが来るように
来たら必ず写真を撮って帰る 母が忘れちゃう場合があるから
その写真で「こうだったよ」という感じですかね
一人では絶対に見られない 全部を背負うことは難しい
子どもの目線で助けてくれることが沢山ある
僕らが両親にいろんな話をするよりも
孫がひと言笑って「おじいちゃん」って言うだけで
「あー来てよかったな」って思うはず
ケースバイケースだと思うけれども、僕の場合は呼んで良かったなと
鎌田:
すごく参考になりました
夫婦や子どもとの対話があった上で、みんなで協力するということが大事
樋口:
お金の事は頭になかった
実際問題、話を伺うと、親が元気でいてくれることを願うだけ
ポイント:呼び寄せた後のことを考える
高野:
呼び寄せる時はまだ元気だった
そこから年を重ねていくわけで
その後、介護が必要になる、お金が必要になる
そこまで谷川さんはきちっと考えていらっしゃって
困ってからすぐ呼び寄せるという形ではなく
その後の長い生活を視野に入れながら呼び寄せられた
すごく上手にやってらっしゃったと思いました
親の立場の方からのメール 兵庫県(82):
今年5月に夫が亡くなり、自分の家に一人で生活しています
近所の人たちとも楽しく生活もできていて
元気な間は、友人、近所の人たちとお付き合いして過ごし
自由に生活したいと思っています
子どもたちに心配させないように
今はカラオケ教室に行ったり、ヨガ教室に行って健康維持しています
近江:
離れて生活している親がどういうお友だちと付き合っているかとか
家に一人でいるほうが好きなタイプなのかとか
そういうのも大事かもしれませんね
八嶋:コミュニケーションを取らないといけないってことですかね
近江:この方の場合は、お嬢さんと朝晩メールで連絡しあってるということです
埼玉県60代:
既に他界した母親の件です
福岡から私たちが転勤で関東に来て、その後、母親の年齢を考えて呼び寄せを考えました
生まれ育った場所から離れることで、一番の難点は言葉でした
慣れ親しんだ方言、標準語と思い込んでいた言葉も方言だったことも多いこと
この問題をクリアできる年齢ではなくて
結局、私が1か月に1度帰省していました
高野:
やっぱり言葉って、実はとても重要で
年代問わず、そういう問題はあると思います
割と関東って、いろんな地域から来てらっしゃる方が多いから
少し調べれば「県人会」みたいなものがあったり
同じ出身者の人たちの繋がりがあったりとか
そういうところにつなげていくと、そこをきっかけに
呼び寄せてからの生活範囲が広がる可能性があると思います
大吉:本人が社交的かどうかでまた変わりますよね
八嶋:
方言とか語気とかも関係するから、この人を怒ってんのかなとか
間違ったコミュニケーションみたいなになっちゃうのもあるのかなって気がしますね
メール東京都 30代:
昨年兄夫婦が隣の県に住んでいた両親を呼び寄せました
それまでは、宅配便や来客に備えて、毎日ちゃんとお化粧していた母が
同居して、その必要がなくなってから顔も洗わない日がありました
お友だちも周りにおらず、家にいる日が増え
そのうちに体調を崩し、両親とも呼び寄せから1年後には亡くなりました
やはりお友だちが多かった場所のほうが良かったんじゃないかなと後悔しています
高野:
ひとつ言えるのは、いろんな研究とかで
高齢者は、年を取ってからも元気で過ごし続けるためには
例えば運動が大事とか言われてきましたけれども
一番大事なことは、繋がりがあるかどうか
人の繋がり、趣味の繋がり、何でもいいんですけど
仮に呼び寄せた後に繋がりはいったん切れるわけなんだけれども
呼び寄せた地域でまた新しい繋がりを作ってあげることが大事だし
それができる親なのか、できる地域なのか
そういうことを踏まえて呼び寄せを考えられるとうまくいく
八嶋:親がどういう趣味があるのか、ちゃんと把握したことがあるのかなって
大吉:パッと浮かばないですよね
高野:
知ってるようで知らないんですよね
年を取ってから、一緒に暮らしてないし
そういうことをしっかり把握してコミュニケーションをとるのも大事ですね
3.息子に呼び寄せられた親 武藤さん(89)@東京都江東区
20年以上暮らしていた千葉を離れ現在は、息子と東京のマンションの10階で同居しています
スタッフ:素敵ですね
武藤さん:
せがれの感覚で色々なものが置いてあるものですから
私の感覚とは全然違う
26年前に妻を亡くし、一人で生活を続けてきた武藤さん
80歳になる時に息子との同居を始めました
息子は仕事で日中家にいられないため
ほとんどの時間を一人で過ごしています
食事も一人
(インスタントスープとか食生活が私と同じ なんだか胸が苦しくなる映像だ
地元では友人に囲まれていました
呼び寄せを持ちかけられた時は迷いがあったと言います
武藤さん:
町内会の役員もやってたんです
本当に家にも客が来た 電話はとにかくうるさいほどかかってきた感じ
1日が忙しかったです
家を建てるから来いよ、とせがれから誘いがあった
どうしようかと皆に言ったんです
ほとんどの人が「行かないほうがいい」「その年で行ったら孤独になって大変なんだ」と
(男性のほうが新たに仲間を見つけるのが難しいのかもしれないな
武藤さんにとって、長年親しんだ地元の友人の言葉は重く響きました
それでも呼び寄せに応じたのはなぜなのでしょうか
武藤さん:
一生せがれと住めない、暮らせなくなるのも嫌だなと思って
色々考えた末に、まあまあ孤独でも何でも仕方がない
確固たる決意はなかったけれども、
ふわふわっと来ちゃいました そんなに決意はないですw
Q:
新しい街で暮らすにあたって、親として、子どもからどのような言葉をかけられたら
呼び寄せに心が動くのか?
武藤さん:
それは言葉じゃないんじゃないでしょうか
それまでの親と子の絆の強弱じゃないでしょうか
両方が信頼し合っている親子だったらということですね
素直に迎えられたんじゃないかと思いますね
「家族も来るのを心待ちにしている」なんて言われたら来ちゃいますよ(笑顔
息子だけでなく孫もみんな待っている そんな言葉があれば
呼び寄せに前向きになれるといいます
(孫がいない場合はどうしたらいいんだろう そういう家族も多いはず
しかし、呼び寄せに応じたものの、引っ越し先で待っていたのは
都会のマンション暮らし 隣近所との付き合いはほとんどありません
武藤さん:
不動産屋さんの係の人に「私はマンション住まいは初めてで、どこに挨拶したらいいのか」と
一戸建てなら「向こう三軒両隣」と言うけれども
マンションはどこに挨拶に行ったらいいって聞いたら
「マンションに住むような人はそういうのを好かないからしなくていい」と言われました
驚きました だから9年住んでいて、隣の人の顔を見てないです 1回も見てない 寂しいですね
(こうして昼間に公園でベンチに座っている高齢者はたくさんいる しかも男性ばかり
武藤さんは、孤独を感じていますが、その胸の内を息子には打ち明けていません
武藤さん:
せがれにおんぶにだっこなんてことはするまいと
せがれというのは、自分が育てて大きくした
それに養ってもらうなんて考えられない
なんとか人とのつながりを持ちたいと考えた武藤さんは
自ら地域の様々な交流会に参加して自分の居場所を探しました
(男性の場合は、何か仕事とか役割があったほうが張り合いがあるのかも
武藤さんの場合、2年かけてようやく見つけたのは
生活相談員として人の悩みを聞くボランティアです
武藤さん:
的確なアドバイスはできませんけど、相談に来た人とお話はできます
気持ちいいですよ そうやって喋るのが一番いいですよね
人の役に立ってるという気持ちがプラスになりますからね
高野さん:
キーワードとなっている すごくいいなと思ったのは「ふわふわときた」
うまくいかなくなる可能性ももちろんあるんだけれども
今までの生活の積み重ねの中で思われた
その決断の仕方っていうのは素敵だなと思いました
もう一つは、役割は変わったけれども、元々担っていた役割と似たような形で
呼び寄せられたところでも、立派に役割を果たしてらっしゃる
そういう風に役割を続けられた そこが素晴らしいことですね
例えば人の役に立ちたいということだけじゃなくて
自分はまだ何かできるというような
もともと農業やってた人は「市民農園」で近所の人に教えてあげるとか
カッコいい話ではなくて、元々やってたことを続けられるようなことがあると
多分、呼び寄せられた後も元気に生活が楽しめる
大吉:
“自分が育てたせがれに世話になるつもりはない”って
そんな風に思う必要ないと思うんですけど
高野:
自立した高齢者でいらっしゃるんだけれども
冒頭申し上げたように、今、介護が必要になったり、認知症になるのは普通なので
そうなった時には、必要な支援を受けながら、その支援に頼っていいんだけれども
その上で、自分がやりたい事が出来ているとか
頼っていいけれども「自己実現」ができているかどうか
そういう風な生活ができることはとても大事で、それこそが「自立」なんですよね
だから決して弱みを見せることを「恥ずかしい」と思わずに
歳をとれば子どもの世話になる 介護サービスを活用する
その上で豊かになろうじゃないか
こういうふうに発想を転換する必要が、親世代にもあるだろうと思いますね
●「リロケーションダメージ」
雨宮:環境の変化は負担になるか、という質問が多かったんですが?
高野:
最近よく聞く言葉になったと思うんですけれども
「リロケーションダメージ」っていうのが高齢者にあるんですね
ロケーションが変わる 居場所が変わる それによってダメージがある
特に、認知症の人の場合は、それがよく見られて
居場所が変わるから認知症が進むっていうことではなくて
認知症がそこそこ進んでも、馴染みの環境だと買い物に行けたりできるんですよ
環境自体が変わってしまうと、新しいことを学習するのが苦手なので
やれていたことができなくなる やれていたことができなくなると気分も落ち込む
だから必ずしも居場所が移ることが悪いわけではなくて
元々出来てたことができるように、建物を工夫するとか
元々使っていたなじみの生活用品を持ってくるとか
元々使っていた思い出のタンスを呼び寄せ先に持ってきたら
それですごく本人が穏やかになったとかいう事例ってたくさんある
工夫の仕方で、環境の変化には対応できます
<呼び寄せにはどれくらい費用がかかるか>
1ヶ月:約20万円
1年:約240万円
呼び寄せの場合、近くに住む場合、谷川さんのケースで考えますと
住居費に敷金・礼金35万円かかりました
施設に入った場合、有料老人ホームの頭金として600万円 月々20万円
高野:
「人生100年時代」ですからね 平均寿命は90ですけれども
実際、今、高齢者の方は100歳まで生きるのが常識です
その意味では、呼び寄せた後も、呼び寄せる前の生活も介護が必要になって
すごく期間が長くなりますから
今すぐお金がかかるだけではなくて、中長期的に考えて
損得勘定を考えたら呼び寄せたほうが600万円かかってもいいんじゃないか
大吉:
これからも高齢者の数は増えていくじゃないですか
費用がこれだと高いなって思うんですけど
高野:
600万円 というのは割とお高めのところですね
もっとリーズナブルなところもありますし
特別養護老人ホームとかだと待っていらっしゃる方がたくさんいるから
すぐには入れないけれども、入居一時金は全くないので
出せるお金と、本人の状態と、地域の状況を色々調べてみると
きっと探せるんじゃないかと思います
大吉:ワイドショーとかで「悪徳業者」とかも見るから心配ではありますけれども
高野:
ごく一部の事業者にはそういうところがあるんですね
やっぱり足を運んで調べることが大事かと思います
今日は呼び寄せの特集でしたけれども、呼び寄せなくてもいい方法がたくさんありますから
地元にいらっしゃるケアマネージャーですとか
「地域包括支援センター」というところが必ず管轄地域でありますので
そこに相談すると、呼び寄せなくても上手くいく方法は見つかる可能性がたくさんあります
(実際やってみて違ったけど・・・
<FAXコーナー>
55歳:
一人っ子で、車で2時間半の所に母が一人暮らしです
番組では「親が元気な、早いうちに話し合うべき」とありましたが
私はとても無理です そんな話をしようとすると
「馬鹿にするのか!」と火のついたように怒り出し、宥めるのに何時間もかかります
通帳や印鑑を無くしても、決して渡そうとはせず
自分で管理できているのだということが母の支えなんだと思います
耳も遠く、一人で暮らすのは不安なのに、介護認定を受けるのは「人目があるから」と
受けることも拒否して、私が週1回通うことを求めます
ただ私も更年期になり、体調も優れず、受験の子どもたちもおりきついです
一体いつまで通えばいいんだ、なんて冷たい考えも浮かんでしまいます
90歳近くの母に強く言うこともできず、暗い気持ちになってしまいます
呼び寄せをしたら、母の全てを私が背負ってしまうようで重さに耐えられないと思います
高野:
今日の谷川さんは上手に呼び寄せられた
あの VTR にすごくヒントが隠されていて
あのお父さんもちょっとした交通事故を起こされたのをきっかけに呼び寄せるかという相談を始められた
高齢者ってやっぱり些細な不手際とかたくさんお待ちで
実は不安に思ってるらっしゃることがたくさんあるんですよね
だからそういうことを見つけて、話を始める
例えば自分の話で恐縮ですけど、実は、私は島根県に母親が一人でいまして
こちらのサービス付き高齢者住宅に入居させたんですね
正直3年かかりました
きっかけは、転んで手首骨折でした
私がこちらで手続きをしなければいけなかった
そういうことをきっかけに、時間をかけて話をしたことで納得が得られた
ちょっとしたことをきっかけに話し合いを始めるのがアタックチャンスということになります
大吉:「ちょっと話をはぐらかす」ってどういう心境なんですかね?
高野:
迷ってるんでしょうね
これもやっぱり谷川さんのケースなんかで、何度か連れてきて、また帰った
それをきっかけに相談を深めるということをやってらっしゃった
実際に呼び寄せられる側の環境も分かっていないし、不安だし でも地元にいるのも不安だし
そういう感情が、迷いというか、はぐらかしにつながっていると思いますから
そこも含めて、いい意味でそこに切り込んでいく
だから親世代も正直に弱みを見せたほうが今の時代はいいと思います
大吉:もう介護のケアを受けるのも当たり前ですもんね
高野:
90まで生きる、100歳まで生きると、その上での人生ですから、親もそれを覚悟しておく
大吉:
生意気ですけど、恥ずかしいなんて思わないで欲しいですよね
僕は受ける気満々でいますからね 若い世代の人、迷惑かけるね
Q:まず、どこに相談したらいいですか?
高野:
地域包括支援センターが一番頼りになると思います
これは管轄地域がありますので、地方に両親が住んでいるのであれば
その後、自宅を担当エリアにするセンター
これは市区町村役場に聞けばすぐわかります
逆に、呼び寄せた後どうしようかっていうことになったら
呼び寄せた側の首都圏とかの、自分が住んでるところの管轄の
地域包括センターに相談をする、電話すると、必ずすぐに相談に来てくれます
フットワークの軽い相談機関ですので、
遠慮せずにそういうところを活用されるといいと思います
総合的にいろんな相談をするっていう機能がありますから
介護が必要でなくても、些細なことでも相談されると
高齢者の対応のプロフェッショナルがいますので
(ここもパンク気味・・・
高野:
古くて新しい問題ですよね 我々世代の問題として きょうだいも少ないですし
親の負担はきょうだいの中で分担し合うということを考えておかないといけない
大吉:
うちははっきりお金で解決します それしかやりようがない
たまたまうちは姉夫婦がどっちも介護的な仕事しているので
床嶋:「ありがとう」ってひと言があるかないかでも違いますよね
高野:
一昔前だと高齢者が介護を必要とする期間って多分数年だったんですけれども
今は普通20年、15年かかりますから
その間を長男夫婦だけで世話をすることは、たぶん時代がついていってないんでしょうね
だからきょうだいで分担する
一人で抱え込まないことが介護を続けていく上で欠かせないことですね
FAX:
私たちも100年続く家を売り、千葉の息子の近くに家を求め、今2年になります
夫が認知症になり、軽度のうちにと思い、私も元気な時に後始末ができると思い切りました
元々旅行好きな夫だったので、新しいところには違和感もなく暮らしております
人にもよりますが、親と老後を早めに話しておくべきだと思います
(本当にケースバイケース
これまでの色々な「あさイチ」の番組を見て、とても納得して、実際に行動したけれども
結局、何も変わらなかった
やっぱり自分でやってみないと分からないんだな
専門家ゲスト:高野龍昭さん(東洋大学准教授)
ゲスト:床嶋佳子さん、八嶋智人さん
リポーター:雨宮萌果アナウンサー
【内容抜粋メモ】
<事前のNHKネットクラブアンケートより>
35歳女性:時間と交通費をかけて遠距離介護をするのが今から心配
59歳女性:本当は私が実家に帰るのが一番いいのだろうけれども・・・
床嶋佳子さん:
その時は全く無理だったので、もうちょっと時間が経ってからと思ったら状況がばっと変わってきて
たまたま私は、田舎に兄がいてくれるので、今は兄がほとんど見てくれてるんですけれども
本当にいつも東京で申し訳ないなっていう気持ちになりますね
八嶋智人さん:
僕の友だちで呼び寄せをした人がいるんですね
何かあってから行動に移しやすいのかもしれないけれども
もしかしたらお元気なうちに来たほうが
なんとなく新天地での活動も活発だったらいいのかなと思ったりとか
●4人に1人が地方出身者@神奈川・横浜の施設
男性:長男が見つけてくれて、住んでちょうど7ヶ月くらい
女性:息子2人がこちらにいますので
名古屋の女性:皆さん良い方ばかりで毎日楽しくやっております
●徳島さんのケース
福岡の介護施設に両親別々にいる
16年くらい前、私が面倒を見たほうがいいのかなと思い
広い部屋を借りて、両親をいっぺん呼んで年末年始一緒に過ごした
でも、やっぱり自分たちが慣れないところで、ものすごい不安そうで
これはちょっと無理だなと思って そのままになって
母の容態が悪くなったっていうのがありました
大吉:
うちもそうなんですけど、呼んだほうがいいかなと 母が福岡にいるんで
東京に呼んで、ちょっと過ごさせたんですけど、やっぱり落ち着かないですよね
私たちだって違うところに行くと不安なのが、お父さん、お母さん世代だからなおさらですよね
費用も色々かかったりとか、事情がそれぞれ違うと思いますけれども
雨宮:
あさイチでは6月に「遠距離介護」についても紹介しましたが
今回はもう一つの選択肢「呼び寄せ」について考えていきたいと思います
「親の呼び寄せの経験者訪問ツアー」と題しまして3箇所巡っていきます
<呼び寄せを検討する4人>
●樋口さん(48)
高齢者の事故が心配 仕事でどうしても川崎を離れることはできません
父親が亡くなり、一人暮らしになった母親を元気なうちから呼び寄せたいと考えています
呼び寄せは、私も離れているのでやっぱり一度は考えることだと思います
ただ簡単に答えが出るものでもない
母が車の事故をたまに起こしてしまう
軽微な事故ではあるが、軽微とはいえ、やっぱりどんどん高齢になってきますし
高齢者の事故も増えてきているのですごい心配ではある
親にも親の生活がありますし、私は私の生活があります
親子だからといって、無理やり統合するのは無理だなと思う
呼び寄せた時に親のコミュニティ、友だちをどう作っていくか
●鎌田さん(35)
聞きたいこと:本人の意思との調整
状況が全く同じ 車がないと生活できないような地域に住んでいて
義理の両親にこっちに来たいという気持ちにさせたいと思っているけれども
生まれも育ちもずっと向こうなので、やっぱり生まれ育った土地を離れるのは難しいのかな
互いの生活パターンをどうするか 新たなコミュニティをどう構築するか
●大松さん(48)
聞きたいこと:
親の説得方法
残される実家の処分 お墓とかどうするのか
介護のきょうだいでの分担は?
実家にある自宅、田んぼ、墓をこの後は誰が面倒見るのかな
●永峯さん(59)
聞きたいこと:
どのタイミングで呼び寄せましたか?
本人の気持ちはどうでしたか?
実際、生活が始まってどうだったか?
数年前からちょっとだけ認知症の症状があるんです
もう一人暮らしはやめたほうがいいということで施設に入った
この先何かあった時にどういう風になっていくのかが一番不安
呼び寄せたいと私は思っていて
だから今でも、もう少し良いところが近くにあるかなとか
ちょっとタイミングを見計らっているところです
<親の呼び寄せの経験者訪問ツアー>
1.小岩さん(57) 認知症の母親を呼び寄せて本当に良かったのか
まず訪ねたのは、本当に呼び寄せて良かったのか、今も自問自答繰り返している経験者です
小岩さんは、4年前に母親を自宅近くの施設に呼び寄せました
新潟で一人暮らしの母親
小岩さんが仕事や子育てに追われて数年間会っていなかった間に認知症になっていました
小岩さんは、介護が必要になるとは想像もしていませんでした
慌てて半年間の介護休暇を取り、まずは実家に住み込むことにしました
小岩さん:
月1は最低電話していました
こっちは働いていたので、私の悩みを「うん、うん」て聞いてもらっていた
だから親は元気と思っていた
帰省した時、私の娘の事が分からなくて、いとこだと思ったんですね
全然世代が違うのに、いとこの名前を言うので、うちの娘が
「おばあちゃん何か変なこと言ってる」
<アルツハイマー型認知症と診断された>
<家族は東京に残して移り住んだ>
一人っ子なので、全部自分でやって
役所に行ったり、包括支援センターに行ったり、色々回って
最初にデイサービスに行って、ショートステイもやって来たんですけれども
やっぱり一人なので、すべて負担がかかってくる
<介護離職>
認知症の母親の介護は想像以上に重いものでした
半年間の介護休暇はあっという間に過ぎ、結局仕事を辞めざるを得ませんでした
通帳とハンコとキャッシュカードをちゃんとどこに置いてあるのか
もう分かんなくなっちゃうような状態なので、私が全部銀行に電話して
しっかりしていた親がこんなになっちゃって、ものすごくショックで
今でも泣きそうになるんですけど
永峯さん:
私も札幌に行った時に、母が「あれ、どうしたの今日?」て言われたんです
「行くって言ってたじゃない」
すっかり忘れてて、それからはもう「カレンダーにちゃんと書いてね」
でも紙に書いてテープで貼り、家に帰ってくるともう剥がされちゃうんです
またどうしたらいいんだろうって考えて
小岩さん:
一番最初は「よし私が最後まで見てやるぞ」っていう勢いで行ったのに
いざ自分一人で準備をやってると、だんだん身も心も疲れてきて
もう自分が抱えているものがあまりにも多すぎて、重圧がすごくて、ちょっと鬱状態になった
仕事を辞めてまで始めた「住み込み介護」は長くは続きませんでした
小岩さんは、母親を施設に入れることを考えます
しかし、運転免許の更新や、娘の成人式など、用事があるたびに
東京⇔新潟を行き来しなければならず、遠距離の移動は大きな負担になります
結局東京に戻り、母親を呼び寄せるしかないと考えた小岩さん
それは、親の気持ちに反する選択でした
小岩さん:
前から「東京は嫌だ 空気が合わない」って言うんですよ
田舎の人と遊びで東京に来ても、やっぱり合わないから
本当は嘘ついてはいけないとは思うけど、そこは嘘をついて
「冬の間だけ」て言ったら、親が「じゃあ何月まで行けばいいの?」
そういうのでやっとちょっと行ってくれる気になったので
十分なセットが出来ず、罪悪感を感じながらも、無理に近くの施設に入れてしまった小岩さん
その結果、母親はスタッフに心を開かず、入浴や診断を拒むようになりました
そのため小岩さんは、多い時には週に5回施設を訪れて母親に会っているそうです
小岩さん:
全て拒否です 自分が見学に行ったところの施設長から
「どうしてこんなところに連れて来たの」とすごく暴れるという話も聞いたから
何でも自分でしてきた 一人でなんでもできるみたいな
大丈夫と思っているし、人にはあんまり頼りたくない
結局、施設を決めるのもこっちが勝手に決めて
施設に入れることに後ろめたさがある
親の人生を私が決めちゃっていいのかなという そういう不安感が未だにある
来てもらったほうがお互いにいいのかなと思いながらも
親の気持ちを考えると難しいのかな
だからなるべく早い段階から話しておいたほうがいいのかな
樋口:
まずは遊びに帰る 親と一緒に重い話をしなくてもいいけど
親の行動範囲内で一緒に生活していくというのは大事
まず第一歩としてちょっとやろうかなと思いました
床嶋:
全部気持ちがわかる 親の気持ちを考える気持ちも
でも物理的にどうにもならない お嬢さんが自分を責めてらっしゃる
でも責めすぎると、結局共倒れしちゃって、気持ちも鬱っぽくなっちゃう
私は割とドライに、もうやれることしかやれないっていう風に
どっかちょっと抜いていかないと
ケアマネージャーとして20年現場経験 東洋大学准教授・高野さん:
親の呼び寄せとかで遠距離はそもそも難しい問題なんですね
ただ小岩さんすごく自分を責めてらっしゃったけれども
責任感があって、親に愛情があって、その裏返しで
非常に頑張ってきたんだけれども抱え込みすぎた
責める必要は全くないと思います
ご自分も気づいてらっしゃったように、今回のケースを拝見して
2つポイントがあると思ったんですけど
1つは、実際に認知症が始まって、大変になってからの対応ではなくて
もっと早めに相談をされると良かった
なかなか難しいんですけれども
ちょっとだけデータを紹介すると、例えば介護が必要になっている高齢者って
85歳~90歳で、厚生労働省のデータなんですけど、ちょうど半分なんですね
80歳くらい介護が入らないまでも、何らかの認知症の症状がある人
80代になるとやっぱり半分ぐらいになるんですね
ですから、今平均寿命、女性は90歳ぐらいですから
年を取るということは、介護が必要になる 認知症になる
その上でどう暮らしを立てていくのか
子どもも考えなくちゃいけないし、親も考えなくちゃいけない
その意味で、早いうちから、まだ介護は必要じゃないけれどもどうするのか
相談しておく必要がある
八嶋:
親の世代の方々は、ちゃんと自分で判断して
なんとなくそういう将来の話も冷静にジャッジできる間に
話しておくのが大事かもしれませんね
高野さん:
もう一つは、小岩さんがものすごく後悔されてたのは
親の人生を自分が決めちゃった
親がなかなか決められない状況になってからの相談だった
それは仕方がないんですけど、やはり年を召していらっしゃっても
自分の人生は自分で決める
子どもはそのサポートするんだけれども
親が自分で決めた人生だとか、いい場所でなければ
なかなかそこでうまく生活を続ける事っていうのは続けられなくなる
だから相談して決めていただく
こういうことがあるともっと上手に介護ができたのかなと思います
大吉:
意識のズレというか、僕が思っているのと、親世代が思ってることが違うみたいですね
華丸:
絶対、「子どもに頼るか!」っていうことになるでしょう
そこをこじ開けるかどうか 親のプライドもあるし
<70代以上の方にアンケート調査をした 老後に暮らしたい場所>
大吉:
ゆくゆくは子どもと住みたいんだろうなって勝手に思ってたんですけど、少なくないですか?
八嶋:
親の世代で順番としていなくなるとして
自分の家に子どもが戻ってきて
自分たちが次のステージに行く時に
この家を守ってくれるみたいな感覚があるから
高野:
年齢に限らず、誰しも、自分がずっと暮らしてきたところで住み続けたい
呼び寄せるにしても、親の意向、考え方を尊重すべきだと思います
そういう意味では、呼び寄せしかないという風に決めすぎないということも一つ重要
地元で介護サービスを上手に使いながら
地元で暮らしていただくという選択肢もあるって事を知ってほしいなと思います
小岩さんの場合は、むしろそれを自分一人でやろうとしたので
もっと仲間を増やす、専門職、地域の人も含めて
床嶋:
一人っ子だから相談する人もいなくて
私は兄がいるからいいけど、もし一人っ子だったらどうしてただろうと
高野:
自分でできることは限りがあるんだとドライに考えたほうが
いずれにしても上手くいくと思います
八嶋:
いろんな選択肢をするってことは
話し合いの要素にもなるから大事かもしれないですね
2.谷川さん(64) 熊本から両親を呼び寄せて良かった
次に訪ねたのは、親を呼び寄せて11年 ベテランの谷川さんです
谷川さんは、熊本に住んでいた両親を東京に呼び寄せました
この選択は間違えていなかったと考えています
<呼び寄せのタイミング>
谷川さんの場合:親が将来に不安を感じた時に話を切り出した
谷川さん:
親父が73歳ぐらいの時、中学生と接触事故を起こした
車がないと何もできない田舎ですから
(まず、ここが一番の改善点では???
樋口:
その時のタイミングで呼び寄せを提案すると
母親も「一人で暮らしていけるのか」と考えるんですかね?
谷川さん:
ものすごく考えると思いますね
騙し討ちなんて絶対できないから、ある程度納得をしてくれるまで話をするしかないし
「こういう形になるよ」ということを何度も話をして
夢と希望を持ってもらうしかない
<両親が健在なうちに、呼び寄せ後の暮らしを具体的に1年かけて話し合った>
谷川さん:
おふくろが一人だったら出てこなかったかもしれない 昔の人ですから
父親が「せがれのそばに行こうよ」と言ったんで、多分そうなったと思う
大松:
まだ夫婦二人でなんとかやっているということがあるので
そんなに急いではいないんですけど
やはり一人になった時はちょっと不安
谷川さん:
一番大事なことはよく対話をすること
今からその先のことを準備しながら、どうあるべきなのかという対話をどれだけ繰り返すか
正解はない
谷川さんと両親は同じマンションの近い部屋に別に住んでいる
谷川さん:
そばにいないと意味がない
東京へ呼んで一緒に生活をしていない妻と子どもと生活するのはハードルが高い
「スープの冷めない距離」にいるから大丈夫だよと
何かあったらすぐに駆けつけられるから大丈夫だよと
樋口:友だち関係がいたのに、そこはどう作っていけるのか?
谷川さん:
うちの母はすごく社交性があって、デイサービスが大好き 1週間に4日行ってたんです
父親はデイサービスが嫌で仕方がなかった 「幼稚園じゃあるめえし」なんつってね
大松:
こちらに実際に呼び寄せる前に、何回か東京にいらっしゃって
地域の環境とかをお父さん、お母さんもご覧になった?
谷川さん:それは結構ありましたよ
大松:ここに住むんだという覚悟をきちんと自覚してらっしゃる?
谷川さん:そうですね
<母親は有料老人ホームに入所>
Q:施設の決め手は?
谷川さん:
私はスタッフの人柄
もう一つは、当然お金がかかりますから
入るのに600万円 背伸びしたんですよ 月々約20万円くらい(国民年金 約2か月分
それは、実家を売ったお金を母にこれだけ使おうと
そこもやっぱり絵を描いて決めた
田舎の家ってなかなか売れない
それもかなり早く手を打って売れた 全部積み上げていった
ポイント:介護を背負い込まない 娘の家族が分担してサポートしている
母親:
こうやってちょこちょこ来てくれるし、これが一番楽しみです
今日は来ると言っていたから、もう朝から待っていて
運動会とかの時はなかなか行けないでしょう
そうすると写真を撮って持ってきてくれて
「こうだったのよ」「私これなのよ」ってとても楽しみです
谷川さん:
確実に一週間に一回くらい、ここに誰かが来るように
来たら必ず写真を撮って帰る 母が忘れちゃう場合があるから
その写真で「こうだったよ」という感じですかね
一人では絶対に見られない 全部を背負うことは難しい
子どもの目線で助けてくれることが沢山ある
僕らが両親にいろんな話をするよりも
孫がひと言笑って「おじいちゃん」って言うだけで
「あー来てよかったな」って思うはず
ケースバイケースだと思うけれども、僕の場合は呼んで良かったなと
鎌田:
すごく参考になりました
夫婦や子どもとの対話があった上で、みんなで協力するということが大事
樋口:
お金の事は頭になかった
実際問題、話を伺うと、親が元気でいてくれることを願うだけ
ポイント:呼び寄せた後のことを考える
高野:
呼び寄せる時はまだ元気だった
そこから年を重ねていくわけで
その後、介護が必要になる、お金が必要になる
そこまで谷川さんはきちっと考えていらっしゃって
困ってからすぐ呼び寄せるという形ではなく
その後の長い生活を視野に入れながら呼び寄せられた
すごく上手にやってらっしゃったと思いました
親の立場の方からのメール 兵庫県(82):
今年5月に夫が亡くなり、自分の家に一人で生活しています
近所の人たちとも楽しく生活もできていて
元気な間は、友人、近所の人たちとお付き合いして過ごし
自由に生活したいと思っています
子どもたちに心配させないように
今はカラオケ教室に行ったり、ヨガ教室に行って健康維持しています
近江:
離れて生活している親がどういうお友だちと付き合っているかとか
家に一人でいるほうが好きなタイプなのかとか
そういうのも大事かもしれませんね
八嶋:コミュニケーションを取らないといけないってことですかね
近江:この方の場合は、お嬢さんと朝晩メールで連絡しあってるということです
埼玉県60代:
既に他界した母親の件です
福岡から私たちが転勤で関東に来て、その後、母親の年齢を考えて呼び寄せを考えました
生まれ育った場所から離れることで、一番の難点は言葉でした
慣れ親しんだ方言、標準語と思い込んでいた言葉も方言だったことも多いこと
この問題をクリアできる年齢ではなくて
結局、私が1か月に1度帰省していました
高野:
やっぱり言葉って、実はとても重要で
年代問わず、そういう問題はあると思います
割と関東って、いろんな地域から来てらっしゃる方が多いから
少し調べれば「県人会」みたいなものがあったり
同じ出身者の人たちの繋がりがあったりとか
そういうところにつなげていくと、そこをきっかけに
呼び寄せてからの生活範囲が広がる可能性があると思います
大吉:本人が社交的かどうかでまた変わりますよね
八嶋:
方言とか語気とかも関係するから、この人を怒ってんのかなとか
間違ったコミュニケーションみたいなになっちゃうのもあるのかなって気がしますね
メール東京都 30代:
昨年兄夫婦が隣の県に住んでいた両親を呼び寄せました
それまでは、宅配便や来客に備えて、毎日ちゃんとお化粧していた母が
同居して、その必要がなくなってから顔も洗わない日がありました
お友だちも周りにおらず、家にいる日が増え
そのうちに体調を崩し、両親とも呼び寄せから1年後には亡くなりました
やはりお友だちが多かった場所のほうが良かったんじゃないかなと後悔しています
高野:
ひとつ言えるのは、いろんな研究とかで
高齢者は、年を取ってからも元気で過ごし続けるためには
例えば運動が大事とか言われてきましたけれども
一番大事なことは、繋がりがあるかどうか
人の繋がり、趣味の繋がり、何でもいいんですけど
仮に呼び寄せた後に繋がりはいったん切れるわけなんだけれども
呼び寄せた地域でまた新しい繋がりを作ってあげることが大事だし
それができる親なのか、できる地域なのか
そういうことを踏まえて呼び寄せを考えられるとうまくいく
八嶋:親がどういう趣味があるのか、ちゃんと把握したことがあるのかなって
大吉:パッと浮かばないですよね
高野:
知ってるようで知らないんですよね
年を取ってから、一緒に暮らしてないし
そういうことをしっかり把握してコミュニケーションをとるのも大事ですね
3.息子に呼び寄せられた親 武藤さん(89)@東京都江東区
20年以上暮らしていた千葉を離れ現在は、息子と東京のマンションの10階で同居しています
スタッフ:素敵ですね
武藤さん:
せがれの感覚で色々なものが置いてあるものですから
私の感覚とは全然違う
26年前に妻を亡くし、一人で生活を続けてきた武藤さん
80歳になる時に息子との同居を始めました
息子は仕事で日中家にいられないため
ほとんどの時間を一人で過ごしています
食事も一人
(インスタントスープとか食生活が私と同じ なんだか胸が苦しくなる映像だ
地元では友人に囲まれていました
呼び寄せを持ちかけられた時は迷いがあったと言います
武藤さん:
町内会の役員もやってたんです
本当に家にも客が来た 電話はとにかくうるさいほどかかってきた感じ
1日が忙しかったです
家を建てるから来いよ、とせがれから誘いがあった
どうしようかと皆に言ったんです
ほとんどの人が「行かないほうがいい」「その年で行ったら孤独になって大変なんだ」と
(男性のほうが新たに仲間を見つけるのが難しいのかもしれないな
武藤さんにとって、長年親しんだ地元の友人の言葉は重く響きました
それでも呼び寄せに応じたのはなぜなのでしょうか
武藤さん:
一生せがれと住めない、暮らせなくなるのも嫌だなと思って
色々考えた末に、まあまあ孤独でも何でも仕方がない
確固たる決意はなかったけれども、
ふわふわっと来ちゃいました そんなに決意はないですw
Q:
新しい街で暮らすにあたって、親として、子どもからどのような言葉をかけられたら
呼び寄せに心が動くのか?
武藤さん:
それは言葉じゃないんじゃないでしょうか
それまでの親と子の絆の強弱じゃないでしょうか
両方が信頼し合っている親子だったらということですね
素直に迎えられたんじゃないかと思いますね
「家族も来るのを心待ちにしている」なんて言われたら来ちゃいますよ(笑顔
息子だけでなく孫もみんな待っている そんな言葉があれば
呼び寄せに前向きになれるといいます
(孫がいない場合はどうしたらいいんだろう そういう家族も多いはず
しかし、呼び寄せに応じたものの、引っ越し先で待っていたのは
都会のマンション暮らし 隣近所との付き合いはほとんどありません
武藤さん:
不動産屋さんの係の人に「私はマンション住まいは初めてで、どこに挨拶したらいいのか」と
一戸建てなら「向こう三軒両隣」と言うけれども
マンションはどこに挨拶に行ったらいいって聞いたら
「マンションに住むような人はそういうのを好かないからしなくていい」と言われました
驚きました だから9年住んでいて、隣の人の顔を見てないです 1回も見てない 寂しいですね
(こうして昼間に公園でベンチに座っている高齢者はたくさんいる しかも男性ばかり
武藤さんは、孤独を感じていますが、その胸の内を息子には打ち明けていません
武藤さん:
せがれにおんぶにだっこなんてことはするまいと
せがれというのは、自分が育てて大きくした
それに養ってもらうなんて考えられない
なんとか人とのつながりを持ちたいと考えた武藤さんは
自ら地域の様々な交流会に参加して自分の居場所を探しました
(男性の場合は、何か仕事とか役割があったほうが張り合いがあるのかも
武藤さんの場合、2年かけてようやく見つけたのは
生活相談員として人の悩みを聞くボランティアです
武藤さん:
的確なアドバイスはできませんけど、相談に来た人とお話はできます
気持ちいいですよ そうやって喋るのが一番いいですよね
人の役に立ってるという気持ちがプラスになりますからね
高野さん:
キーワードとなっている すごくいいなと思ったのは「ふわふわときた」
うまくいかなくなる可能性ももちろんあるんだけれども
今までの生活の積み重ねの中で思われた
その決断の仕方っていうのは素敵だなと思いました
もう一つは、役割は変わったけれども、元々担っていた役割と似たような形で
呼び寄せられたところでも、立派に役割を果たしてらっしゃる
そういう風に役割を続けられた そこが素晴らしいことですね
例えば人の役に立ちたいということだけじゃなくて
自分はまだ何かできるというような
もともと農業やってた人は「市民農園」で近所の人に教えてあげるとか
カッコいい話ではなくて、元々やってたことを続けられるようなことがあると
多分、呼び寄せられた後も元気に生活が楽しめる
大吉:
“自分が育てたせがれに世話になるつもりはない”って
そんな風に思う必要ないと思うんですけど
高野:
自立した高齢者でいらっしゃるんだけれども
冒頭申し上げたように、今、介護が必要になったり、認知症になるのは普通なので
そうなった時には、必要な支援を受けながら、その支援に頼っていいんだけれども
その上で、自分がやりたい事が出来ているとか
頼っていいけれども「自己実現」ができているかどうか
そういう風な生活ができることはとても大事で、それこそが「自立」なんですよね
だから決して弱みを見せることを「恥ずかしい」と思わずに
歳をとれば子どもの世話になる 介護サービスを活用する
その上で豊かになろうじゃないか
こういうふうに発想を転換する必要が、親世代にもあるだろうと思いますね
●「リロケーションダメージ」
雨宮:環境の変化は負担になるか、という質問が多かったんですが?
高野:
最近よく聞く言葉になったと思うんですけれども
「リロケーションダメージ」っていうのが高齢者にあるんですね
ロケーションが変わる 居場所が変わる それによってダメージがある
特に、認知症の人の場合は、それがよく見られて
居場所が変わるから認知症が進むっていうことではなくて
認知症がそこそこ進んでも、馴染みの環境だと買い物に行けたりできるんですよ
環境自体が変わってしまうと、新しいことを学習するのが苦手なので
やれていたことができなくなる やれていたことができなくなると気分も落ち込む
だから必ずしも居場所が移ることが悪いわけではなくて
元々出来てたことができるように、建物を工夫するとか
元々使っていたなじみの生活用品を持ってくるとか
元々使っていた思い出のタンスを呼び寄せ先に持ってきたら
それですごく本人が穏やかになったとかいう事例ってたくさんある
工夫の仕方で、環境の変化には対応できます
<呼び寄せにはどれくらい費用がかかるか>
1ヶ月:約20万円
1年:約240万円
呼び寄せの場合、近くに住む場合、谷川さんのケースで考えますと
住居費に敷金・礼金35万円かかりました
施設に入った場合、有料老人ホームの頭金として600万円 月々20万円
高野:
「人生100年時代」ですからね 平均寿命は90ですけれども
実際、今、高齢者の方は100歳まで生きるのが常識です
その意味では、呼び寄せた後も、呼び寄せる前の生活も介護が必要になって
すごく期間が長くなりますから
今すぐお金がかかるだけではなくて、中長期的に考えて
損得勘定を考えたら呼び寄せたほうが600万円かかってもいいんじゃないか
大吉:
これからも高齢者の数は増えていくじゃないですか
費用がこれだと高いなって思うんですけど
高野:
600万円 というのは割とお高めのところですね
もっとリーズナブルなところもありますし
特別養護老人ホームとかだと待っていらっしゃる方がたくさんいるから
すぐには入れないけれども、入居一時金は全くないので
出せるお金と、本人の状態と、地域の状況を色々調べてみると
きっと探せるんじゃないかと思います
大吉:ワイドショーとかで「悪徳業者」とかも見るから心配ではありますけれども
高野:
ごく一部の事業者にはそういうところがあるんですね
やっぱり足を運んで調べることが大事かと思います
今日は呼び寄せの特集でしたけれども、呼び寄せなくてもいい方法がたくさんありますから
地元にいらっしゃるケアマネージャーですとか
「地域包括支援センター」というところが必ず管轄地域でありますので
そこに相談すると、呼び寄せなくても上手くいく方法は見つかる可能性がたくさんあります
(実際やってみて違ったけど・・・
<FAXコーナー>
55歳:
一人っ子で、車で2時間半の所に母が一人暮らしです
番組では「親が元気な、早いうちに話し合うべき」とありましたが
私はとても無理です そんな話をしようとすると
「馬鹿にするのか!」と火のついたように怒り出し、宥めるのに何時間もかかります
通帳や印鑑を無くしても、決して渡そうとはせず
自分で管理できているのだということが母の支えなんだと思います
耳も遠く、一人で暮らすのは不安なのに、介護認定を受けるのは「人目があるから」と
受けることも拒否して、私が週1回通うことを求めます
ただ私も更年期になり、体調も優れず、受験の子どもたちもおりきついです
一体いつまで通えばいいんだ、なんて冷たい考えも浮かんでしまいます
90歳近くの母に強く言うこともできず、暗い気持ちになってしまいます
呼び寄せをしたら、母の全てを私が背負ってしまうようで重さに耐えられないと思います
高野:
今日の谷川さんは上手に呼び寄せられた
あの VTR にすごくヒントが隠されていて
あのお父さんもちょっとした交通事故を起こされたのをきっかけに呼び寄せるかという相談を始められた
高齢者ってやっぱり些細な不手際とかたくさんお待ちで
実は不安に思ってるらっしゃることがたくさんあるんですよね
だからそういうことを見つけて、話を始める
例えば自分の話で恐縮ですけど、実は、私は島根県に母親が一人でいまして
こちらのサービス付き高齢者住宅に入居させたんですね
正直3年かかりました
きっかけは、転んで手首骨折でした
私がこちらで手続きをしなければいけなかった
そういうことをきっかけに、時間をかけて話をしたことで納得が得られた
ちょっとしたことをきっかけに話し合いを始めるのがアタックチャンスということになります
大吉:「ちょっと話をはぐらかす」ってどういう心境なんですかね?
高野:
迷ってるんでしょうね
これもやっぱり谷川さんのケースなんかで、何度か連れてきて、また帰った
それをきっかけに相談を深めるということをやってらっしゃった
実際に呼び寄せられる側の環境も分かっていないし、不安だし でも地元にいるのも不安だし
そういう感情が、迷いというか、はぐらかしにつながっていると思いますから
そこも含めて、いい意味でそこに切り込んでいく
だから親世代も正直に弱みを見せたほうが今の時代はいいと思います
大吉:もう介護のケアを受けるのも当たり前ですもんね
高野:
90まで生きる、100歳まで生きると、その上での人生ですから、親もそれを覚悟しておく
大吉:
生意気ですけど、恥ずかしいなんて思わないで欲しいですよね
僕は受ける気満々でいますからね 若い世代の人、迷惑かけるね
Q:まず、どこに相談したらいいですか?
高野:
地域包括支援センターが一番頼りになると思います
これは管轄地域がありますので、地方に両親が住んでいるのであれば
その後、自宅を担当エリアにするセンター
これは市区町村役場に聞けばすぐわかります
逆に、呼び寄せた後どうしようかっていうことになったら
呼び寄せた側の首都圏とかの、自分が住んでるところの管轄の
地域包括センターに相談をする、電話すると、必ずすぐに相談に来てくれます
フットワークの軽い相談機関ですので、
遠慮せずにそういうところを活用されるといいと思います
総合的にいろんな相談をするっていう機能がありますから
介護が必要でなくても、些細なことでも相談されると
高齢者の対応のプロフェッショナルがいますので
(ここもパンク気味・・・
高野:
古くて新しい問題ですよね 我々世代の問題として きょうだいも少ないですし
親の負担はきょうだいの中で分担し合うということを考えておかないといけない
大吉:
うちははっきりお金で解決します それしかやりようがない
たまたまうちは姉夫婦がどっちも介護的な仕事しているので
床嶋:「ありがとう」ってひと言があるかないかでも違いますよね
高野:
一昔前だと高齢者が介護を必要とする期間って多分数年だったんですけれども
今は普通20年、15年かかりますから
その間を長男夫婦だけで世話をすることは、たぶん時代がついていってないんでしょうね
だからきょうだいで分担する
一人で抱え込まないことが介護を続けていく上で欠かせないことですね
FAX:
私たちも100年続く家を売り、千葉の息子の近くに家を求め、今2年になります
夫が認知症になり、軽度のうちにと思い、私も元気な時に後始末ができると思い切りました
元々旅行好きな夫だったので、新しいところには違和感もなく暮らしております
人にもよりますが、親と老後を早めに話しておくべきだと思います
(本当にケースバイケース
これまでの色々な「あさイチ」の番組を見て、とても納得して、実際に行動したけれども
結局、何も変わらなかった
やっぱり自分でやってみないと分からないんだな