本書は、葉室麟の初めての直木賞候補の作品だ。
葉室麟の作品は、3回連続で直木賞候補にあがったが、取れず、
そのあと、「蜩の記」で、やっと取れた。
直木賞のイメージは、直木って?誰?、いつも、芥川賞と一緒に
発表され、純文学ではない、大衆文学に授与される。くらいだろうか。
今までで、読んだことのある作品には、「強力伝」「マークスの山」
「テロリストのパラソル」「理由」「蜩の記」など、面白かった。
本書の解説でも、本書に直木賞を与えなかったのは、瑕瑾であると、
本書を絶賛している。
読んでみての感想は、あまりに、盛りだくさんすぎたせいではなかったかと
感じた。
一組の夫婦が、一つの和歌をめぐり、命をかけて再開を果たす感動の
物語なのだが、幕府、朝廷、藩が絡んだ大きな渦に巻き込まれて、数々の
登場人物や、敵との対決、時代背景などがあり、複雑すぎる印象を持ったのだ。
また、ミステリーの要素も含まれていた。
前半は、正直言って、登場人物の名前が多くて、頭の中が混乱してしまった。
それも、結構、実在の有名人なのだ。
例えば、水戸光圀やら、熊沢蕃山、柳沢義明などなどだ。
しかし、後半は、剣劇もあり、面白く読めた。終わってみれば、さすが、葉室麟、
見事な作品だと思った。
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