「世の中、ちょっとやぶにらみ」

本音とたてまえ使い分け、視点をかえてにらんでみれば、違った世界が見えてくる・・・かな?    yattaro-

「三人の祝賀会」

2018年01月25日 | 思い出話

                                     

むかしむかし、我が子二人が通った小学校があったげな。
そこに、とってもやり手で、ハンサムな粋な校長先生が赴任してこられたげな。
その校長先生が、今年目出度く八十八歳の米寿を迎えられたげな。
その上に、長年の教職員としての業績が認められ、天皇陛下より「瑞宝双光章」という名誉ある叙勲を受けられたげな。

そのお人柄を象徴するように、このようなダブルお目出度も「皆さんに迷惑になってはいけない」と、ごく限られたお身内だけで祝賀の宴をもたれたのじゃげな。
そんな一連を後で知った小生としては、黙っているわけにはいかない。ということで改めて、知人友人を集めて祝賀パーティを計画しようとご当人と相談したところ「な~に、こんな賞は、校長を経験して元気に八十八歳を迎えた人間には誰でも与えられるもの」だから、他人を集めてお祝いするほどの中味じゃない。お祝いパーティなど要らんよ。と、強く固辞されたのじゃった。

長いお付き合いでその人格をよーく知っているだけに、無理を押してもいいことにはならない、と判断。最低限の別な提案をして、なんとかその気になって頂いたのが「たった三人の祝賀会」となった次第。観光ホテルで昼食を囲むことにした。
それさえも、どうしても段取りは自分でして、お二人に出席をお願いするのが「私の主義」ということで、何のことはない、会費は包むものの、会場の設定、交渉などは全て主賓にお任せ。私たち二人は参加する形となった。悠然というわけにもいかず、やや肩をすぼめて。

長年の教職生活の最後の勤務先となったのが、私どもの子どもが通う小学校であった。そのときのPTA会長2代の二人がお呼ばれに預かった。昔ながらの元気ハツラツとした笑顔で、遠い昔話に花が咲く。昔と大きく異なるのは「アルコールアレルギー」になってから、ほとんどお酒をたしなまなくなったということ。私たちもホンの少々のお酒。言うなればアルコール抜き。それなのになんと昼食だけで3時間半をしゃべったことになる。但し、「女三人寄れば……」などと言うかしましさではなく、静かにゆったり流れる時間の中でのゆるやかなおしゃべりである。

遠い昔の一時期このとはいえ、叙勲を受けられるようなお方とご一緒できたこと。それを大切に胸にしまっておいて頂いていたこと。この事実にはなんとも感動を覚える。超豪華な食事を、観光ホテル一番の部屋でゆったりと。これもまた遠い思い出話と共に「命の洗濯」の効果大なるものを味わった。ガラス越しに見る目の前の錦帯橋。華やかに舞う粉雪。だがその部屋にだけは春が先乗りしていたような。

コメント (2)
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