野生化したエビスグサの実を12月に入ってあわてて収穫する。半分以上はすでに種がなくなっているのはわかっていた。そのため、収穫量は期待しないまま網から枯れたエビスグサを取り出して昨日修理完了した足踏み機で稼働させる。
頑丈に修理しただけあって順調な作動だった。難点は重くてやはり移動が大変であることだ。足を踏むタイミングと回転するドラムにエビスグサの当て方との動作にはコツがいる。失敗すると危険ですらある。それでも、電気も石油もいらない環境に優しい有能な農機具であるのは変らない。この足踏み機は、岩を瞬時に移動させる修行をしている仙人からいただいたものだ。
足踏み機でおおまかに脱穀してから、今度は網目を変えながら「ふるい」にかけていく。小さいながらこれも優れた用具だ。これを繰り返すと希望がついてくる。
ここから手作業で風を送ってゴミを取ってもいいが、優れた「唐箕」の出番となる。こちらは近所からいただいたもので一部手直ししてから次回の稼働となる。日本の近代化がスムーズにできたのもこうした技術のベースがあったことを実感する。
実を採ってからのエビスグサの枝は「わら切り機」(押切機)で細かく切断する。これら一連の作業には電気も石油もいらない用具であるのが素晴らしい。自然エネルギー大国だった日本の粋を体験しているのだ。そしてこれらを堆肥場に持っていく。
これらの枝をシートの下に押し込んで上から踏み込んでまずはエビスグサ、こと「ハブ茶」原料づくりはまもなく「唐箕」を経てから大団円を迎える。生活習慣病や便秘に効果があるとされるエビスグサは、漢方では「決明子(ケツメイシ)」と呼ばれる生薬でもある。野生化するほど生命力にあふれているこのエネルギーをぜひ体内に吸収したいものだ。