現代では貴重な子どもの歓声を聞きながら、路地裏をウォーキングする。すると、道端に錆びた鉄製のポチ兄弟がいた。錆びているとはいえ、年齢は若々しく眼もかわいらしい。しゃがみ込んでニヤニヤする。心がほどけていく。制作した作家の心遣いが伝わってくる。すごいことだ。人間でもなかなかこうはいかない。バケットには何を入れていたのだろうか。二匹のポチはこの路地で何を見てきたのだろうか。この家の家族のおおらかさがオイラの尖った心を融解する。
まもなく、とある家の玄関前で立ち止まってしまう。カエルや亀の古典的な石の置物にさらにウルトラマンやバルタン星人らが共存して玄関の空間を守っているではないか。ウルトラマンも50近いヒーローがいるらしい。バルタン星人も20億人くらい宇宙に生息しているという。このソフトビニールことポリ塩化ビニールの「ソフビ」人形はきっとパパの趣味だったのではないかと推測する。
ウルトラマンの基本任務は地球防衛と地球環境保全にある。地球温暖化の今、まさに彼らの出番だが、ウルトラマンは怪獣やバルタン星人ではなく一見「善良な市民」たちを敵にしなければならなくなった。敵は地球外ではなく自分の利益しか考えない人間となった。そのせいか戸惑いに沈潜するウルトラマンの憂鬱な葛藤を見てしまった。