土管干し
小学校時代の、秋の楽しみの一つに「土管干し」と言う遊びがあった。
誰に教えられたのかも今では思い出せない。
鉄道の線路下を横断する、用水の土管の上流方の入り口をスコップで回りの土を、
かき集めて埋め水の流れをせき止め、次に下流方の口から泥と水とをバケツを使って掻き出すのである。
すると土管の泥の中で冬眠の準備に入っていた泥鰌、小鮒、時には鯰さえ出てくる。
いよいよ出て来ないときには、竹棒の先に藁を括り付け、それを下流方から差し入れ、
徐々に引き、泥と一緒に掻き出すのである。
ときたま、列車が通るとその振動で少しずつではあるが泥と泥鰌が流れ出て有難かった。
山形出身の線路工夫長に線路から見下ろされ、「おーい、ドジョッコ獲れたかー」なんてお国訛りで訊ねられ、
去った後で口真似をして笑ったっけ。
捕まえた肝心の泥鰌の味は子供の事でもあり、記憶に薄い。
しかし祖母に、両親に喜ばれた事を覚えているから、きっと冬前の泥鰌の味は良かったのだと思う。
泥だらけで帰っても叱られなかった。遊びも懐かしいし、
泥鰌も一度食べてみたいものと秋の稲刈りの終わった田を見て思い出す。