山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

上演史上に残る壮挙・ナウシカ歌舞伎

2019-12-20 11:38:57 | アート・文化

  歌舞伎と漫画版ナウシカとのコラボは歌舞伎上演の歴史の中でも特筆される地歩を拓いた。 それは独善的な私見を言えば、従来の歌舞伎の演目はストーリーを展開させていく手法の見事さに画期がみられた。それはディズニー文化のポピュリズムに似ている。

 それは歌舞伎がスタジオジブリ・宮崎駿とつながることで、現代が直面する本質的な課題・人類の行く末などを提起する哲学的な警鐘を獲得したこととなった。それは歌舞伎界の弱点の分野でもあった。

          

  舞台上方の御簾(ミス)の中で演じられる歌舞伎浄瑠璃も見逃せない。三味線とともに語られる義太夫の語りはナウシカ物語の説明だったり、伝統的な太鼓・小太鼓・笛さらには拍子木の「柝(キ)」が加わりにぎやかなお囃子となったりで舞台を効果的に援護する。ここにも横文字が入った現代語の長唄が伝統的な浄瑠璃となって消化された。

 

 会場の「引幕」には巨大な巻物風の絵が描かれ、ナウシカ物語の歴史が表現されていた。下段左/船が空を飛ぶなど高度化された技術・産業文明が過度となる  下段右/高度化された技術は生命を作り出したり改変を人工的に実現していく  中断左/ その過度な技術は地上を破壊する「巨神兵」という兵器などを生み出した  中断右/それらの結果従来の森はなくなり、植物や生き物も絶滅する  上段左/それに耐えられる菌類や生物がはびこっていく  上段右/そうした終末世界を救うのは白い羽と青い衣を着た女性(ナウシカ)だ

 という伝説巻物となっている。こうして、昼夜通しの上演は、「仮名手本忠臣蔵」につづく長丁場であるとともに、13年もかかった大作漫画「風の谷のナウシカ」・ジブリとのコラボという前代未聞の壮挙に突進したのだった。それは明治以来の上演史に刻印した快挙であるとともに、それは以前観劇した東北の蝦夷「阿弖流為(アテルイ)」を共作した劇団「新感線」とのコラボが基礎にあるように思う。  

 

 

 

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