パリ協定実施のための「COP23」の裏側で世界の大企業の幹部が集まって脱炭素の商談をしていたことは知られていない。(COP23とは、「気候変動枠組み条約第23回締約国会議」の略,今年11月にドイツで開催。2015年パリで開催されたCOP21で採択されたのがパリ協定。)
石油王のロックフェラー財団もすでに6兆円弱を投資していた化石燃料から撤退を表明し再生エネルギーへシフトすることを表明していた。
日馬富士の暴行事件には詳細な情報を連日しつこく報道しているのに、今後の日本のエネルギーの行末を決定づける再生エネルギーの展開と動向にはマスコミの大半が目をつぶっている。
トランプ大統領はパリ協定から撤退したが、アメリカのマイクロソフト・コカコーラ・ウォルマートなどの巨大企業が参加している。日本からはリコー・イオン・戸田建設・富士通・積水大和ハウスなどの中堅企業12社が参加しているだけで大手の大企業は参加していない。
環境対策では世界の先進にいる日本なのに、原発の再稼働や石炭の火力発電には前向きだが再生エネルギーには消極的だ。地熱発電や洋上風力発電ではトップを占めている日本だが投資がなかなか行われない。むしろ外国からは前向きな反応があるのに臍をかむ。
日本の電力会社は既得権益ばかり執着して阻害する側になるばかりか、高額な「再エネ発電促進賦課金」だけはしっかり徴収している。
外国の投資家からは、「日本は高度な技術力があるのに<変わる勇気>がない。このままでは世界から取り残される」と危惧されている。アメリカの流通大手のDHLは、電気自動車のトラックを自家生産しなけりゃ間に合わないと外注ではなく自社生産に踏み切った。
中部電力は、有名俳優を動員して連日CMに力を入れ、さりげなく原発の安全性をもPRする。原発推進には世論誘導に予算を投入するのが鉄則だからでもある。
それに比べ世界の投資家や金融機関は脱化石燃料にシフトし始め、ガソリン車撤廃・エコ文明を表明した中国へ熱い視線を向けている。太陽光発電の生産も中国がトップとなった。
自然との共生を大切にしてきた日本にとって世界や地球への貢献は必然であるはずだ。「新しい産業革命」と言われるこの分野にもかかわらず、目先の利益や権益に汲々としている日本の官民のほころびはすでに次々事件化してきている。
先進諸国では日本だけが取り残された。ビジネスチャンスはもう失ってしまったのか。政府の「人づくり革命」もなんと底の浅いものか、やはり、松下村塾から出直さなけりゃならないのだろうか。