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しばらくバタフライガーデンの一角に行かなかったこともあり、草刈りのためにその一角に直行する。すると、思い当たりのあるバラ科の植物が一大勢力となって周りに君臨していた。「コジキイチゴ」だった。長さが4mくらいになり自分で支えられないのでまわりの木にもたれながらもつぎつぎ枝を伸ばす厄介者だ。これを放置していたら大変なことになると、根っこから掘り出していく。
しかし、枝は鋭い棘だらけで、触ると痛そうな腺毛も密集している。普通の軍手ではとても痛くて触れないので、急遽厚手の皮手袋をはめて枝を鋸で伐っていく。それを運搬すると棘が足に絡まったりしてまさに、ジャケツイバラのようにこちらの体が棘で捕縛されてしまう。さいわい鎌を持っていたので、細い枝を何とか切りながらの作業だ。
名前の由来は、諸説あるが有力なのが、果肉が薄い袋状だった様子から、弥生時代に蒸し器として使われた土器・「甑」に似ているので「コシキイチゴ」⇒「コジキイチゴ」となったという。または古来からの在来種に「小字」という品種がありそれに似ていることから「コジキイチゴ」になったという説もある。卑近な例では、乞食でも食べないくらいうまくないイチゴなので命名されたという俗説もある。
橙色の果実はいかにもキイチゴらしい外観だけど、ほんのり甘みはあるものの果肉が少ないのでもの足りないのは事実。だもんで、だんだん食べなくなってしまう。そのうえに、繁殖力が強くまわりの木に覆いかぶさってしまい、相手の成長を阻害してしまう輩なのだ。根元の太さは3~4cmはあったように思う。地域によっては絶滅危惧種に指定されているが、とても大事にしようという気は起きない。その点、ジャケツイバラは冠のような見事な黄色い花を見せてくれるので棘の威力は半端ではないがつい寛容になってしまう。
乞食イチゴという差別的な名前を付けられてはいるが、花ことばは「純粋な愛」。清楚な白い花は絢爛さには欠けるけれども修道女のような控えめで、芯の強さがある。とはいえ、長い棘だらけの枝の肢体の処理には困った一日だった。