朝日新聞夕刊で今も毎週楽しみにしている向井万起男氏の「大リーグが大好き」のコラム。
先日の内容は2008年に導入されたビデオ判定についてだった。これまでは本塁打の判断だけにしようされて来たが、来シーズンからビデオ判定の適用範囲をフェアかファールかの場合にも広げる動きがあるそうで、そこまで導入するのであれば、根本的なボール・ストライクから導入すべきとしつつも、人は誰でも間違えるとした上で、人間味が消えてしまうのはつまらないし、ボール・ストライクに導入しないのであれば、ビデオ判定自体が問題だと書いている。
この中でひとつお洒落なエピソードが紹介されている。大リーグ審判歴10年以上のロン・ルチアーノが書いた「アンパイアの逆襲」の中で、ツーボール・ツーストライクから明らかなボール球の5球目をストライクと判定してしまい三振となった。試合後に何も文句を言わなかった打者に謝罪に行くと、彼は笑いながら「わかってるさ。あんたが間違えたのは最後の一球だけで、二つのストライクはきちんと見えた。でも俺は二つのストライクを見そこなったんだ。と言うことはあんたが間違えたのは一球だけで、俺の方がまだひとつ多い」。そして審判はこう締めくくっている。「ここまで言われたら、誰だって次の彼の打席では、微妙な球を彼に有利に判定せずにはいられなくなる」・・・以前落合現ドラゴンズ監督の著書にも審判に対して同様の事が書いてあった。
こんなやりとりにも人間味が溢れている。サッカーを始め各スポーツでビデオ判定が導入されている。その気になればすべて導入も可能であるにもかかわらず、すべてはある程度で制限されている。
「それでいい。人間だもの」とみつを風に呟いてみる。
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