7編の短編からなる「山桜記」を読んだ。
戦国の夫婦の姿を描いた短編集ということで、非常にユニークな
作品集だった。
また、どれも、質の高い、美しい作品だった。
どれか、一つと選ぶのも難しいが、「牡丹咲くころ」という作品の
最後のやり取りは、ちょっと、美しすぎる。
ほのかに思う女性を何としても守りぬきたい花として、
花の美しさを守ろうとする人の心を、花は知らずとも良いと夫に言われ。
今度は、牡丹の木を送ってもらって、移し替えようとしたとき、奥方から、
一つお願いがある。根から土が落ちぬように、牡丹が気づかぬようにそっと、
移して欲しい。というのだ。「それが、花の幸せにございますゆえ」
これだけでは、よくわからないかも知れないが、その場合は、この作品を
読んでもらうしかないだろう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます