一緒に生きていこう 平成25年3月20日
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妻はどうにか、状況がつかめた。
教授がはるか福島から、自腹で交通費と時間を使って、
自分のところへやってきたこと。
その目的が、亡き夫の、謝罪の念を夫に代わって伝える事。
そして、自分の赦しが無い限り、夫はいつまでも暗闇の中で苦しまなければ
ならないということ。
夫はひたすら謝っていること。
また、必ず生まれ変わって会えるからと 教授の口を
借りて 亡き夫が言ってきたとき、妻はきれた。
妻: また生まれ変わったら、なんて、そんなこと、
どうでもいいのよ!
そんなの、まだ、ずっと、先の事じゃないの!
それまで、どうすりゃいいのよ!
私がいてほしいのは、今なのよ!
今、ここにいてほしいのよ”
・・略・・
もっともっと、一緒にいたかったのよ!
自分勝手もいいから、ケンカばかりしたっていいから、
何にもしなくていいから、生きていてほしかったのよ!
病気で寝たきりだっていいから、一銭も稼いで
くれなくたっていいから、
生きていて、そばにいて欲しかったのよ!
・・略・・
ほら、死んじゃったら話しもできないじゃないの!
死ぬってそういうことなのよ!
死んでから気づいたって、もう遅いのよ!
夫は、重い口を開いた(教授の口を借りて)
教授(夫): ごめんね。生き帰ることだけは、
もう、できないんだ。
・・略・・
妻: ねえ、どこに行っちゃたのよ!
教授(夫): ここにいるじゃないか
妻: どこに?
教授(夫): ここに、・・君の所に・・君と一緒になって、
いるじゃないか・・
妻: いないわよ!
教授: いるよ
妻: だって、見えないわよ。
教授: 一緒になってるから、見えないんだよ・・
みえないだけで、確かに、キミの中にいるんだよ・・
・・略・・
これからは、キミの体を借りて、生きていくんだ
・・略・・
だから、これからは、キミが食べるものが、僕が
食べるものなんだ
・・いいね?
君が観る映画は、僕も観ている。 君が聞く音楽は、
僕も聴いている。いい?
君が行くところは僕が行くところでもある、・・
そして、君が眠るときには僕も眠る。
こうして、その後も二人しか知らない会話が続く。
教授は、夫の魂がヴィジョンとして見せてくれるもの、
浮かんでくる言葉をそのまま、妻に伝えた。
二人が若いころ旅した国内の思い出のある箇所や、
ドライヴの思い出、露天風呂に入ったときに、
歌った歌、ゆう坊という一人息子のこと、
これから一緒に育てよう、ゆう坊と夫の魂は
言葉を使わないで話しができるんだよ・・、
そして、こうして、いつも一緒にいれること、
一心同体であることを、夫は妻に語った。
その時、子供の話が出てきたこと、若いとき二人しか
知らない事実を、教授の口からきいて、妻は心から
教授が、亡き夫の言葉を語っていると信じられた:
自殺した夫が、勝手に自分を顧みずあの世へ行った
と思い込んでいた誤解もとけ、再び、新たな愛情を
持って、許すこともできた。
そして、其の後、教授のところへ、この妻から大学宛てに
年賀状が届くのだ。
その内容は
”あれからは ずっと、主人と一緒の体で、主人と一緒
に息子を育てています。
なんだか急に、体を大事にしなくちゃと思って、人間ドッグも
予約しました。
今度、主人と息子と三人で、ディズニーランドに行ってきます。
主人が先立ってから、息子にせがまれても、行く気が起きなかった
んですが、主人が今も一緒にいるってわかったから、それなら、
みんなで行こうって、息子に約束したんです。”
あの世に行った魂は、残した家族を想い、常に、皆が元気で、
本当に幸せでいてほしいと願っているという。
そして、どうしたら、どんな形が、一番、家族にとって
幸せなのかも、同時に、見えているらしい。
必ずしも、だから、残した妻が亡き夫のために 独身を
貫くことを願っているケースだけではない。
場合によっては、自分以外に、いい人が現れたら、結婚して、
幸せな家庭を築いてほしいとメッセージを送ってくる、
場合もあるという。
残してきた家族の幸せ、これが、あの世へ一足先に
逝った魂の幸せでも あるのだろう。
引用箇所:”生きがいの創造” PHP研究所出版
飯田史彦著 2005年
飯田文彦氏紹介:1962年広島県生まれ。
元福島大学教授、経営学博士。
London City University Business School(大学院)
客員研究員、筑波大学大学院、東北大学大学院講師
IOU(International Open University)より、
日本人として初めて、総合医学部名誉教授称号の授与。
”生きがいメディカル・ネットワーク“顧問。
あらゆる、思想、宗教団体からの中立を宣言。