(日付けを見ると13年年前か。岩場の鎖場です)
(スベルべママをサポートする娘達)
(娘達は平気だが、下方は断崖絶壁の中荒沢の岩場だ)
霧が幸いした「荒沢岳」
山の友に、「荒沢岳」のコースと、所要時間などを訊ねた。
すると、説明する前に「あそこに家族連れで登るなんて無謀だ」と非難された。
家族と犬を連れて「巻機山のヌクビコースも登った」と言うと、「あそことは違った難しさ、
怖さがある」と忠告されたのだった。
しかし、知らない者の強さか、無鉄砲なのか、駄目だったらそこで引き返すことにして計画した登山だった。
当日は雨こそ落ちないけれども、霧に巻かれた「荒沢岳」方面はコースも何も見えない。
麓、銀山平の駐車場に自動車を止めて家族四人で登り始めた。もちろん友人の忠告を聞いて犬のマックスは同行させなかったが。
中間地点から友人の話した、難しさ、怖さが実感できるようになってきた。
前(まえくら)と呼ばれる、鎖場の難所に着いた。岩場をトラバースする直前で上を見上げると、
何時、誰が作ったのかも分からないような古びた木道が壊れてぶら下がっているのが見える。
地元の山岳会などが苦労して保守しなければならない危険なコースから、岩場に新ルートを開いたのかも知れない。
しかし、危ない事はその新ルートも同じで、絶壁となり一歩間違って転落したならば、生死にかかわる事故になるには違い無い。
下が霧で良く見えない事で助かったのは高所恐怖症気味の妻だった。
下まで見渡せたら、きっと足がすくんで登れなかっただろう。
その難所、前を越えると、それまでの難コースが嘘の様な平坦に近い藪道になり、頂上へと無事に到着した。
帰りも相変わらず、霧が晴れずスムーズな下山し、この危険な登山は終わった。
その頃は、ある小さな沢の出会いに温泉の試掘が成功し、溢れんばかりの熱い源泉が豊富に湧きでていた。
そしてプレハブが建てられ、男女別に区切られた風呂場にはなんと古いプラスチック製の漬物桶が風呂桶として置かれていた。
熱い湯を温めにするための水ももちろん谷川の水を使った野趣に富んだ温泉だった。
こうして家族四人の危険な登山は終り、温泉で疲れをゆっくりと癒して帰宅の途に着いたのだった。