久しぶりに、読んだことのない作家の時代劇を読んだ。
なかなか、新鮮だった。
理由は、2つだ。
一つは、設定が面白かった。主人公が、”算盤侍”なのだ。
算術が得意で、侍なのだが、雇われ用人として、やりくりに
困った武家に入って、借金の返済方法を考えたり、
生活費のねん出に力を発揮するのだ。
どうも、商人出身で、そういった雇われ用人というのも
多かったらしい。
この作品の中でも、何故、借金を作ってしまったのか?
というところから、探索していく当たりも面白い。
しかし、それだけで勝負というわけではなく、実は、
以前は、剣術家としても、相当なところまでいった設定である。
まあ、そうでなければ、やはり、時代劇は面白くない。
二つ目は、文体だろう。
風野真知雄の作品は、どちらかというと、少し、軽くて
読みやすいのだが、それに比べると、少し、重い。
ときどき、漢字も難しかったりする。たいてい、読み仮名が
前に出てくるのだが、忘れるとやっかいだったり、
意味がとれない場合があった。
たとえば、病名の名前で、”頭塞”というのが出てきたが、
ウエブで江戸の病名のデータベースにあたっても、
ヒットしなかった。
また、”凪”という意味も、ちょっと違うのか?
出版社出身の作家だけあって、江戸時代の用語などを、
ずいぶん、調べられたのかも知れない。
又、剣劇の表現が、なかなか、迫真の表現というのか、
どちらが勝つか、刹那までわからないような緊迫感が
あった。
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