春野ふれあい公園にオールドカー「ランチア」が来ていた。上品で格調高いうえにモータースポーツでも花形だった名車だ。本拠地はイタリア・トリノにおいて1906年に創業したが、1969年以降はフィアットの傘下に吸収される。ロゴは創業者のランチアさんの名前が採用されているが、意味はイタリア語で「槍」を意味する。
エンブレムは、盾のなかに4本のスポークのハンドルを置き、槍と社名の入った旗とを組み合わせている。2007年からは、ハンドルのスポークは2本となり旗はなくなっており、デザイン的にはすっきりとなった。しかし、今は消滅の危機にあるいかにもオールドカーらしい名車でもある。ローマ帝国の末裔は盾と槍を捨てられなかったのか、ロゴに刻印されたそこがまさに「矛盾」だった。歌舞伎じゃないけど、伝統を重んじるとは腹をくくって革新していくことにほかならない。健全な保守派はけっこう革新的なのだ。元気がない革新派は思考停止してしまった頑迷な保守なのだ。