先日来社された大学生はとても好青年だった。予算内の物件を数部屋ご案内をする。その間も終始ハキハキした受け答えに好感度が増す。事務所に戻り、色々と話をしていると「実は僕の現住所は無いんです・・・」との事。
え?路上で暮らす人?何?何?
顔では笑っているものの私の頭の中には様々な状況がグルグルと回り、少しだけ顔がひきつらせて更に話を聞く。学校の寮を出なければならなく、のんびりしていたら移転先も見つからず、一旦荷物を実家に送り、知人や兄弟宅を転々としているとのこと。隣に居た彼女が「家なき子だよね」と小さく呟いた。
翌日再度来店頂き、申込を済ませ、一度田舎へ戻り、三日後にバイクで六時間掛けて契約に来店頂いた。事務所に入るなりシャツの下から新聞紙が見えた。ギョッ!として「やはり家なき子?」と思いきや、バイクで東京に向かう途中、余りにも寒く新聞紙を巻いて上京したとのこと。また荷物は数日後に届くとのことだったが、入居は本日からである。「布団は?」と訊ねると「寝袋がありますから」とのこと。
家なき子はとてもたくましいのである有限会社やな瀬不動産