冬のスポーツの花として、マラソン、駅伝があります。特に駅伝では「ゴボウ抜き」という言葉が良く使われます。
私は、この「ゴボウ抜き」という言葉にどこか違和感を覚えるのです。
ごぼう‐ぬき〔ゴバウ‐〕【▽牛×蒡抜き】
1 牛蒡を引き抜くように、棒状のものを、力を入れて一気に引き抜くこと。
2 多くの中から一つずつを勢いよく抜くこと。座り込みの人などを一人ずつ排除したり、人材を引き抜いたりする場合に用いる。また、競走などで、数人を一気に抜くことにもいう。「ピケ隊を―にする」「一〇人を―にして堂々入賞する」
辞書:大辞泉
ごぼう抜きの語源・由来
ごぼう抜きの意味は大まかに分けて三種類あるが、棒状のものを抜く意味や、人材を抜く意味で用いられる「ごぼう抜き」は、単に「ごぼうを抜くように」といった形容の意味からと考えられる。
マラソンなどで一気に抜く意味として使われる「ごぼう抜き」の語源には、二通りの説がある。
1.ごぼうは他の野菜に比べ細くまっすぐ伸びているため、長い割りと容易に抜くことが出来ることから、「ごぼう抜き」と言うようになったとする説。
2.ごぼうは抜きにくく大変な作業であることから、抜きにくいものを一気に抜く意味で、「ごぼう抜き」になったとする説。
この二説は全く正反対な語源となり、一般には「1」の説が多くみられる。
ごぼう抜きの作業が、実際には容易なのか困難なのかであるが、これはごぼうの栽培地や品種によって異なる。
砂質壌土や火山灰地であれば容易に抜くことができ、一般の畑の土で育ったごぼうは抜きにくい。
堀川ごぼうのような関西ごぼうは短根で抜きやすく、主流となっている滝野川ごぼうのような関東ごぼうは長根で抜きにくい。
一般的に栽培地や品種では、ごぼうは抜きにくいものと考えられ、「2」の説が有力と考えられる。
また、「意外にも簡単に抜く」という意味では「1」の説も考えられるが、「実際にそれほど難しいものではない」といったニュアンスを含むため、競走などで抜く場合に用いられる「ごぼう抜き」の語源は、「2」の説が有力と考えられる。
と上記のような解説が多数を占めています。これでは、「1」なのか「2」なのか分かりません。
しかし、火山灰地の北海道十勝に住むものにとって、「ゴボウ抜き」はどうしても納得がいきません。農家では、収穫の際、ゴボウを抜くとはいいません。ゴボウは掘るものなのです。簡単には抜けません。
北海道弁に「ごんぼほる」という言葉があります。これは「ゴボウを掘る」のことです。その意味は、駄々をこねる、無理を言うということです。
地中に細く長く伸びているゴボウを掘る作業はなかなか骨が折れ、始末に終えない。駄々をこねる子供をなだめ、すかすのも骨が折れるところから生まれた言葉です。
《例》「そんなに、ごんぼほるんなら、お巡りさん呼ぶからな。」
「やだよ、そんなこと。」
以上のことから考え「ごぼう抜き」とは、一気に抜き去ることではなく、簡単には抜けないゴボウを引き抜くほどの力を持った選手に向けられた言葉のような気がします。
北海道弁に興味のある方は下記を御参照下さい。
http://blog.goo.ne.jp/tudukimituo1028/d/20090628
したっけ。