法華経千六百部と観音普門品一萬巻の読誦結願塔で、四角柱四面にそれぞれ銘文があります。この塔の存在は随分前に知っていたのですが、なかなかに詳細な調査となると拓本も採らなくてはならないので眺めるだけに終わっていました。そしてようやく、10年近く経ってから、そういえば経典塔の調査等は今の石碑調査に入ってからは暫くぶりのことと、ようやく本気になって調査し、それを約一週間かけて清書しました。その他にも、例えば仏教用語の語彙説明なども作成したのですが、どうせそれらは誰も興味を示さないだろうと掲載しませんでした。本当は、その部分が最も銘文としては面白いのですが…。(笑)
それと、こうして昔の文字やその字体などをなぞらえてみると、本当に江戸時代までの漢字は面白いと一文字づつの作字に夢中になって楽しみました。この過程が、私にとっては他の人には理解できない最も心ウキウキの時間です。次回は、彼の足利出身書家、大竹 倍(大竹蒋塘)揮毫の石碑清書に入ります。これも時間を掛けて心躍る日時を過ごしていきたいものです。
そうそう、自分の勉強過程での中途半端な読み下しも、だいたいどんな内容かがわかる範囲で掲載しましたが、まだ最終校正には至っていませんので、正しくはこれからです。何よりも、異体字等を始めとして誰でもが読める明朝体でも銘文を掲載しておきたかったからです。読み下しで明らかに間違っている箇所もあるのですが、それは笑って見逃してください。
それでは、全景写真から掲載していきます。