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一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

「鬼ノ鼻山~聖岳」往復縦走 ……里山の秋を存分に楽しむ……

2010年11月18日 | 鬼ノ鼻山・聖岳
今日も、佐世保に行く前に、山を歩こう。
午前中の短い時間の登山なので、また天山にしようかとも思ったが、自宅からもっと近い鬼ノ鼻山には最近登っていなかったので、鬼ノ鼻山に行くことにする。
鬼ノ鼻山山頂から聖岳山頂までもそれほど時間がかからないので、往復縦走して里山の秋を存分に楽しもうと思う。

天ヶ瀬ダムから歩き出す。
この天ヶ瀬ダムから見る天山は、いつ見ても素敵だ。

ダムの周辺に、スミレの群生地がある。
春にはスミレが咲き乱れ、それを見に行くのが私の春先の楽しみになっている。
秋の今、そこはどうなっているか見に行くと、こんなになって、種子ができていた。

ところが、その中に、スミレの花が……
最近は、春の花も、一年中咲いているような気がする。

近くには、ホトケノザや、

ナズナも咲いていて、なんだか春のよう。

キウリグサが美しい。

その他にも、たくさんの花が咲いている。
標高の高い山に行くと、もう花は極端に少なくなっているが、里山はまだ花が溢れている。


みかん畑を見ながらゆっくり歩いていく。
みかんは、わが町の名産品。

分岐を通過。

所々に紅葉が待ち構えていて、ハッとさせられる。

蒼空に映える。

鬼ノ鼻山(展望台)直下の美しい林。
落ち葉の絨毯が、フッカフカ。

展望台からの眺め。
遠くに見えるのは虚空蔵山。

右に目を転ずると、黒髪山系が見える。
英山から腰岳まで、ここから見ると、ほんのちょっとだけどな……(笑)

近くの小ピークが紅葉していて美しい。

三角点のある鬼ノ鼻山山頂に到着。
あの山名が書かれた小さな標識はいつの間にか無くなってしまった。

小春日和のポカポカ陽気。
しばし山頂で寛ぐ。
眼下に、町や村が見える。
こういう風景を見ていると、串田孫一の『山のパンセ』に収められた「山村の秋」の一節を思い出す。

《上へ登って行けば僅かばかり畑があって山道になると言われたその道を、もちろんいい加減のところで引き返すつもりで登って行くと、誰がそこに据えたものとも思えない、また自然に大昔からそこにあったとも思えない岩を見つけ、それに腰をかけて私は貰った柿を食べた。
 そうしてこの高みから村を見渡して、もしも私がここへ移り住もうという気持ちを起こしたとしたら、どこへどんな小屋を建てて生活することが許されるのだろうかと考えてみた。
 この村はどこに特徴があるというのでもないし、東側から左手で抱き込むように出ている尾根にしても、ところどころに私が腰を下ろしているのと同じような岩が露出しているだけで平凡なものである。だが太陽は秋になると暫くのあいだ、この村が好きで好きでたまらなくなると言った、優しさがこぼれたような光をそそいでいる。
 ここは恐らく太陽にとっては秘密の土地であるに違いない。そこに昔ながら住んで土を耕している者たちは、そんなことに気もつかずにいるかも知れない。それを、たまたまここを通り過ぎて行く私が、僅かの憩いの時間だけ、優しく高貴な光を浴びるのを許してもらえたのだろう》

「ここは恐らく太陽にとっては秘密の土地であるに違いない」という表現が素晴らしい。
太陽が「優しさがこぼれたような光をそそいでいる」その場所に私も居て、「僅かの憩いの時間だけ、優しく高貴な光」を浴びさせて頂いている。
至福の時間とは、このことだと思う。

聖岳に向けて歩き出す。
鬼の石像に御挨拶。

アキノキリンソウが美しい。

サザンカの小径には、何故かしらピンクの花だけが満開。

赤い花も少しだけ咲いていた。


標高464.4mの二等三角点を通過する。

クスノキの美林を抜ける。

右手にクヌギ林を見ながら、最後の登り。

聖岳山頂に到着。
素晴らしい眺めを堪能。

山頂直下に、紅葉した林を発見。
すこしヤブ漕ぎして下りて行く。

おお、美しい!

大袈裟ではなく、中央部分は金色に輝いていた。

帰りは、来た道を戻った。
今日、いちばん嬉しかった出来事は、この縦走路で、キッコウハグマに出逢えたこと。

この里山に、まさか咲いているとは思わなかった。

けっこうたくさん咲いていたので、また来年も楽しみだ。

佐世保に行く時、車で山越えして、大町町の方へ下りた。
私の自宅がある側からは、鬼ノ鼻山・聖岳山系の全景はまったく見えないのだが、反対側のこちらからは、バッチリ見える。
左端のちょっと出ているのが展望台。
その右隣が、鬼ノ鼻山。
真ん中の、いちばん高いピークが、464.4mの二等三角点があるところ。
右端が聖岳だ。

【番外編】
佐世保へ行き、その帰りに、鬼ノ鼻山の麓にある西溪公園に寄った。

今まさに紅葉のピークを迎えようとしていた。

西溪公園には毎年来ているが、ここ数年ではいちばんの鮮やかさ。

九年庵より美しいと言われている西溪公園の紅葉を、皆さんもぜひ……

※メッセージを頂いたkirikiriさんへ
 温かいお言葉、ありがとうございました。
 これからもどうぞよろしくお願い致します。

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