元旦の朝、新聞を買いにコンビニに行く。日本経済新聞・読売新聞・産経新聞・朝日新聞の4紙があったのでそれを購入し、さっそく社説を読む。
「読売」の社説の半分は北朝鮮情勢に費やして、「日米同盟は日本の外交・安保政策の基軸であり続ける」べきだとする。「読売」らしい長文の政府代弁記事だ。景気浮揚は眠っている金融資産3000兆円を動かす政策がカギとしている。
「産経」の社説の半分は、国防最前線で活躍している自衛隊員を描き出す。交通事故で負傷した日本人を助けた米海兵隊員がそこで車にはねられ重傷である美談を掲載している。記事の取り上げ方がやはり「産経」手法なのが気になる。しかも、首相の年頭所感と桜井よしこさんらとの座談会を大きく取り上げている。
「日経」の社説は、景気が上向きになった今こそ社会保障や財政健全化などの難問に骨太の方針が必要と提起している。相変わらず、淡々とした短い社説である。
「朝日」の社説は北朝鮮の脅威にまったく触れていないのが特徴。与党が政権維持を自己目的化していて長期的時間軸の政策が必要と提起。他の記事には、矢沢栄吉「一瞬のハッピーがあれば人はまた走れる」、いきものがかりの水野良樹「人との<分かりあえない>を超える歌がある」こと、脚本家の森下佳子「行く先の先回りをやめてまずは右往左往」することの意味、「逃走は<闘争>です」とする浅田彰などのディープな記事が満載して他紙を圧巻。
それぞれの主張は従来のスタンスと基本的には変わりがないが、重点がかなり違うのがわかる。共通しているのは、目先ではなく財政再建や社会保障などの骨太方針を着手すべきというところだった。
日本をどういう社会にしていくかの理念がない。哲学者や詩人がもっと活躍しなければならない。それには江戸から近代への遺産から学んでいくなかにヒントがあるように思えてならない。それはつまり西洋と東洋との進取の歩みから学ぶことではないかと。