ちょうど1年前の2007年6月3日、我等「からつ労山」は、大船山に登った。
天気は雨。
ぬかるんだ登山道。
まったく咲いていないミヤマキリシマ。
寒くて震えながら食べた昼食。
これでもかというように、ないない尽くしの登山であった。
この日は、入会したばかり人や、会員ではない一般参加の人が少なからずいた。
後日、初参加した人達から、『会員ニュース』やHPの掲示板に感想が寄せられたが、「参加しなければ良かった」「途中で帰ろうかと思った」などの書き込みを見て、ちょっとショックを受けた。
くじゅうの美しい展望やミヤマキリシマを楽しみにしていた人達にとっては、確かにガッカリの登山だったに違いない。
だが、登山は、晴れの日ばかりではない。
雨の日もあれば、風の日もある。寒い日もあれば、暑い日もある。
期待していた花が咲いていないこともあるし、悪天候で目的地に辿り着けないこともある。
だが、それも登山なのだ。
雨の日も風の日も、寒い日も暑い日も、それはそれで、最高の登山日和なのだ。
ないない尽くしの大船山を体験した初参加者の人達に、少しでも元気づけられればと思い、私はからつ労山のHPの掲示板に、次のような書き込みをした。
普段、美しく化粧をして、着飾った女性が、誰かに素顔を見せるとしたら、その相手の人物は特別な人であろう。
素顔を見せても大丈夫、素顔を見せても自分を嫌いにならないという信頼のおける人物、または、この人にだけは素顔を見せておきたいという大切な人――。
どうやら、今回、我々「からつ労山」は、大船山に、その「特別な人」に選ばれたような気がする。
登山中、ずっと降り続いた雨。
ほとんど咲いていないミヤマキリシマ。
ぬかるみ、よくすべる登山道。
強風で寒かった山頂。
まったく見えなかった眺望。
大船山は、見事に化粧も装いも剥ぎ取って、我々に素顔を見せてくれた。
まるで、私を嫌いになって下さいと言わんばかりに――。
我々が、もし、ミヤマキリシマが満開で、くじゅう連山はおろか、どこまでも見渡せる展望を得ていたら、本当の大船山に触れえていただろうか?
「美しかった! 素晴らしかった!」と、まるで芸能人やモデルを見たような感想しか抱かなかったかもしれない。
今回、大船山は、それらの華やかさを一切見せなかった。
見せたのは、素顔の美しさのみであった。
雨に濡れ、山の植物はイキイキとしていた。
生命力に溢れていた。
ありふれた植物であっても、何か特別な輝きを放っていた。
それを見ることができたこと、気づくことができたことに感謝しなければならない。
大船山――その素顔を知った我々は、いつの日か美しく装った姿も見てみたいと思っている。その時、我々は、誰よりも深い感動を得て、あなたを讃えるであろう。
いま読むと恥ずかしくなるような内容だが、この時は「また参加してくれるように」と、けっこう必死に書いた覚えがある。
嘘は書いていないし、これは私の素直な感想であった。
あの雨の日に見た植物たちのイキイキした姿は、いまでも私の脳裏に焼きついている。
不思議なことに、こんな過酷な体験をしたのに、その後「からつ労山」に、数名の方が入会された。
嬉しい驚きであった。
2008年6月1日の「からつ労山」月例山行は、「平治岳」。
天気は「晴れ」の予報。
まずまずの展望が得られそうだ。
だが、ミヤマキリシマは、インターネットでいろんな人の情報を読む限り、花のピークはまだまだ先のようだ。
もともとミヤマキリシマに大きな関心は持っていないし、くじゅう連山の美しい眺めを満喫できれば、私自身としては御の字である。
参加者は31名。
【Aコース】12名
吉部登山口~林道分岐~平治岳~大戸越~坊ガツル~立中山分岐~立中山~鉾立峠~坊ガツル~吉部
【Bコース】19名
吉部登山口~林道分岐~平治岳~大戸越~坊ガツル~吉部
私はAコースに参加。
今回は、混雑する大戸越からの登頂を避け、吉部から登る。
有料駐車場を出発し、ゲートのすぐ横の登山口を通り過ぎ、200mほど先から右折する。
緑のトンネルの中を、快適に歩く。
躰まで緑色に染まっていくようだ。
大船林道に出て、しばらく歩き、左に入る。
ゆったりした道が続くが、やがて傾斜が急になり、ロープやハシゴを使って崖を登り切ると、平坦地に出る。
ここにミヤマキリシマが咲いており、南に、これから登る平治岳の美しい姿が見えた。
これまで花にほとんど出逢わなかったので、いきなり色鮮やかなミヤマキリシマに出逢って驚いた。
ここからは灌木が多くなる。
足許を見ると、ヤマエンゴサクが……。
急坂をひと登りで、平治岳山頂に飛び出す。
まだ蕾が多いが、ミヤマキリシマがけっこう咲いている。
眺めも抜群!
三俣山や坊ガツルが美しい!
山頂は人が多く、記念写真を撮って、大戸越へ下山開始。
少し標高が下がると、花がいっぱい!
色鮮やかなミヤマキリシマ。
大戸越で昼食。
ここも人がたくさん。
交差点のように、人が行き交う。
大戸越から見る平治岳。
大戸越から見る三俣山。
いったん坊ガツルに下り、大船山の段原の方へ登り返す。
途中の立中山分岐から右折。
ここからはマイナールート。
迷って、何度か行きつ戻りつする。
赤テープを確認しながら慎重に歩く。
足許にイワカガミが……
やっとのことで、立中山山頂へ。
山頂に着いて驚いた。
一面、ミヤマキリシマの花盛りなのだ。
平治岳より標高が低い立中山では、今がミヤマキリシマのピークといった感じだ。
それにしても、立中山に、これほどのミヤマキリシマが咲いているなんて本当にビックリした。
山頂には、我等の他に、数人の登山者だけ。
大賑わいの平治岳に比べ、なんと静かな山だろう。
立中山なんてマンサクの頃に話題になるだけのマイナーな山だと思っていた私が馬鹿だった。
期待していなかっただけに、立中山には大感激だった。
立中山山頂から、平治岳を眺める。
平治岳山頂がほんのりとピンク色に染まっていた。
鉾立峠に向けて下山開始。
この立中山南斜面も、ミヤマキリシマがいっぱい。
花の間を縫うように、ルンルン気分で歩いていった。
鉾立峠から坊ガツルまでは、小さな花の道。
マイヅルソウが可愛い!
途中には、イワカガミの大群落もある。
やがて法華院温泉山荘に着いた。
ここでしばし休憩。
水の補給などをする。
法華院温泉山荘の入り口を覗いてみる。
ここにはまだ泊まったことがないので、いつか泊まってみたい。
その時に、法華院温泉山荘グッズもいろいろ買いたいと思った。
美しい坊ガツルを通って、帰路につく。
屋久島縦走をしたときに、テントも新しく買っているので、坊ガツルでテント泊もいいな……などと考えた。
1年前の雨の日、素顔を見せてくれた「くじゅう」は、1年後の今日、美しく化粧をし、着飾った姿も我々に見せてくれた。
我々は、素顔を知っているからこそ、その着飾った美しさに対する感動、感激は、他の人々よりも何倍も大きい。
「くじゅう連山」……あなたは誰よりも美しい!
天気は雨。
ぬかるんだ登山道。
まったく咲いていないミヤマキリシマ。
寒くて震えながら食べた昼食。
これでもかというように、ないない尽くしの登山であった。
この日は、入会したばかり人や、会員ではない一般参加の人が少なからずいた。
後日、初参加した人達から、『会員ニュース』やHPの掲示板に感想が寄せられたが、「参加しなければ良かった」「途中で帰ろうかと思った」などの書き込みを見て、ちょっとショックを受けた。
くじゅうの美しい展望やミヤマキリシマを楽しみにしていた人達にとっては、確かにガッカリの登山だったに違いない。
だが、登山は、晴れの日ばかりではない。
雨の日もあれば、風の日もある。寒い日もあれば、暑い日もある。
期待していた花が咲いていないこともあるし、悪天候で目的地に辿り着けないこともある。
だが、それも登山なのだ。
雨の日も風の日も、寒い日も暑い日も、それはそれで、最高の登山日和なのだ。
ないない尽くしの大船山を体験した初参加者の人達に、少しでも元気づけられればと思い、私はからつ労山のHPの掲示板に、次のような書き込みをした。
普段、美しく化粧をして、着飾った女性が、誰かに素顔を見せるとしたら、その相手の人物は特別な人であろう。
素顔を見せても大丈夫、素顔を見せても自分を嫌いにならないという信頼のおける人物、または、この人にだけは素顔を見せておきたいという大切な人――。
どうやら、今回、我々「からつ労山」は、大船山に、その「特別な人」に選ばれたような気がする。
登山中、ずっと降り続いた雨。
ほとんど咲いていないミヤマキリシマ。
ぬかるみ、よくすべる登山道。
強風で寒かった山頂。
まったく見えなかった眺望。
大船山は、見事に化粧も装いも剥ぎ取って、我々に素顔を見せてくれた。
まるで、私を嫌いになって下さいと言わんばかりに――。
我々が、もし、ミヤマキリシマが満開で、くじゅう連山はおろか、どこまでも見渡せる展望を得ていたら、本当の大船山に触れえていただろうか?
「美しかった! 素晴らしかった!」と、まるで芸能人やモデルを見たような感想しか抱かなかったかもしれない。
今回、大船山は、それらの華やかさを一切見せなかった。
見せたのは、素顔の美しさのみであった。
雨に濡れ、山の植物はイキイキとしていた。
生命力に溢れていた。
ありふれた植物であっても、何か特別な輝きを放っていた。
それを見ることができたこと、気づくことができたことに感謝しなければならない。
大船山――その素顔を知った我々は、いつの日か美しく装った姿も見てみたいと思っている。その時、我々は、誰よりも深い感動を得て、あなたを讃えるであろう。
いま読むと恥ずかしくなるような内容だが、この時は「また参加してくれるように」と、けっこう必死に書いた覚えがある。
嘘は書いていないし、これは私の素直な感想であった。
あの雨の日に見た植物たちのイキイキした姿は、いまでも私の脳裏に焼きついている。
不思議なことに、こんな過酷な体験をしたのに、その後「からつ労山」に、数名の方が入会された。
嬉しい驚きであった。
2008年6月1日の「からつ労山」月例山行は、「平治岳」。
天気は「晴れ」の予報。
まずまずの展望が得られそうだ。
だが、ミヤマキリシマは、インターネットでいろんな人の情報を読む限り、花のピークはまだまだ先のようだ。
もともとミヤマキリシマに大きな関心は持っていないし、くじゅう連山の美しい眺めを満喫できれば、私自身としては御の字である。
参加者は31名。
【Aコース】12名
吉部登山口~林道分岐~平治岳~大戸越~坊ガツル~立中山分岐~立中山~鉾立峠~坊ガツル~吉部
【Bコース】19名
吉部登山口~林道分岐~平治岳~大戸越~坊ガツル~吉部
私はAコースに参加。
今回は、混雑する大戸越からの登頂を避け、吉部から登る。
有料駐車場を出発し、ゲートのすぐ横の登山口を通り過ぎ、200mほど先から右折する。
緑のトンネルの中を、快適に歩く。
躰まで緑色に染まっていくようだ。
大船林道に出て、しばらく歩き、左に入る。
ゆったりした道が続くが、やがて傾斜が急になり、ロープやハシゴを使って崖を登り切ると、平坦地に出る。
ここにミヤマキリシマが咲いており、南に、これから登る平治岳の美しい姿が見えた。
これまで花にほとんど出逢わなかったので、いきなり色鮮やかなミヤマキリシマに出逢って驚いた。
ここからは灌木が多くなる。
足許を見ると、ヤマエンゴサクが……。
急坂をひと登りで、平治岳山頂に飛び出す。
まだ蕾が多いが、ミヤマキリシマがけっこう咲いている。
眺めも抜群!
三俣山や坊ガツルが美しい!
山頂は人が多く、記念写真を撮って、大戸越へ下山開始。
少し標高が下がると、花がいっぱい!
色鮮やかなミヤマキリシマ。
大戸越で昼食。
ここも人がたくさん。
交差点のように、人が行き交う。
大戸越から見る平治岳。
大戸越から見る三俣山。
いったん坊ガツルに下り、大船山の段原の方へ登り返す。
途中の立中山分岐から右折。
ここからはマイナールート。
迷って、何度か行きつ戻りつする。
赤テープを確認しながら慎重に歩く。
足許にイワカガミが……
やっとのことで、立中山山頂へ。
山頂に着いて驚いた。
一面、ミヤマキリシマの花盛りなのだ。
平治岳より標高が低い立中山では、今がミヤマキリシマのピークといった感じだ。
それにしても、立中山に、これほどのミヤマキリシマが咲いているなんて本当にビックリした。
山頂には、我等の他に、数人の登山者だけ。
大賑わいの平治岳に比べ、なんと静かな山だろう。
立中山なんてマンサクの頃に話題になるだけのマイナーな山だと思っていた私が馬鹿だった。
期待していなかっただけに、立中山には大感激だった。
立中山山頂から、平治岳を眺める。
平治岳山頂がほんのりとピンク色に染まっていた。
鉾立峠に向けて下山開始。
この立中山南斜面も、ミヤマキリシマがいっぱい。
花の間を縫うように、ルンルン気分で歩いていった。
鉾立峠から坊ガツルまでは、小さな花の道。
マイヅルソウが可愛い!
途中には、イワカガミの大群落もある。
やがて法華院温泉山荘に着いた。
ここでしばし休憩。
水の補給などをする。
法華院温泉山荘の入り口を覗いてみる。
ここにはまだ泊まったことがないので、いつか泊まってみたい。
その時に、法華院温泉山荘グッズもいろいろ買いたいと思った。
美しい坊ガツルを通って、帰路につく。
屋久島縦走をしたときに、テントも新しく買っているので、坊ガツルでテント泊もいいな……などと考えた。
1年前の雨の日、素顔を見せてくれた「くじゅう」は、1年後の今日、美しく化粧をし、着飾った姿も我々に見せてくれた。
我々は、素顔を知っているからこそ、その着飾った美しさに対する感動、感激は、他の人々よりも何倍も大きい。
「くじゅう連山」……あなたは誰よりも美しい!
一昨年だったかすごい数の虫で、近づくのさえ勇気がいりました。さんの力が必要とか。
その日がベスト で楽しんできます。
平治岳のミヤマキリシマは、私が行った時はまだ蕾が多かったので、明後日あたりがちょうど見頃ではないかと思います。
土曜日までは、天気も良さそうなので、楽しみですね。
「自分が登った日がベストの日」と思わないと、やってられないというのもありますが、どんな天気でも、どんな状況でも、その日その状況を体験できるのは自分だけですから、そういう意味で、自分にとっての最高の日なのではないかと思います。
私は今日、私のふるさとの山「隠居岳」のヤマツツジを見てきました。
私はヤマツツジのあの紅色も好きなんです。