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不思議な縁で作家「尾崎翠」を知り、早速ネットで作品「第七官界彷徨」を取り寄せた。
不思議な作家の不思議な小説だった。
昭和初期の作品で、多くの小説家の目に留まり絶賛されたとか。
ところが、その小説を発表した後、文学界から忽然と姿を消してしまったのだとか。
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文庫本の裏表紙にある解説です。
小説の背景にはさすがに時代を感じさせるものは有るが、新感覚でも有るように感じた。
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この消えた作家「尾崎翠」を知るきっかけとなった古い新聞コピーです。
古い地方紙に載った随筆のコピーだった。
何気なく読み始めた、そのコピー読み戦慄感に似た感覚を覚えた。
なんとある地方都市に住む市井人の随筆だが、東京での大学生生活時の交友録は目を見張らんばかり。
棟方志功と友人と三人で一夏を過ごしたり、石川達三と飲み歩いたり、林芙美子とご飯を共にしたり・・・。
太宰治と連れだって散歩したり、草野新平とも付き合いが有ったりと信じられないような話ばかり。
中でも感動させられたのは「尾崎翠」の文壇から去った理由の話でした。
当時囁かれた、年下の劇作家との同棲を心配した家族、兄によって実家に連れ戻されたと言う定説が否定されている。
当時の文壇界にもゴシップ好きが居て、こんな話が流布され、定説となっていたようだが・・・。
それを否定し、「尾崎翠」の名誉回復をするような、素晴らしい話に思わず涙してしまった。
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他にも信じられないような随筆の連載は続く。
文学を諦めて、当時の行き詰った人たちが行ったと同じに大陸、中国に渡航して働いていた時代の話。
なんと、あの男装の麗人とも呼ばれた「川島芳子」に誘惑されそうになった話に仰天しました。
事の成り行きに驚き、怖れを感じてすんでのところで逃げ帰ったのだったとか。
ともあれ、こんな驚くべき経験、交友録を持った人が一地方都市に居られた事に驚く。
でも、考え方によっては不思議でも無く、憧れながらも小説家にはなり切れなかった人は多いのかも知れない。
時代を越えた不思議な感覚に包まれ、感動と涙のスベルべでも有りました。
ご存知かもしれないが川島芳子こと「愛新覺羅顯㺭」は清朝の皇帝、粛親王善耆の第十四王女で数奇な人生を送った人です。