ミステリーな森の生活

洋書ミステリー、英語学習、洋画レビューなどから始めましたが、今は、種々雑多(山岳小説、落語など)です。

風の市兵衛(辻堂魁)

2015年04月29日 | 時代劇はミステリー

久しぶりに、読んだことのない作家の時代劇を読んだ。

なかなか、新鮮だった。

理由は、2つだ。

一つは、設定が面白かった。主人公が、”算盤侍”なのだ。

算術が得意で、侍なのだが、雇われ用人として、やりくりに
困った武家に入って、借金の返済方法を考えたり、
生活費のねん出に力を発揮するのだ。

どうも、商人出身で、そういった雇われ用人というのも
多かったらしい。

この作品の中でも、何故、借金を作ってしまったのか?
というところから、探索していく当たりも面白い。

しかし、それだけで勝負というわけではなく、実は、
以前は、剣術家としても、相当なところまでいった設定である。
まあ、そうでなければ、やはり、時代劇は面白くない。

二つ目は、文体だろう。

風野真知雄の作品は、どちらかというと、少し、軽くて
読みやすいのだが、それに比べると、少し、重い。

ときどき、漢字も難しかったりする。たいてい、読み仮名が
前に出てくるのだが、忘れるとやっかいだったり、
意味がとれない場合があった。

たとえば、病名の名前で、”頭塞”というのが出てきたが、
ウエブで江戸の病名のデータベースにあたっても、
ヒットしなかった。

また、”凪”という意味も、ちょっと違うのか?

出版社出身の作家だけあって、江戸時代の用語などを、
ずいぶん、調べられたのかも知れない。

又、剣劇の表現が、なかなか、迫真の表現というのか、
どちらが勝つか、刹那までわからないような緊迫感が
あった。 

 

 


 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 真打昇進披露(浅草演芸ホール) | トップ | 鎌倉大仏の謎 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

時代劇はミステリー」カテゴリの最新記事