読売新聞の書評で、興味をもって、本書を読んでみた。
山本周五郎賞、直木賞、山田風太郎賞の候補になった作品という。
題名が、なかなか、刺激的だ。
最強と呼ばれた剣豪、宮本武蔵と対戦した相手側からの
物語かなと想像させた。
7章に分かれているが、最初の3章は、それに近く、中々、
面白く読めた。
しかし、4章以降、ちょっと、話が込み入ってきた感じがした。
第六章で、4~5章の謎めいたものが整理されていくのだが、
小次郎や武蔵の父、無二斎の存在が、あまりに、従来のものと
違っており、受け入れるのが難しい感じがした。
吉川英治の武蔵像が、多くのフィクションでありながら、
イメージとして焼き付いているためだろうとは思うが、
新しい武蔵像が、ぴんと来ないのだ。
山田風太郎の摩訶不思議な剣豪小説を読んだことがあるが、
ちょっと、それに近い感じになってしまった。
剣劇の迫真さも、そこそこ、あるのだが、読後感としては、
創作の面白さと、つまらなさの微妙な境目がある作品だった。
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