山の本のおすすめの中に新田次郎のエッセイ「山の歳時記」
があったので読んでみた。
新田次郎の傑作選を10作選ぶと8作は、山に関してのものだと
いう。
幼少期に山の中で暮らし、富士山測候所に勤務をしたのが山の
本を書いたきっかけだが、だからといって、山男ではなかった
のが面白く感じた。
人もびっくりするほどの遅足登山が信条で、しかも、案内人付き
の大名登山だったという。しかし、昼飯以外は止まらない、休まない
という上り方だったという。
さて、面白く感じた話を書いておこう。
花をつむ。という隠語があるが、これは、女性登山家向けに戦後
作られたもので、もっと昔からは、きじを撃つ。小きじを撃つ。
という隠語があったという。語源は、きじを撃つときの待ちの
姿勢が似ていたためだという。
もうひとつは、富士山測候所勤務時代に、冬季に単独行の男性が
泊めてほしいといってきたという。孤高の人の加藤文太郎と会ったことが
あると聞いていたので、てっきりその話かと思ってしまった。
しかし、次の日に、「後を追いかけて引き留めてほしい。」という
女性の悲痛な電話があった。残念ながら、彼は、危険なルートを選び、
滑落死したという。自殺志願者だったようだ。
もうひとつ、富士山の落雷は、年平均で7日。8月が多くて2日くらいとの
ことで、多いわけではないという。実は、知人で富士山で雷に出くわして
危ない思いをしたと聞いたので、珍しい経験をしたのだなあと思った。
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