わが家の入口に「ノリウツギ」(アジサイ科)が開花している。根っこが石垣から出ている野生木なので、ほおっておけば石垣がダメになる。いつかは伐採を考えざるを得ないが、入口から入ると見事な花が目の前にあって目立つことは確かなのだ。花の容姿はまるでカシワバアジサイに似ている。
この花の物語は、伊藤久夫が昭和30年に歌った「サビタの花」にもあるようだ。(北海道ではノリウツギをサビタという。アイヌの悲恋の民話からか??)
♪ からまつ林の 遠い道 / 雲の行くえを 見つめてる / サビタの花よ 白い花
誰を待つのか メノコの胸に / ほのかに咲いた サビタの花よ
樹高は約3m近くあるが、5mにもなる可能性もある。生命力が強いようで、いつの間にか大きくなってしまった。隣のバタフライガーデンには子孫がちゃっかり10本以上の勢力を形成してしまった。「コムラサキ」と並んで野生化、パイオニア植物となって、他の植物を凌駕・圧迫してきているので、移植を考慮している。ほんとうは6月中の予定だったが、この酷暑は移植の準備を阻止している。
和紙漉きで添加するネリを糊とも言うが、ネバリ(粘り)がネリになりさらにノリ(糊)になったとされる。楮の繊維の偏りを防ぎ均等にするため「ネリ」が必要とされるが、多くの生産者はネリにトロロアオイを利用する。
というのは、トロロアオイは草本で、毎年計画的に作れるが、木本であるノリウツギは手首くらいの太さになるのに30年かかるため、安定的な確保が難しい。そのため、岡山では伝統工芸を守るムーブメントとして、「ノリウツギの森」を作ろうというとりくみが起きている。