調査や銘文清書用の借拓本は既に採ってあるのだが、今回は連休中ののんびりした気分で保存用の拓本採取が目的で栃木県田沼町の戸奈良まで出かける。連休中の中でも、特に手拓に適した日を選んで来ただけに手拓には早朝のすがすがしい空気に包まれた境内は最高条件となっている。そんな、田舎の空気が充分に味わえるのを良いことに、自宅から約1時間のドライブを終えた老体を休めようとまずは一休み。それから御婦人に拓本採りの快諾を頂いてから手拓開始。全紙の画仙紙があったとしても上下左右が1枚で取れないのは百も承知なので、今回も半切用紙でまずは上部の文様から手拓開始。もちろん、脚立を利用しての手拓作業となる。新緑の中で、ウグイスの鳴き声を聞きながらの手拓作業は、もう別天地へ来ているような爽快感で、タンポの響きもリズミカルで気分悪かろう筈もない。上部篆額途中まで採った段階で、またしても一休み。コーヒーを飲みながら、周辺の山里風景をタップリと味わってから、下部の銘文手拓開始。それを三回繰り返して、何とか手拓作業が完成したのは11時を過ぎていた。
お礼のご挨拶をしてから、またしても境内でのんびり。少し早いが、今回はここで早めの昼食とする。なにしろ今日の目的は終了したのだからと、更にここでそれから1時間ものんびりしてしまった。半年に一度くらいは、こんな余裕のある拓本採りも良かろうと、まあ納得できる手拓した用紙5枚を車に入れてこの地を離れる。