カールベンクスさん (その1)
NHK新潟の金曜特番「きらっと新潟」に、カールベングスさんが取り上げられた。彼は新潟の山の中、旧松之山に住んでおられる。古い日本家屋を改築再生して利用することを生業にされている。
何年前になるだろう。松代地区の「カールベングスハウス」と名付けられた、古くて大きな商家か何かの建物を改築したイベント用とも思える、大きな空間を持った建物を夫婦で訪れたのだった。地縁も血縁もなく話で聞くだけの遠い土地だった。しかし、今では道路改良も進み、何よりも地域の人たちの夢でもあった鉄道「北越北線」が開通し、かつて陸の孤島とも揶揄された松代、松之山地区も訪れるのに冬でさえ逡巡する必要もなくなっている。
そのカールベングスハウスを訪ねるには理由があった。案内葉書をもらい、「星奈緒」さんの絵画の個展を見に行ったのである。曜日も忘れたが、その大きなカールベングスハウスから少し離れた場所の駐車場に止まっている車はほとんど無かった。そこに車を止め、歩いて行く。静かなたたずまいの建物は静かで、ドアを開け、声を掛けると、大柄な白人男性が現れた。
気さくに話に応じてくれる。個展の会場になった縁も説明される。入った大広間の左手に、窓がありその外には農村風景が広がっていた。
(続く)