一歩外に出れば、咲き乱れる花がいっぱい。 自粛を決め込んで、散歩さえ嫌う「こたつむり」
臨時休校中で、我が家にやってくる小5の孫君に「ちょっとどこかに出かけようか」と誘いをかけてみる。
「ダメいね、先生が外に出ないようにって言ったよ」と、にべもない。
こたつに入って暖まりながら好きなことをする状態を、カタツムリに見立てて「こたつむり」というらしい。
一歩外に出てみれば、色んな花が咲き乱れ、暑くもなく寒くもない、それこそ絶好のお散歩季節なのに。
校長先生や担任の先生からしつこく言われているのだろう、あのガチガチの体育会系アウトドア派の孫君がおとなしく「こたつむり」を決め込んでいる。というのは表向きの話。実は・・・。
朝、我が家に来るなり、ソファを背もたれにしてまぁるいこたつに入り込む。ゲーム機を少し操作して「おはよう」とゲーム機に話しかける。
相手の声は聞こえない。ちゃんとイヤホンで音声はキャッチしている。間もなく4人でのゲーム合戦が始まった。
「オレが行くから、後ろから援護してよ」「もちょっとだったのに」「オー、がんばっとるじゃん」。それこそ、大声でしゃべりながら、手にした10インチばかりのゲーム機を、左右の親指を使ってひたすら打ち込んでいる。ときにキャッキャの大笑い。
「おまえさんはよくても、相手はみんな朝から遊んでもいい仲間なのか??」「無理矢理おまえの相手をさせてるんじゃないか??」
ジジとしてはちょっと気になる。「ウウン、大丈夫。ちゃんと昨日約束しておいたから」だと。
こういうことに関しては意外に段取りがいいし、リーダーシップ発揮するんじゃ・・・と、喜んでいいのかどうなのか。
ちょうどそのとき、防災ラジオから「岩国市長の福田です、不要不急の外出は避けてください。ご家族で話しあって、帰省を遠慮してもらってください」という生放送が流れてきた。「ほらね、外に出られんじゃろ」と、こたつむりの正当理由に力を得ている。
それにしても、来る日も来る日もこんな状態でいいのか?苦言を呈してみたくはなるが、コロナ感染即、命の危険を思うとねー。
チームで野球練習出来るわけじゃなし。ジジと出かけたって「人通りの少ない道を選んでばかり」じゃ、ついて来ないよねー。
ここは一番、ジジも泪を飲んで、小言の一つも飲み込んでガマンの一手で耐えている。
人間らしさが失われるここ数ヶ月ではあるが、命を失うよりはまだましか・・・と、こたつむりを横目でみるしかない。