数か月前に読売新聞教育取材班
『大学の実力2011』中央公論新社を読んだ。
筆者のひとりである読売新聞のMさんの講演を聞いたのがきっかけだ。
「高校教員は非常識」であるとキツイ一言も発せられていた。
高大連携という言葉が使用されることも多いが、
問題点はその境界線における「つなぎ」ではなく
大学の高校化の為の連携なのかもしれないことを痛感した。
友だちをつくるきっかけとして、
高校とは異なる大学での勉強法を指導することも目的に
国立大85%、私立大62%、公立大51%が
宿泊型オリエンテーションを実施しているそうだ。
5月病に陥らないための対策でもあると思われるし、
手をかけて面倒をみながら育てていくという策でもあろう。
良い企画であるような?
少々情けなく感じてしまう企画であるような?
私はこのデータ見て、
一般的に学力が高いと言われている国立大の数値の高さが意外に思えた。
様々な面倒見の良さが事例としてあげられていた。
新潟産業大学では「生活数学」という科目で
公文式の算数プリントを使い、
一ケタの算数からの学び直しをしているそうです。
京都薬科大学では理事長が率先して校門に立ち、
「社会人としての基本」を身につける挨拶運動をしているそうです。
学生数が一万人を超える大学で、
卒論を必修化しているのは
筑波大学・岡山大学・九州大学・東京農業大学の4校。
ゼミや研究室あっての大学だと思うのですが、
これについても少々意外でした。
この本のメインとして巻末に大学についての一覧表が掲載されていました。
各大学に対してのアンケート調査結果です。
そこには学生数・教員数・退学率・卒業率・入学者数・就職者数などが掲載されています。
このようなデータは今まで公表されてこなかったので、
非常に価値のあるデータでもあります。
日本の大学の退学率は、
欧米と比べるとかなり低いというデータも掲載されています。
2005年調査では
イタリア55%、米国53%、ニュージーランド46%、日本は10%です。
巻末データの首都圏にある大学で
最も退学率(入学から4年間での退学の割合)が高い大学は
31.3%の嘉悦大学です。
(東大2%、一橋1%)
約3人に一人が退学していることになります。
欧米との比較では、確かに少ない数字です。
とはいえこの数字が独り歩きをして
学生募集に悪影響を及ぼすことの危険性を私は感じてしまいます。
もっとも、アンケートに答えない、答えられない大学が存在します。
募集定員に欠員の多さや、退学率も高い大学もあるのは間違いありません。
大学としての判断で、公開する、しないを判断されていると思いますが
公表するも地獄、公表しないのも地獄。
このようなデータ公開は、
読売新聞の名を持って収集することができたデータでしょうが
弱小大学にとっては余計なお世話であり、
メディアの横暴であると捉えられるのかもしれません。
社会問題を公正な視点で批判する勇者なのか?
それともメディアの横暴なのか?
読者が判断することになりますが、
大学経営に悪影響を与えかねない劇薬になる可能性を私は感じてしまいます。
*メリークリスマス