歌舞伎座で「六月大歌舞伎」を観た。
一幕目の「新薄雪物語」では幸四郎と仁左衛門の共演。親の子への気持ちや葛藤はいつの時代も同じである。二幕目の「夕顔棚」はのどかな田舎での夕暮れ時のひとコマを仲の良い老夫婦がユーモラスにほのぼのと描かれていた。祭りばやしっ奴はいつでも気持ちが高揚するものだ。今回もイヤホンガイドを借りず、購入したパンフを膝の上に置いてあらすじを追ったのだが、最近・・・薄暗いと文字がよく見えない・・・だから回を追うごとに感想が短くなってしまう。今回16時30分の開演で終演が20時16分と非常にコンパクトな構成で、終演後についついフラフラと寄り道を・・・
一、通し狂言 新薄雪物語(しんうすゆきものがたり)
〈広間・合腹〉我が子のために苦悩する二人の父の姿
薄雪姫を預かる園部家では、園部兵衛の奥方梅の方がその世話をしています。兵衛は、今回の一件を大膳の陰謀と察していますが、証拠がなく、薄雪姫が六波羅に捕らえられ責め殺されてはと案じ、館から落ち延びさせます。そこへ幸崎伊賀守からの使者である刎川(はねかわ)兵蔵が訪ねて来て、左衛門が謀反の件をすべて白状したので、伊賀守がその首を打ったと語り、同罪の薄雪姫の首も打つようにと言上します。やがて伊賀守が首桶を手にして現れ、まもなく兵衛も首桶を携えて現れます。そして二人が首桶を開けると中にあったのは…。
〈正宗内〉刀鍛冶の秘伝をめぐる父子の葛藤
大和国にある刀鍛冶の五郎兵衛正宗の家。来国行の子国俊は、父から勘当された後、刀鍛冶の修業のため、吉介と名を変えて奉公しています。吉介は正宗の娘のおれんと恋仲ですが、おれんの兄である団九郎は、秋月大膳の悪事に加担する身です。団九郎は父の正宗から刀鍛冶の秘伝を盗み出そうとしていますが、吉介を国俊と見抜いていた正宗は、師匠の孫である国俊に風呂の湯加減から刀の秘伝を教えます。一方、刀鍛冶の細工場では団九郎が湯加減の様子を探ろうと湯の中に手を入れていて…。
二、夕顔棚(ゆうがおだな)
老夫婦の情愛があふれる舞踊
とある田舎の百姓家。旧盆の夕方、軒端の棚には夕顔が花を咲かせています。風呂上がりの爺は夕涼みをしながら酒を飲んでいました。婆も風呂から上がって出てくると二人は酒を酌み交わします。酒が進むうちに、遠くから聞こえてくるのは盆踊りの声。昔を思い出した二人は仲良く踊り始めます。老夫婦の仲睦まじい姿を描いた舞踊をお楽しみください。