畑に吹く風

 春の雪消えから、初雪が降るまで夫婦二人で自然豊かな山の畑へと通います。

連載59 「チロ」と「巻機山ヌクビ沢」

2016-03-17 12:07:51 | 登山

  (ヌクビ沢雪渓)

 「チロ」と「巻機山ヌクビ沢」

 平成二年に家を新築する前の事だから、随分古い話しになってしまった。
十回を越える「巻機山」登山の経験を過信して、家族四人で、
しかも当時飼っていた犬の「チロ」も同行して夏休みの終わりに「ヌクビ沢」コースを登ることに決めた。

 「巻機山」には幾つものコースがあるが、縦走以外に尾根道コースをたどる登山者は少ない。
危険はともなっても、美しさとスリルを求め、沢登りを選ぶ登山者が多いのだ。


   (紅葉の米子沢)

 家族で登った「ヌクビ沢」の他にも「割引沢」や、あまりの事故、遭難の多さに入山禁止措置が取られた、
「米子沢」コースなども有る。

 所属する山の会の会員が開拓したような「米子沢」は、先輩たちに導かれると、険しい滝も、
高巻きをせずに途中を横断して近道できるルートさえ有るのだった。

 さて、その年は大量の降雪の名残が八月末になっても、ところどころに消えずに残っていた。
そして、一人の登山者に追い着くと、コース取りに迷っていたらしく、私たちの後ろに着いて登る事となった。

 さて、大喜びで登り始めた「チロ」にも災難が待っていた。岩場では犬の足がかりとなるような窪みは少なく滑って、
足に大きな負担がかかり、爪先が擦り減ってしまった。
登り始めには勇ましくピンと上げて振っていた尻尾も次第に下へ向き始め、元気を失ってきた。


   (巻機山の草つきで憩う)

 雪渓を登る際に足跡を見ると点々と赤い血の跡が見え、「チロ」の足のけがに気付いた。
それからは妻と、二人の娘に私の荷物を分け、私はチロを肩に担いで登る事となった。
無事に山の上に到着すると、気持ちの良いのは人も犬も同じこと。


   (チロ池塘の水を飲む)

 足の怪我の痛さを忘れたかのように再び尻尾を元気よく立てて歩き始めた「チロ」だった。
「巻機山」の特徴でもある、地塘群の一つを前景にカメラのシャッターを切るとタイミング良く、
「チロ」が水を飲み始めたのも愛敬で記憶にとどまる一枚となった。

 下山路に選んだ尾根道も、「チロ」の足の負担を考え、再び担いで下る事となる。
下の駐車場近くに着き、平坦な道で肩から下ろすと、一目散に自動車にまで走ったからよほど懲りたのだったろう。

 その登山を無事に終えた数日後、私たちが登った「ヌクビ沢」コースで、
登山者が遭難転落死した事件が報じられ、複雑な思いをした。
「チロ」の事ばかり心配し、家族を事故に遭わせてしまっていたらと思うと背筋が凍る思いだったのだ。


 夕方からの「松代カールベンクスハウス」で、会合『松之山の自然を食う会』に出席し、
二次会に松の山温泉に行き一泊してきます。土産のお話をお楽しみに。
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霧の「木沢」

2016-03-17 04:27:40 | 風景

 「ねー、トーちゃん、たまには別のところへ散歩はどう?」なんて言われた。
そう、暖冬小雪で珍しく楽な冬を過ごしたスベルべの体重は増加の一途。

 そこで、出来る限り一日一回は散歩しようと決めている昨今。
同じコースではつまらないから、我が家から見える山の上の集落へ行ってみようと言う事でした。



 残念ながらと言うか、いや、これもまた良いかなと言う霧に包まれた風景。
我が家から見上げると、霞んで見えないほどの山の上の集落でした。



 足代わりに使った軽トラを、雪のために行き止まりの道に止めて歩き出す。
養鯉池が見えました。鯉はきっと越冬のためとなりの温室風の池に避難している筈。



 こんなに大きな池だけれども主は不在なのです。
もうすぐ、雪も消え水温が上がった池には大きな錦鯉が放たれることでしょう。



 何年か前までは小学校か、又はその分校だったと思われる建物。
今は宿泊施設として使われているようでした。



 ぐるりと回って、再びトンネルの向こうに止めた軽トラへと向かう。
夜、我が家から山の上を見るとトンネルの「ナトリウム燈」が黄色く輝いて見えるのです。

 でも、この日は霧に薄く覆われ強い光は見えませんでした。
このトンネルを越えると、山古志の風景が良く見えるのですが、霧の彼方でした。
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