トロルお爺の”Satoyaman”林住記

生物生産緑地にて里山栗栄太が記す尻まくりワールド戯作帳

映画祭のパンフレット

2024-03-17 | 番外編

 姥捨て山の孤爺ともなれば社会性や文化からは遠く離れた存在になっている。けだしその通り、なのであるが孤爺となる前の若き日のみぎりより「毛出し」の奇跡はついぞ現れなかったままで現在に至る。それは何より「親の因果」でも「前世の誤り」でも無く生身である現世そのままの実態なのだった。その悪戦苦闘、獅子奮迅、OH!モーレツ!、そして聞くも涙語るも涙ぶりはドキュメンタリーになるだろうし、一方で現在マイブームの「発酵惣菜」の世界にはかの「発酵の旅」だったかの小雪女史やら小泉大先生や江上トミ学園長からも絶賛賞賛訪問取材まで期待できるはずなのだが、前述の如く姥捨て山の孤爺では連絡の当てがある訳がない文化とは無縁の野生である。

 そんな中での先日、ヤギさん郵便でハード封筒が届いたのだった。さすがにハード封筒だったのでヤギも食べれなかったようだ。中身は「大倉山ドキュメンタリー映画祭」でのチラシやシナリオ解説などで「杜人」や「サステナ・フォレスト」などの環境保全の映画が紹介されていた。それだけでなく上映された10作品はどれも「社会派」ともいえる内容で興味深い作品ばかりだった。のだが既に映画祭は終了してそれでも「サステナ・フォレスト」についてはまだ全国6都市で鑑賞の機会があった。「久しぶりに映画でも…」と思いつつも新型コロナの流行やエンフルエンザの再流行中の世相では姥捨て山から市中真っただ中へ出かける訳にもいかない。ここは「孤爺は黙って詰め用事」するしかないのだ。

 送り主は高校時代にはワンゲル部のキャプテンだった友人恩人の奥様で、大学時代は実習の折りに新婚所帯なのに2週間もの居候を許してくれたのは破格の待遇と言って良い。ただ誠に残念なことにコロナ猛威下の先年に恩師の後を追い共に補陀落山への山行に旅立っている。心残りはお別れも出来なかった事に尽きるけれど、これはまあ浮世の定めでもある。それは別にして第二びわこ学園のドキュメンタリー映画「わたしの季節」のパンフレットも入っていた。奥様自身は恐らくこの映画を見ていたに違いないのだが、パンフレットが入っていたのは共通する仕事の世界だったからだろう。

 そんな事から現在過去未来、改めて想起回想妄想に陥ってしまい、この記事を書いてしまった・・・と言う事になる。思い起こさなくても忘れもしないワンダーフォーゲル部で出合ったことが我が人生を決めたのであって、部活の折々、山行の端節でそういうことを話題にしたことは無かったものの高校を卒業してからの進学先はもう一人の同期の部員を含め学校が異なってはいたものの学部は同じで職業も同じ道を選んだのだった。今、振り返ってみずともキャプテンご夫妻の生き方に共感したのは間違いない。人生の追憶は映画のように映像で残されている訳でも無いけれど忘れられない出来事や忘れてはいけない出来事に満ち溢れている。生者必滅・会者定離、かくして終焉と共に全ては虚無の彼方へ散じて悠久の時を得て新たなる息吹へとつながるのだろう。そんな事からフォスターの名曲「老犬トレイ」を老賢孤爺は口ずさむ事になるのだった。ハイ。