メランコリア

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フィリップス・コレクション展@三菱一号館美術館(2019.2.5)

2019-02-06 14:58:15 | アート&イベント
フィリップス・コレクション展@三菱一号館美術館(2019.2.5)
会期:2018年10月17日(水)~2019年2月11日(月・祝)
開館時間:10:00~18:00?
※入館は閉館の30分前まで(祝日を除く金曜、第2水曜、会期最終週平日は21:00まで)
休館日:月曜日








“米国で最も優れた私立美術館の一つとして知られるワシントンのフィリップス・コレクションは、
 裕福な実業家の家庭に生まれ、高い見識を持つコレクターであった
 ダンカン・フィリップス(1886-1966)の旧私邸であった場所に位置しています。

 2018年には創立100周年を迎えます。
 1921年にはニューヨーク近代美術館よりも早く、アメリカでは近代美術を扱う最初の美術館として開館しました。
 フィリップスの常に鋭い取捨選択によって、コレクションの中核をなす作品群はいずれも質の高いものばかりです。
 本展では、この世界有数の近代美術コレクションの中から、アングル、コロー、ドラクロワ等19世紀の巨匠から、
 クールベ、近代絵画の父マネ、印象派のドガ、モネ、印象派以降の絵画を牽引したセザンヌ、ゴーガン、
 クレー、ピカソ、ブラックらの秀作75点を展覧します。”


三菱一号館美術館
“赤煉瓦の建物は、三菱が1894年に建設した
「三菱一号館」(ジョサイア・コンドル設計)を復元したもの。”


三菱一号館美術館はずっと気になっていた美術館で、行ったのは今回が初

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国際フォーラム側から歩いてすぐ
このレンガ造りの洋館を観るだけでも価値があった








中庭に回り、入り口から入ると中は迷路
しかも、思ったより混んでいた

最終日でもないし、平日だしと思っていたけれども
「アートシーン」でも紹介したせいか
さまざまな名画が一挙に観られるからか
もともと人気の美術館なのか

行列を案内するスタッフさんもキチンとしていて
チケット売り場、エレベータの案内までしてくれる

展示室は3Fから始まり、順路通り巡って、2Fもあり
途中、途中、中庭が見えて、休憩するソファ、イスも多いから親切






復元+中は現代風とはいえ、階段、ランプ、そこかしこに
当時の雰囲気が漂っていて、さすが三菱さんの財力&コンドルさん設計

展示半ばには、動物がいる絵画の複製を置いて
そこだけは写真撮影可能
最近、こうしたSNS拡散目的のスポットをわざわざ設けるよね、どこも












「屋根裏を見てください」とのことで、復元の一端が見られる工夫もある

 




迷路のような館内で、人は多かったけれども、
他の美術館のように、絵画をびっちり並べたり、長い解説文はなく

1部屋に10点くらいの絵画、ブロンズ像などの配置のバランスも適度で
それほど待たずに正面からじっくり観賞できた

でも、蒐集家フィリップスさんに関する長い説明書きは
HPやネットでも分かるだろうと読まずにすっ飛ばした

フィリップスさんは、その画家の代表作を集めるようにしていたようだが
好きなタッチと、そうでないものもあるから

今回、美味しいとこどりでいろいろ観られるというのが一番の魅力だったけれども
興味があまり持てない風景画や、静物画、印象派の絵画、
気が滅入りそうな暗い色、息詰まりそうな絵画はチラ観して
お気に入りを探して、じっくり観た


アンリ・ルソー 「ノートル・ダム」 可愛かったあ!




傑作ダンギ アンリ・ルソー@日曜美術館


ユトリロ「テルトル広場」




パウル・クレー「養樹園」




『パウル・クレー~おわらないアトリエ』@東京国立近代美術館

パウル・クレー 秘密のメッセージ@日曜美術館

『もっと知りたいパウル・クレー』


ジョルジュ・ルオー「ヴェルレーヌ」




ジョルジュ・ルオー聖顔に込められた魂の救済@日曜美術館


ドガ「踊りの稽古場にて」




ジャコメッティ「モニュメンタルな頭部」




『アートコミック まんが西洋美術史3』


ゴヤも観れたし、ピカソ、ゴッホ、モディリアーニ、ひと通りあった

その他、知らない画家とのステキな出会いもあった


ニコラ・ド・スタール「北」




ハインリヒ・カンペンドンク「村の大通り」(シャガールかと思った




***「アートシーン」




クロードモネ 「ヴァル・サン・ニコラ」 ディエップ近傍




フランスのノルマンディー地方を描いた
この場所でモネは、光が風景に与える効果を追求 岸壁の景色を50点以上も描いたという


ゴッホ「道路工夫」




うねるように伸びるプラタナスの木 ゴッホが耳を切って入院した病院の近くの風景
自殺する前の年の作品です


「アルルの公園の入り口」
友人のゴーギャンを待つ自身を描いたと思われる麦わら帽子の男性のいる絵もあった




こうした名作を収集したアメリカ人 ダンカン・フィリップスは、自らの邸宅を美術館にしました
フィリップスの審美眼にかなった作品が集う展覧会です




ボナール「犬を抱く女」




青と赤を大胆に組み合わせたボナールの作品
39歳のフィリップスは、この絵に衝撃を受け、ボナールを「色彩の天才」と呼びました


ボナール 「棕櫚の木」




光あふれる南フランスの光景 くっきりとした褐色の屋根
それに対し、すぐ近く、こちらを向く女性は青く沈んでいます ボナールの代表作の一つです


クレー 「養樹園」
一見、象形文字のように見えますが、これは様々な木の苗の形

学芸員:
クレーの作品をよく見ると、木の姿であったり、人の姿であったり
必ず現実のモチーフ、描く対象と強く結びつけられた表現がなされています
この具象と抽象のバランスというのはフィリップスが重んじた要素の一つでした

(この絵は良かった 淡いグラデーションの色がクレーらしい 部屋に飾っても全然飽きないと思った


「画帖」




フィリップスは、美術館にクレールームを作るほど夢中になりました

フィリップスが最も評価していた画家といえばピカソとともにキュビズムを始めたブラックです

ブラック「驟雨」




2本の柱のようなものが立っています そして不思議なことに右側だけ雨が降っています

学芸員:
雨の降るその瞬間、その場所、その雰囲気という表現にブラックは重きを置いていると思います
そうした情緒的な部分ですね これはフィリップスが特にブラックの作品の中で好んだところです


フィリップスの妻マージョリーは画家でした
2人ともブラックの作品が大のお気に入り
収集は生涯続きました




ブラック「フィロデンドロン」




ジャコメッティ 「モニュメンタルな頭部」
75歳になって最後に惚れ込んだのはジャコメッティの彫刻

(これは本当に細長くて、ゴツゴツしてて見とれてしまった
 近くにジャコメッティ展を開いた時の写真があり、全てが細長くてとても興味を持った


フィリップスは実に50年以上に渡り、新しい芸術との出会いを求め続けました


***

階段を下りると、順路はグッズ売り場と喫茶店
喫茶店も歴史があったのか でもメニューが高額すぎ

お馴染みのポストカードコーナーは大人気
複写と言えども、それなりのお値段なので買えないものね

そのお隣りは、今回の企画とは関係ないミュージアムショップ
美術書、クリアファイル、ピンバッヂとかはありがち
2月だからかチョコレートもあったけど、板チョコが1000円くらいしてた/驚

お酒、キャンディ?、紅茶、茶器、アクセサリーなどなど
他とはちょっと変わった品揃えで、思わずビスケットとクリップを購入(なぜここで?

ショップの中央にフィリップスさんのミニチュア部屋があって
アリスのように小さくなったら、ここで美術観賞が出来るのでは?というリアルさ/驚
私好みなのが4、5枚あって、本物に囲まれた自宅の部屋って一体どんな気分なんだ?!
ちょっと落ち着かないかも
※これだけは写真撮影OK








外に出て、改めて、建物と中庭を眺めた
まだ花の時期には早いけど、いろんな植物名が書いてあったから
時期になれば、とても華やかな風景になるんだろうなあ






後でパンフを見て、資料室もあると分かったが、入り口が違うのか
分かりづらい・・・




久々、生の筆遣いが分かる絵画鑑賞が出来て、今日も佳き1日でした/感謝



<今日拾ったチラシなど>

 





 

 

 








展示の最後に、フィリップス氏の言葉が印象的でメモった


ダンカン・フィリップス:
絵画は私たちが日常生活に戻ったり、他の芸術に触れたりした時
周囲のあらゆるものに美を見い出すことができるような力を与えてくれる
このようにして知覚を敏感にするよう鍛えることは決して無駄ではない
私はこの生涯を通じて、人々がものを美しく見ることができるようになるために
画家たちの言葉を人々に通訳し、私なりにできる奉仕を少しずつしてきた


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