県内とは言え、宇都宮から足利市までは片道1時間半ばかり掛かる。ところが、現地へ着いてみると、風がビュービューと唸りをあげて吹いている!。ここへは、昨年の11月に来て、やはり強風で追い返された。もっとも、その時は樹木が茂っていて石碑全景の写真も撮れないありさまだったので諦めもついたが、今日は青空の下で桜は満開。唸りをあげている風さえなければ最高の採択日和だったのだが…。それでも諦めきれず、現地で風が少しでも弱まるかと待機したが駄目なものはダメである。仕方なく、今回は碑面の掃除をしてから現地を去ることにする。その汚れの様は前回に確認済みなので、今日はたっぷりと水を持参した。水をかけては洗い流すこと三回にして、ようやくご覧のような何時でも拓本が採れる状態にした。次回に拓本を採るときに問題なのは、脚立が無いと高くて上部の篆額が手拓出来ないこと。台座に大きな自然石があるので、脚立では上に登れない状態でもある。その時は仕方がない、篆額部分は省略することになるのだろうなと思いつつ、重い足取りでまた河川敷駐車場までの長い道のりをトボトボと戻った。それにしても今年の桜満開は早すぎる。帰宅するには早すぎる時間なので、足利公園でも立ち寄って桜見物よろしく時間つぶしでもしようかと立ち寄れば、出店も出ていて人も満杯。勿論駐車スペースもないので仕方なく、近くの福厳寺さんへ立ち寄って石碑の写真を撮ったり住職さんと会話を楽しんでから帰宅する。
今回は、誰でも意味が分かるようにしましたのを掲載しました。丁寧に、語彙説明も加えましたのでご照覧下さい。
それにしても今日は寒い。数日前までの、あの暖かさは何だったのだろうかとストーブを付けて、相変わらず石碑銘文清書で時間を費やしています。
ようやく当地にも春がやってきました。今日は、今年初めての農作業で、急いでジャガイモの種植え付け用地を耕しました。イチゴの苗も、寒さ除けにかけていた落ち葉を取り除ぞけば、沢山の花芽がありました。やはり、春なのですね。小さな面積ながら、今年は少なくも500粒位は食べられそうです。今から、ウヒヒです。
さて、今回掲載した下段は、銘文の変体かな当て字を含めて掲載。そして上段は、単純な読み下しです。意味が分からない箇所は辞典(古典語をふくめて)を調べてください。これを作成してから、宇都宮市の関係資料を見ましたら、その読み下した文章があるにはあったのですが、私とは随分と読み方が異なっていました。昔の調査者は、意外といい加減に読んでいるのを見て、何となく安心しました。(笑)
それにしても、今年は異常な寒さのために、石碑調査はさぼりにさぼりました。そろそろ、本気になって始めようかと思っているのですが、出遅れると何となく面倒になってしまった体が言うことを聞きません。これは苦笑です。
碑表は「安産稲荷道」という嘉永二年に建立された道標内容ですが、その両側面が完読出来ずにいたので、時間を見つけて再度手拓し挑戦しました。しかし、それでも読めない箇所が数か所出てきて悩むこと一週間余。そしてついに、昨夜にその難関を突破して全文を解読することが出来ました。その最大の要因が、今では全く使われない古語辞典頼りの単語が幾つもあったこと。字面からは、全く別の文字に見えたり、文字に傷が多かったりという次第で、あて読みは不可能。完読してから、改めて以前に自分で読んでみた文章と比較すると、それこそ顔から汗が出る程の読み間違いを見つけて苦笑いでした。つくづくと、傷んだ碑文の解読には難儀することを実感です。こうした碑文が、まだまだ未解決のまま沢山あるし、これからも新たな碑文と数多く出会うでしょうから、今回は良い勉強になりました。ちなみに、この碑文を読み切った文献には管見ながら出会っていませんので、何となく大役を終えた気分です。