「じいちゃん、今日はガブガブお酒が呑めるね、オレの誕生祝いじゃけぇ」。
5年生に進級した孫君が自分の11才の誕生日を迎えた今日、テンション高く言う。
進級はしたものの、わずか2日間登校しただけで、コロナ臨時休校になった。目下じいちゃん学校に通ってきている。
小5では、まだじいちゃんが下戸であることは理解できていないようで、お祝いならお酒を呑むのはごく自然のこととでも言いたいようだ。
「じんちゃん酒が呑めんのよ」「だったらビールをいっぱい呑めばいいじゃん」。単純明快な会話をしながら夕ご飯を待つ。
まるでご機嫌。それもそのはず、欲しくて欲しくてたまらなかったゲームソフトを、誕生祝いに買わされているのだ。
本来なら、高価なので親からダメ出し。ならばジジと親と折半でという話になるのだが・・・。ま、いいか。
コロナコロナで学校にも行けず、外に出ないよう申し渡されている。もちろん友達とも会えない。大好きな野球の練習も御法度。
彼にとってはそんな八方塞がりの毎日を、午前8時15分には出勤する母親に送ってもらって我が家にやって来る。
誕生日を機に新しいゲームソフトが欲しい、とねだられるとね~。事情が事情だけにジジも弱いんだよね~。
しかも、誕生祝いのパーティまで自宅ではなく、ジジババの家でやりたいと言う。「母さんは帰るのが遅くなるから準備が出来ない」というのがその理由。ま、考えてみれば一理ある。娘に看護師を推奨したのは他でもない父親の私である。
そんな彼女が今、大型介護施設の主任看護師として、「一瞬のスキも許されないんよ」と目の色変えてコロナの侵入防止と闘っている。
介護現場の厳しさもこの目で見てきているだけに、誕生祝いまでウチでやるのか、とは言いにくい。結局孫君の言いなり。
こんな大型臨時休校に遭遇しても、子どもの居場所を心配することなく仕事が出来るのはあたし達夫婦のお陰だよ。なんて口には出さないが、随分助かっているはずである。こちらも、大変だ大変だと言いながら、孫の成長を身近に感じさせてもらっている。
酒豪の父親がお祝いの酒を美味しく呑むのを知っている孫君が、「今日はガブガブ呑めるね」とジジに持ちかけてくれるのも、実生活の中でうまれる「思いやり」なのかな、などと考えると、少し値の張るプレゼント出費も、ガマンの範囲なのかもね~。