映画「天国と地獄(1963年公開)」を観た。
【解説】エド・マクベインの原作を得て、黒澤明監督が映画化した全編息づまるサスペンス。製靴会社の専務権藤の息子と間違えられて、運転手の息子が誘拐された。要求された身代金は三千万円。苦悩の末、権藤は運転手のために全財産を投げ出して三千万円を犯人に受け渡し、無事子供を救出する。非凡な知能犯の真の目的とは。鉄橋を利用した現金受け渡しのシーンは秀逸で、実際にこれを模倣した誘拐事件が発生した。また白黒作品であるにもかかわらず、最も重要なシーンで一個所のみ着色を施すなど新たな演出も印象深い。
実子ではなく運転手の息子という点がストーリーに深みと主人公・権藤の苦悩を深める。犯人を追う警察の捜査への執念に見入ってしまい、次第に犯人が絞られていく過程はワクワクさせられる。以前訪れた腰越漁港身代金の受け渡し方法やモノクロ映画が一瞬だけ色が変わるシーンはなかなか斬新だった。そして主人公を始め妻も犯人も秘書も、それぞれ天国と地獄を味わう。
どうでもいい話だが映画「マルサの女」で役名「権藤」だった山崎努が三船敏郎を権藤さんと呼ぶ不思議さと、金田一耕助シリーズでうっかり刑事役の加藤武を捜査を信じていいのか?と思ってしまった
さてさて本来であれば本日は東京オリンピック開会式。一年後は天国と地獄のどちらになるのだろうか?