一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

最近、驚いたこと(23)……ヴァイオリニストの荒井里桜さんとHIMARIさん……

2024年09月20日 | 最近、驚いたこと


最近、驚いたことの23回目は、
このカテゴリー、2度目の登場の荒井里桜さんと、(1度目はコチラから)


13歳の天才ヴァイオリニストのHIMARIさん。



先日(9月11日)、「ステータス(2)ストラディバリウス」(NHK)という番組を観た。


所有すれば「ステータスシンボル」となる名品逸品を一つ取り上げ、
その本物の感触を求めて、いささか無謀な旅に出るシリーズの2回目で、
今回は、ヴァイオリンの名器「ストラディバリウス」であった。
17~18世紀イタリアの職人ストラディバリが生み出したこの楽器をめぐる、
驚くべき古今東西の逸話の数々。
そしてまた、お宝の究極の「音」を追い求めて、無謀な旅に出る……というもの。
その番組序盤、私の好きなヴァイオリニスト・荒井里桜さんが出てきてビックリ。
出演されることを(事前に)知らなかったという驚きもあるが、
番組での、その内容と結果にも、大いに驚かされたのだ。


第87回日本音楽コンクールバイオリン部門において、
第1位(併せてレウカディア賞・鷲見賞・黒柳賞)を受賞して以降は、
ローザンヌ高等音楽院で研鑽を積んではいたものの、
他のコンクールではあまり好い結果を出せずにいた荒井さん。
荒井里桜さんの現在の使用楽器は、1837年制の J.F. Pressenda。
ストラディバリウスに代わる存在になるといわれている素晴らしい楽器なのだが、
2週間後にアルメニアで開催されるコンクールに挑む荒井さんは、
切り札としてストラディバリウスを望んでいた。


ヴァイオリン鑑定家、ヴァイオリンキュレーターの中澤創太さんと交渉の結果、


月額数十万円に上る保険料を自ら負担することを条件に、
(20億円といわれる)ストラディバリウスの短期間の貸与が許される。


結果、荒井里桜さんは、
アルメニアで行われた「チャトゥリアン国際コンクール」(ヴァイオリン部門)において、
第3位及びシューベルト・インタープリテーション特別賞を受賞。


ストラディバリウスを使えば誰しも名演ができるわけではなく、
ストラディバリウスの能力を引き出せる技量を持っていなければならず、
わずか2週間で楽器の能力を開かせた荒井里桜さんの技能あってこその快挙であった。


自身のInstagramで、荒井さんは次のように語っていた。

この度光栄なことに、第20回ハチャトゥリアン国際コンクールで、第3位とシューベルトのベストパフォーマンス賞をいただきました。
初めて取り組んだハチャトゥリアンのコンチェルトはなかなかハードでしたが、これまで知らなかった魅力を見出すことができてとても好きになりました。
いつか日本でも披露できる場所があれば嬉しいです。
そしてなにより、今回挑戦のつもりだったシューベルトのソナタでベストパフォーマンス賞をいただけたこと、またファイナルではモーツァルトのコンチェルトがトップの点数だったことを知ることができ、これは自分にとってすごく大きなことで、とても良い収穫がありました。
また、有難いことに日本でのコンサート活動も通常通り続けながらの中で、何曲もレパートリーを抱えることは体力的にも精神的にも厳しい時はありますが、今後の音楽人生においてもとても良い経験になりましたし勉強になりました。
これを糧に、今後もひたむきに頑張ります。
引き続き応援していただけたら幸いです。
沢山の温かい応援をありがとうございました。



※「チャトゥリアン国際コンクール」での荒井里桜さんの演奏は、コチラから。

荒井里桜さんのコンサートにも機会があればまた行ってみたい。



番組では、この後、
中澤創太さんからストラディバリウス「ハンマ」を購入したという実業家・前澤友作氏が出てきたので、(彼を嫌悪している私は)チャンネルを変えようとしたのだが、(コラコラ)
前澤友作氏が、このストラディバリウス「ハンマ」を、
(今、注目の)天才ヴァイオリニスト・HIMARIさんに貸し出したと知り、ビックリ。


【HIMARI】
2011年日本生まれ(13歳)。
3歳よりヴァイオリンを始め、原田幸一郎、小栗まち絵の両氏に師事。
6歳でプロのオーケストラと共演。
2022年、最年少でフィラデルフィアの名門カーティス音楽院に入学し、
現在、教育者として広く尊敬されているアイダ・カヴァフィアンに師事している。
第15回リピンスキ・ヴィエニヤフスキ国際ヴァイオリンコンクール2021特賞グランプリ(第1位 を上回る)を受賞。
第12回アルトゥール・グリュミオー国際ヴァイオリン・コンクール(ベルギー)第1位および特別大賞。
第26回アンドレア・ポスタッキーニ国際ヴァイオリン・コンクール(イタリア)第1位および特別賞。
第20回シェルクンチク国際音楽コンクール(ロシア)第1位。
第2回レオニード・コーガン国際ヴァイオリン・コンクール(ベルギー)第1位。
2019年にはザルツブルク・モーツァルテウム大学主催の国際サマーアカデミーに参加。
同アカデミーが2019年のザルツブルク音楽祭期間中に開催したコンサートでは、
最年少参加者として受賞。
モントリオール国際ヴァイオリンコンクールの一環として開催された「ミニ・ヴィオリーニ2023」では、唯一の賞である「Public Award」を受賞。
2025年3月には、巨匠ズービン・メータ率いるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、定期公演でソリストとしてデビューすることが決まっている。



※HIMARIさんの母親は、美人ヴァイオリニストの誉れ高かった吉田恭子さん。


私もファンだったので何度かコンサートには行っており、
サインもしてもらったりしていたので、感慨深い。


HIMARIさんを自宅へ招き、
ソファに座った前澤氏が、ワイングラスを片手に、
演奏しているHIMARIさんを見つめながら聴いている動画をSNSに投稿しているのを見て、
〈パトロン気分でいるんじゃねえよ!〉
と、憤ったりもしたが、(コラコラ)


何はともあれ、
ストラディバリウス「ハンマ」をHIMARIさんに貸し出したことは評価に値する。


HIMARIさんが奏でる“ハンマ”も聴いてみたいと思ったが、
HIMARIさんが11月~12月に東京・大阪・名古屋・福岡での開催を予定している、
自身初の国内リサイタルツアー「HIMARI Violin Recital Tour 2024」のチケットは、
すべて「sold out」であった。
いつの日か、HIMARIさんの演奏も生で聴いてみたい。

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